日本語、どうでしょう?~知れば楽しくなることばのお話~

辞書編集者を悩ます日本語とはなにか?──『日本国語大辞典』など37年国語辞典ひとすじの辞書編集者がおくる、とっておきのことばのお話。


 お近くに国語辞典があったら、「さみしい」という語を引いていただきたい。いかがであろうか。大方の辞典は「さびしい」を見よとなっているのではなかろうか。
 だが、「さみしい」と「さびしい」は本当に同じなのだろうか、というのが今回の話題である。
 『日本国語大辞典』によれば「さみしい」「さびしい」の関係は以下のとおりとなる。
 上代の「さぶし

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 前回に引き続き、「寸暇」の使い方についてお付き合いいただきたい。
 「現代日本語書き言葉均衡コーパス」と名付けられた、国立国語研究所で現在構築中のデータベースがある。「コーパス」というのは、コンピューターを利用してデータベース化された大規模な言語資料のこと。国立国語研究所のこのデータベースは、実際に書きことばとして使われた今の日本語を様々な角度から解析することができ、時として思いがけな

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 わずかな時間も無駄にせずに勉強に励むことを皆さんは何と言っているだろうか。「寸暇を惜しんで勉強する」だろうか。それとも「寸暇を惜しまず勉強する」だろうか。
 文化庁が発表した平成22(2010)年度の「国語に関する世論調査」によると、「寸暇を惜しんで」を使う人が28.1パーセント、「寸暇を惜しまず」を使う人が57.2パーセントという結果が出た。
 「寸暇を惜しまず」の方が圧倒

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 第49回(2011年3月14日)で紹介した「辞書引き学習」のワークショップのために、発案者の深谷圭助氏(中部大学准教授)と北海道札幌市に行ったときのことである。
 深谷氏が文化庁から発表されたばかりの平成23年度「国語に関する世論調査」を話題にし、会場に来た人たちにそ

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 本来の意味で使っている人14.7%、従来なかった新しい意味で使っている人76.5%。
 何の割合かおわかりだろうか。先頃文化庁から発表された平成23年(2011年)度の「国語に関する世論調査」による、「にやける」ということばの使用実態である。
 この調査で少数派になっていることがわかった本来の意味は「なよなよしている」というもの。圧倒的な多数派は「にやにやする。薄笑いを浮かべ

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