日本語、どうでしょう?~知れば楽しくなることばのお話~

辞書編集者を悩ます日本語とはなにか?──『日本国語大辞典』など37年国語辞典ひとすじの辞書編集者がおくる、とっておきのことばのお話。

第139回
 

 辞書の編集をしていると、社内からもことばの使い方について質問を受けることがある。先日は、「おはなしする」と書くとき、「お話しする」と書くべきなのか、「お話する」と書くべきなのか、どちらであろうかという質問を受けた。「はなし」を漢字で書いたとき、「し」という送り仮名を付けるかどうかという問題である。
 正解は「お話しする」で、送り仮名のルールが完全にわかっている人は、どうしてそんなことで

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 「週刊ポスト」の2012年11月9日号を読んでいて、ちょっと面白い記事を見つけた。タイトルは『NHK有働アナ「浮き足立つ」を誤用して神妙にお詫びした瞬間』というのである。
 その放送自体は見られなかったのだが、記事を読むと、NHKの有働由美子アナウンサーが司会を務める情報番組『あさイチ』の10月23日の放送で、「浮き足立った話」を視聴者からファックスで募集したのだという。それはそれで別

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 今年9月に文化庁が発表した平成23年(2011年)度の「国語に関する世論調査」は、本来の意味で使っている人の割合が極端に少ない語がいくつもあってけっこう話題になった。「割愛」もそのひとつで、惜しいと思うものを手放すという本来の意味で使っていた人は17.6%しかいなかったのである。65.1%の人が、不必要な物を切り捨てるという本来なかった意味で使っていたと報告されている。 
 「割愛」は

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 外来語とかカタカナ語などと呼んでいる欧米諸国から入ってきた語を国語辞典に載せる場合、その語をカタカナでどのように表記するかといった問題がある。
 たとえば、「ユニホーム」にするか「ユニフォーム」にするかとか、「メーク」にするか「メイク」にするかとかいった問題である。
 国語辞典の場合、外来語の表記は平成3年(1991年)の内閣告示「外来語の表記」を参考にして決めることが多い。

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 「嚙んで含めるように教える」というのは、よく理解できるように細かく丁寧に言い聞かせるという意味の慣用句である。「嚙んで含める」は元々は食物が消化しやすいように嚙んで口の中へ入れてやるということで、あたかもそうするかのごとく教えるということである。
 ところが、この慣用句が最近変わりつつあるようなのだ。どういうことかというと、「嚙んで含むように」という人が増えているのである。

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