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  10. 祇園祭

祇園祭

ジャパンナレッジで閲覧できる『祇園祭』の国史大辞典・世界大百科事典のサンプルページ

国史大辞典
〓園祭
ぎおんまつり
京都祇園社(八坂神社)の祭礼。祇園会(ぎおんえ)・祇園御霊会ともいう。その起源については社伝(『祇園社本縁録』)に貞観十一年(八六九)六月、全国にわたる疫病流行に際し、卜部日良麻呂はこれを牛頭天王(ごずてんのう)の祟によるとし、勅を奉じて六十六本の矛を立ててこれを祭り、その消除を祈ったに由来するというが、それは普通祇園社創建の年といわれる貞観十八年よりも古く、かつ他に確証がないので、一応『二十二社註式』に「天禄元年(九七〇)六月十四日始〓御霊会〓〓今年〓〓之」とあるに従うべきでないかと思われる。その祭は六月七日に神輿を迎えて種々の神賑があってのち、十四日にこれを送るを定例とし、その神賑には朝廷や院から馬長や田楽・獅子などを上られたが、一般民間からも種々の芸能の奉納があったらしく、長徳四年(九九八)にはたまたま雑芸者無骨なる者が大嘗会の標山(しめやま)に類似の柱を渡して、その無礼を咎められた(『本朝世紀』)ことがあった。ことに平安時代末期ころから洛中の富家をして馬長を差定せしめるようになり、また風流拍子物がその後に従って祭礼が一段と賑やかになった。鎌倉時代には馬長とは別に馬上十二鉾とよばれるものが社家に宛てられるようになった。疫神鎮送の意味からか鉾や長刀が尊ばれ、『師守記』には定(しすめ)鉾の名がみえ(貞和元年(一三四五)六月七日条)、またそのころから作山が現われるようにもなる。一条兼良はその『尺素往来』に祇園会の結構を叙して、定鉾・鵲鉾・跳(おとり)鉾などの名とともに、笠車、風流の造山、八撥の曲舞などを挙げているが、それらが山崎・白河など相当遠方から祭に入洛して来ることを述べているのは、当時はなお後代のように氏子区域が固定していなかったからであろう。これらの鉾や造山が後代の山鉾同様のものであったかどうかは問題のあるところで、少なくとも造山は当初は毎年新しい意匠のもとに趣向をこらしたものであったことが狂言『鬮罪人』の筋書からも伺われる。しかしその着想にはおのずから一定の限界があり、かつその人形がおいおい高価な作物となると、次第に固定化するようになる。かくて応仁の乱以前に京の町々を単位に某鉾・何山と称するものが三、四十基もあったことが社記にみえている。それらが応仁の乱に一度灰燼に帰してのち、明応九年(一五〇〇)幕府の援助もあって再興されはしたが、その後も相つぐ戦乱や社会不安のためにわかに盛大にはならなかった。織田信長・豊臣秀吉による平和の到来と、特に京都の町組の整備によって、祇園社氏子区域の中にいわゆる鉾町とその寄町とが定まった。鉾町は前後の祭日に相分かれて山鉾を立て、寄町は地ノ口米を負担してその経費の一部を助ける組織である。寛永から元禄へかけて京都町衆の繁栄は、山鉾の飾付(胴幕・見送・水引幕などの織物、框縁の塗物・飾金具など)に豪華を競わしめ、鉾の上で囃される囃子(笛・鉦・太鼓)にも洗練を加えて、この祭に遺憾なく反映されている。明治維新後、暦法の改正に伴い、祭日が七月十七日と二十四日に改められたほか、山鉾巡行の道筋なども多少変更されたが、前後約一ヵ月にわたる祇園祭全体の諸行事は最近に至るまでほぼ旧慣のまま存続され、山鉾は今日国の重要有形民俗資料の指定をうけ、そのうち鶏鉾と函谷(かんこ)鉾・鯉山の見送はそれぞれ単独で国の重要文化財に指定され、またその山鉾行事全体が重要無形民俗文化財に指定されている。→町衆(ちょうのしゅう),→八坂神社(やさかじんじゃ)
[参考文献]
『(増補)祇園会細記』、京都府教育委員会編『祇園祭』
(柴田 実)


世界大百科事典
祇園祭
ぎおんまつり

京都の祇園社(現,東山区八坂神社)および同社を勧請した地方の祭礼。京都の祇園祭は山鉾の巡行を中心とした盛大な祭礼として日本三大祭の一つに数えられ,また現存する山鉾29基すべてが国の重要民俗資料に指定されている。古くは祇園御霊会(ごりようえ)といい6月に行われていたが,現在は月遅れの7月に催される。祭礼はぼほ1ヵ月に及ぶが,その間,神社側で行う行事のほか,氏子の住む町(鉾町)が独自に行うものがかなりの部分を占め,町衆を主体とするこの祭礼の特色を示している。

祇園社の創始についても不明な部分があるが,その祭礼である御霊会の始まりも社伝では869年(貞観11)とするが,別に970年(天禄1)とする有力な史料もあるなど,明瞭を欠くところがある。いずれにせよ平安時代に流行した御霊信仰にもとづく祭礼として,白川,紫野,花園などとともに平安京周辺地域で行われていた御霊会の一つであったことは推測にかたくない。その実態が判明するのは10世紀最末期であり,大嘗会の標山(しめやま)に似せた作り物や散楽空車などが祭りをにぎわしたという。これらは今日の山鉾の原型を思わせる。平安時代から鎌倉時代にかけての祇園祭では風流を凝らした田楽が行粧(こうそう)の中心であって,この時代には熱狂した田楽衆が乱闘に及ぶことも多く,また印地打ちなどの荒っぽい競戯も行われ,流血の事件にまで発展することがあった。山鉾の巡行を軸に祭礼の枠組みが決まるのは南北朝時代以降のことであり,室町時代には祇園社の氏子である下京町衆の富と団結を示す祭礼として隆盛におもむいた。現在では山鉾の題材は固定しているが,当初は毎年,町の寄合で囃子物(はやしもの)(仮装した踊り)とともに山鉾の趣向がくふうされていたようすが狂言に描写されている。山鉾の巡行は応仁の乱でいったん中絶するがのち復興,南蛮文化の流入にともない山鉾の装飾はいっそう豪華になり,江戸時代を通じてたびたびの大火にあい,また近代以後さまざまな改変が加えられたが,今日に盛観を伝えている。

なお室町時代以降,各地の大名が京都をまねた町作りを行い,いわゆる〈小京都〉の出現をみるが,その際,京都のシンボルとして祇園社が勧請され,それにともなって祇園祭の様相も導入される場合が多く,京都の祇園祭の地方都市への伝播が進んだ。ことにその中心をなす山鉾は地方都市の祭礼に大きな影響を与え,祇園社勧請の有無を問わず,山車(だし)のでる祭りの形態を全国に普及させることとなった。また今日,山口,津和野(島根県)に伝えられる鷺舞は京都祇園会に演じられていた囃子物の一つが伝播した例である。
→祇園信仰
[守屋 毅]

[索引語]
祇園御霊会 御霊会 小京都
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23. 祭ジャック・京都祇園祭
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日本歴史地名大系
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日本国語大辞典
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36. いけながむら【池永村】大分県:中津市
日本歴史地名大系
舞伎は中津城中で上演している(同遺聞)。宝暦一一年(一七六一)には池永座が困窮しているので、祇園祭のあと「跡芝居」三日を許している(惣町大帳)。元禄豊前国高帳で ...
37. いけのはらむら【池之原村】鹿児島県:肝属郡/東串良町
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38. いさのむら【伊佐野村】滋賀県:甲賀郡/水口町
日本歴史地名大系
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日本歴史地名大系
男命)があり、延暦二年(七八三)の創建、建治二年(一二七六)の再建と伝える。旧暦六月一三日に祇園祭が行われる。かつては神輿が阿波崎の天王川河岸へ渡御、阿波崎須賀 ...
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日本歴史地名大系
水があり、石造井桁で囲んでいたことによると伝える(坊目誌)。この井水は祇園の神水ともいわれ、祇園祭の神輿を担ぐために大坂難波(現大阪市浪速区・南区)から来た若者 ...
41. いしゅん‐かん【移春檻】
日本国語大辞典
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46. いちのややさかじんじゃ【一ノ矢八坂神社】茨城県:筑波郡/大穂町/玉取村
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