京町家の繊細な風情に欠かせない要素の一つが京格子である。縦の桟(さん)が非常に細かく組まれている一方、横桟は数本だけでほとんど存在感がない。この独特の組み込み方が、細やかな印象を与えるため、千本格子とも呼ばれている。

 京格子にはもう一つの、紅殻格子(べんがらごうし)という通称がある。ベンガラは黄みを帯びた赤色の塗料で、格子や柱に塗られていた。インドのベンガル地方で産出されていた酸化第二鉄を主成分とする顔料で、耐久性や防腐効果に優れている。京都の商家などでは、格子などを油拭きする習慣があったので、磨くうちにだんだんと黒ずんでいき、京町家らしい渋く赤黒い色味に変わっていったそうである。

 京都の格子は、中世に入り乱世で家を守るために設けられたのがきっかけで、当初は牢屋のように太い桟が間隔をあけて組まれた、台格子と呼ばれるものだった。京格子の様式が生まれるのは、大工道具が発展を遂げた江戸時代のことで、1600年代半ばになってからのことである。

 京都では格子を「こし」ともいい、通りに面して格子のはめ込まれた部屋のことを、格子の間(こしのま)と呼んでいる。格子の間隔が狭いので、屋外から室内の様子はわかりにくいものの、室内に入ってみると、予想以上に明るく、採光への配慮が十分されていることがわかる。ちなみに、職住一体の住宅である町家の格子には、職業や使われた場所、材料、形状などで決まった種類があった。それらは仕舞屋(しもたや)格子や麩屋(ふや)格子などと呼ばれ、格子だけでその場所や住人の仕事などがわかるようになっていた。

 

   

京都の暮らしことば / 池仁太   



 東京でオリンピックなど開いてほしくないと思っているのは、私のように生まれ(疎開先の新潟で生まれたがすぐに戻ってきた)も育ちも東京(中野区)で、親子三代住みついている東京人に多いのではないだろうか。

 1964年の東京オリンピックのときは19歳の浪人生だった。父は貧乏サラリーマンだったが、今日より明日がよくなると素直に信じられた時代だったと思う。

 そんな高度成長のただ中で開かれたオリンピックは、東京だけではなく日本中をあげてのお祭りになった。どこの町や村の盆踊りでも三波春夫の『東京五輪音頭』に合わせて老若男女が踊り、カラーで中継された各国選手団の肌の色やカラフルな民族衣装に目を見張ったものだった。

 あれから半世紀以上が経った。東北や九州でオリンピックを開くならまだ分かるが、なぜ東京を莫大な費用をかけて汚さなければならないのか、私には理解できない。

 だが、為政者はオリンピックが好きなようである。『週刊現代』(6/13号)で、中国の習近平主席について中国共産党の某幹部にインタビューしている中に、こんなコメントがある。

 「わが国は、08年に北京オリンピックを開催した。当時、国家副主席になったばかりだった習主席は、胡錦濤主席を補佐しながら、オリンピックがいかに国威発揚になるのかを思い知った。
 そこでどうしても、故郷の北京で、もう一度オリンピックを開きたいのだ」

 このオリンピックは22年に開かれる冬季大会である。この考えは当初、無理筋だと考えられていた。北京で夏季オリンピックを開いたばかり、その前の冬季オリンピックが韓国の平昌(ピョンチャン)で行なわれることなどからだが、習近平は主席時代の総仕上げとして何としても招致すると名乗りを上げたのだ。

 ところが有力候補だった北欧の国々が財政難や政情不安などで撤退してしまい、残ったのは隣国カザフスタンのアルマトイと北京だけになってしまったのだ。7月31日に開かれるIOC(国際オリンピック委員会)総会に向けて水面下の駆け引きが行なわれているようである。

 安倍首相も20年の東京オリンピックまで権力の座にしがみつきたいと思っているようだが、こちらは本当の無理筋であろう。

 しかも、ここへきてオリンピックの目玉である新国立競技場建設が予定より遅れて「種なしスイカ」ならぬ屋根なし競技場になるかもしれないと、『週刊文春』(6/4号、以下『文春』)が報じている。

   安倍首相が開催国になりたいがためにIOCへのプレゼンで、原発事故で発生した大量の放射能汚染水は完全にコントロールされているという「嘘」をついてまで招致したのに、重大事態発生である。

 このことが明らかになったのは、5月18日に下村博文(しもむら・はくぶん)文科大臣と舛添要一(ますぞえ・よういち)都知事が会談した際のことである。

 下村氏が「屋根を付けると工期が間に合わない上に見積もりの1600億円では収まらない。東京都に500億円程度の負担をお願いしたい」と切り出したため、舛添氏が難色を示したのだ。

 舛添氏は、協力するのはやぶさかでないが、そのためにはいくらかかるのか、ちゃんと間に合うのかを説明してほしいと『文春』に答えている。当然であろう。

 『文春』によれば、五輪開催国のメイン会場建設費はだいたい600億から700億円だそうで、1600億円という額はその倍以上にもなる。

 新国立建設だけでこれだけの費用がかかるのである。総額どれだけの税金が注ぎ込まれるのか、国は詳細を公表するべきだ。

 第一、16年招致の際には「世界一コンパクトな五輪」を掲げて、旧国立は残すという構想だったという。

 今回も当初は、国立を耐震補強して使う「改修案」だったそうだ。それが新国立建設へと大幅に変更されたのは、ある人物が絡んだためだというのである。

 オリンピックの前年の19年に日本で行なわれるラグビーW杯の会場として、新しい国立を建てようと、日本ラグビー協会会長を長く務めていた森喜朗(よしろう)元首相らが画策して予算規模がどんどん膨らんでいったと『文春』が指摘している。

 何のことはない、オリンピック予算に便乗して、やってしまえとなったのだろう。

 さらに新国立のデザインを英国在住の女性建築家に頼んだことや、資材・人件費の高騰で予算が一時は3000億円にまでなった。それでは世論が許さないだろうと、競技場のサイズを縮小するなどして1600億円程度まで圧縮したそうである。

 しかし屋根付きにすると工期が延びてラグビーW杯はもちろん、五輪にも間に合わないかもしれないし、カネはさらに嵩(かさ)む。

 私は東京五輪開催には反対だから新国立建設が間に合わなくてもいいが、これも東京五輪招致のプレゼンで安倍首相がIOCに約束したことである。川淵三郎日本バスケットボール協会会長の言うように、「日本は事前に約束していてもいざとなったら平気で破る」国だと言われかねない。

 中国同様、権力者が自己顕示欲のために開催するオリンピックは、64年のそれとはまったく違うものになるはずである。その上、放射能汚染を恐れてボイコットする国が出てくるかもしれない。そうなれば多くの西側の国が参加しなかった80年のモスクワ・オリンピックの二の舞になりかねない。

 私はオリンピックの期間中、ハワイかプーケットに「避難」したいと考えている。

元木昌彦が選ぶ週刊誌気になる記事ベスト3
 今週は芸能人や相撲界の人気者の話題が多かった。なかでも北大路欣也夫妻の老人ホーム入居報道は、他人事ではなく読んだ。こうした記事や102歳(数えで103歳)になる美術家・篠田桃紅(しのだ・とうこう)さんの本などを読み、人生においても歳を取ることは「クリエイトすることだ」という言葉に感動したりする。
 50年ぶりに始めたエレキギターの練習も、篠田さんの「この歳になってできることはある。昨日と今日とは違うんですから」という言葉に触発されたのだが、指が動かなくて苦労している。

第1位 「『照ノ富士』を先物買いした『お目の高い彼女』」(『週刊新潮』6/4号)
第2位 「紀香(43) 愛之助(43)爛漫の同棲愛」(『女性セブン』6/11号)
第3位 「北大路欣也『愛妻と超高級老人ホーム入居』の男気」(『週刊ポスト』6/12号)

 第3位。北大路欣也といえば、東映時代劇の俳優で片岡千恵蔵らとともに戦前・戦後の大スターだった市川右太衛門の次男として生まれ、13歳のときに映画『父子鷹(おやこだか)』でデビュー、以来、スター街道を突っ走ってきた大物俳優だが、これまでプライベートはあまり知られていない。
 『ポスト』によれば、北大路は今、妻とともに介護付き有料老人ホームで暮らしているというのだ。
 その老人ホームは都内にあり、高級ホテルさながらの設備を誇っているそうだ。ロビーには高級ソファーが並び、食事は都会の夜景を見下ろすダイニングで、専属シェフの手による日替わりメニューを味わえるほか、ジャグジーやラウンジなどを備えている。
 当然ながらホームドクターと専属の看護師がいて健康管理は万全なうえ、介護が必要な状態になった時にはケアスタッフによる介護を受けられる。サービスも施設も至れり尽くせりだそうだ。
 だが、入居には一時金として数千万円、加えて食費等月々の費用が数十万円かかる超高級施設だ。
 北大路72歳、妻は66歳だそうだ。『ポスト』によれば、北大路夫婦が元気なうちに老人ホームに入る決断をしたのは、両親のことが影響したそうである。
 両親の安全と安心を常に確保でき、命の尊厳をいつでも守れる環境を提供しなければならないと考えていた北大路は、自分の足で親の終の棲家探しをしたそうである。
 そして巡り会ったのが千葉県館山市の老人保健施設であった。そこで父は92歳、母は95歳で大往生した。母は90歳を過ぎて足取りが覚束なくなっても、夫のためにコーヒーを淹れていたそうだ。
 そんな両親の晩年こそ、北大路にとって理想の夫婦の生き方なのであろう。ちょっといい話である。

 第2位。藤原紀香(43)と歌舞伎役者の片岡愛之助(43)の熱愛を張り込みスクープしたのは『女性セブン』である。
 紀香と愛之助が代官山の和食屋で食事をしたあと、一旦別れた愛之助が、愛車に乗って紀香のマンションへ入り、翌日の朝出てくるところを「目撃」している。
 同棲状態といってもいいそうだ。紀香は独身、愛之助も戸籍上は独身だから問題はないようだが、愛之助には13年2月に「交際宣言」したタレントの熊切(くまきり)あさ美(34)という彼女がいるのだ。
 歌舞伎座近くのマンションで一緒に暮らしていた二人だったが、梨園には結婚について厳しい掟があるため、なかなか結婚に踏み切れなかったようだ。
 そこに紀香との「同棲」の話が表沙汰になり、愛之助は熊切との仲は「終わった」と言ったそうだから、彼女としては「冗談じゃない」と怒るのも無理はない。
 彼女は5月29日、日本テレビ系『情報ライブ ミヤネ屋』に出演して、愛之助とは「別れ話になったことはない」、破局していないと涙ながらに訴えたのだ。

 「熊切は『本当のことはわからないけど(記事に)出ちゃってるから、それが現実なんだろうなと思いました』とショックを隠せず。それでも2人の間で『別れ話になったことはないです』と断言し、『(2人が同棲しているマンションに荷物が)あるから出て行ったと思っていないし、何も変わらずなんで』とあくまで今でも交際中であることを主張した」(『スポニチアネックス』5月29日より)

モテる女と男のちょっとした浮気心なのかもしれない。紀香に梨園の妻になる覚悟があるのだろうか。チョッピリ熊切が可哀想になる、罪作りなゴシップではある。

 第1位。強すぎる横綱・白鵬を抑えて優勝、大関昇進を果たした関脇・照ノ富士(23)に対して『新潮』が「ご祝儀」スキャンダルを放っている。タイミングがバッチリのスクープである。

 「彼と同じウランバートルの出身の20代の女性です。照ノ富士と彼女は現在、伊勢ヶ濱部屋からほど近いマンションの一室で“半同棲”に近い生活を送っているのです」

 部屋の関係者がこう話している。白鵬が千秋楽に日馬富士に負けてまさかの4敗になったため転がり込んできた賜杯だったが、ポスト白鵬に名乗りを上げたのは間違いない。『新潮』によると500人以上が集まった祝賀会で「夢のようだ」と涙ぐんでいたという。
 少し前に『文春』が白鵬にモンゴル出身の愛人がいることを報じたが、照ノ富士の彼女も同郷である。女優の真行寺君枝(しんぎょうじ・きみえ)似の彼女は現在、大学に通っているらしい。伊勢ヶ濱部屋の関係者からも「力士としてスケールが大きい」と言われるだけに女性関係もコソコソしていないようだ。
 毎日のように彼女の部屋へ行って一緒に過ごしているのを『新潮』が目撃している。
 豪快なのは女性にだけではなく、優勝がかかった夏場所の13日目にも、錦糸町と両国にある行きつけの店をはしごして、帰ってきたのは午後11時過ぎだったという。
 「新入幕から8場所での大関昇進は、年6場所制が定着した1958年以降では歴代3位のスピード出世」(5月28日のasahi.comより)。引退の二文字が見えてきた白鵬の次を狙う若武者は、すでに女性関係では大横綱の風格十分のようだ。
   

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   



 映画やドラマなどで、こんなシーンを見た覚えがないだろうか? 天気が悪くなって、男性がヒロインの体を気遣い、自分の上着を脱いで肩にかける。シナリオ的には「優しさで包み込む」ことのメタファーであるが、現実を生きる草食系男子は、なかなか気後れしてできないかもしれない。こういった「自分の服を着せる」行為を、ネット界を中心に「俺コス」と呼んでいる。「俺のコスチューム(を貸してあげる)」を略したものだ。

 「壁ドン」のごとき胸キュンのアクションとしてくくられることも多い俺コス。だが一方では、「好きでもない相手にやられると、かえって迷惑!」という、なんとも率直な女子の反応も多い。世の中には「相手との距離感が近すぎるタイプ」がいる。この手合いは、フランクに「寒そうだから」という純粋な思いでジャケットを貸してくれるのだが、男性の体臭や汗のついた服に抵抗がある女子も多いわけだ。飲み会などで、自分のアクセサリーやメガネなどを「これ、似合うかもよ」とニコニコしながら押しつけてくるキャラというのもまれにいるが、厄介かもしれない。こういったノリが苦手な女子からすれば「モンスター」であろう。……いやしかし、もしイケメンなら何だって許される気もするが。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 5月17日、大阪都構想の賛否を問う住民投票が行なわれた。結果は、賛成69万4844票(有権者の33.02%)、反対70万5585票(同、33.53%)。橋下徹市長の提案は僅差で否決されたが、その理由に「シルバーデモクラシー」が挙げられている。

 シルバーデモクラシーとは、有権者のなかで高齢者が占める割合が高いために、若い人より高齢の人の意見が政治に反映しやすい状態をいう。

 少子高齢化が進む日本では、国民全体に占める65歳以上人口は26.4%(2015年5月概算値)。全体の4分の1を占めるまでになっているが、政治参加の意識も高齢者のほうが高い。

 2014年12月に行なわれた衆議院議員総選挙における年代別投票率は70代以上が59.46%なのに対して、20代は32.58%。高齢の人の投票率のほうが、若い人の2倍も高くなっている。

 これは、日本の社会保障制度が、年金や医療など人生の後半に使うものを中心に設計されているからだ。その制度の行方は高齢者層の政治参加によって決まるため、「高齢者の意見が通りやすい社会」と見られる傾向がある。

 だが、その傾向を大阪都構想の投票結果に当てはめるのは、少々無理がありそうだ。

 一部に、20~40代は大阪都構想に賛成多数なのに、70代以上の反対票が多いせいで否決され、その原因が高齢者人口の多さにあると報じたメディアもある。

 しかし、実際の人口比率を見てみると、決して高齢者層が突出して多いわけではない。以下が、大阪市の人口比率だ(2014年10月推計)。

20代…14.3%
30代…16.8%
40代…18.0%
50代…13.4%
60代…15.6%
70代以上…21.5%

 20~40代を合計すると49.1%となり、70代以上の人の倍以上だ。決して高齢者人口が突出して多いわけではない。

 一方で、今回の投票結果は、年代別の投票者数、投票率は具体的には示されておらず、「高齢者の反対によって大阪都構想が実現しなかった」という確証はない。

 正確なデータを提示せず、大阪都構想の失敗をシルバーデモクラシーのせいにしても、世代間の対立を煽るだけで、真の改革は進まないだろう。つまるところ、若年層が政治に参加する意識が乏しいのは、魅力ある政策を提示できていないからだ。若者への政治参加を促すなら、彼らの目の前にある雇用や教育、子育てといった問題を解決できる政策を見せる必要があるだろう。
   

   

ニッポン生活ジャーナル / 早川幸子   



 雑誌の編集現場では、おそらく一般読者が想像するよりも強いレベルで、表紙の重要性が語られている。自信のある特集であろうと、まずは表紙が目に入らないと読んでもらえないのだ。が、「いい表紙」が容易に生み出せるのならば誰も苦労はしない。逆に言えば「いい表紙」の雑誌は必ず注目されることになろう。いま、その代表例は、主婦と生活社の女性ファッション誌『ar(アール)』ではないだろうか。

 『ar』の表紙は石原さとみ、長澤まさみ、有村架純(ありむら・かすみ)といった人気女優の起用が多いが、知名度頼みな印象は受けない。むしろ女優の新鮮な一面を引き出している。メイクは過剰でなく、ヘアも脱力感を演出しているが、それでいて他誌とは一線を画するセクシーさ。しっとりとした艶やかさとでも表現したらいいだろうか。

 この表紙で具現化されているのが、同誌が打ち出す「雌ガール」というコンセプトである。かわいらしさの中に、「雌」のセクシーさがある。この「雌」という言葉のチョイスは、雑誌側が意図していたかどうかは別にして、うまい。雌ガールにおけるセクシーとは、人工的に盛ったものではなく、動物的な生命のエネルギーなのだ。ヘルシーでありセクシー、それが「雌」という語に集約されている。

 雌ガールに、全方位的な「肉食系女子」の過剰さはない。誰にでもモテたいわけではなく、モテたい人にだけモテたい。そうしたナチュラルな感性が、かえって多くの男性を惹きつけているようだ。女性向けの雑誌なのに、『ar』の写真は男性からも好評とのことである。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 議論の背景にあるのはICT(情報通信技術)化の波。教育現場でも、授業で電子黒板やタブレットの普及と積極的な活用が見込まれるからだ。映像や音声を使うことで子どもが授業に関心を持ち、理解を手助けすることが期待されている。たとえば「英語の授業で端末を使ってネイティブスピーカーの発音を聴き取ることで、リスニング力が身に付く」「理科で実験の様子を、動画を使ってわかりやすく説明できる」といった具合だ。

 ただ、こうしたデジタル教材やソフトは現在はあくまで補助教材としての位置づけだ。文科省のねらいはこれを国の検定を受けた正式な教科書に格上げしようというわけである。

 正式な教科書となれば、子ども一人ひとりにタブレット型情報端末が支給されることになるが、その使用の在り方をめぐって懸念する向きがある。有識者会議でも「情報端末への依存症やインターネットを経由した有害情報(アダルト情報など)へのアクセスをどうするか」「視力低下など児童生徒への健康面への配慮をどうすべきか」などが検討課題として提示されている。

 さらに言うと、教科書となれば義務教育の小中学校では国が公費で購入し、子どもに無償配布することになる。高額なタブレットやその維持管理費をどう負担するのかも論議を呼びそうだ。

 有識者会議は2016年度中に報告書をまとめる予定。文科省は報告書を受け、早ければ2020年度からの導入を目指すという。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   



 おもに女性がスキンケアのために使用するフェイスパックの表面に、さまざまなグラフィックが施されている「遊び心のあるフェイスパック」のこと。動物キャラのイラストから舞妓、歌舞伎役者、マイメロディ、進撃の巨人……ほか、各メーカーのアイデアは無尽蔵状態であるようだ。

 しかし、最近の美容意識の高いヤング男子を除く、筆者をはじめとするフェイスパックには縁のない男性からすれば、この“オリジナリティ”を“つけるヒト”がいったい誰に対してアピールしたいのかが今ひとつよくわからない。だって、フェイスパックしてるとこって基本は他者に見せるものじゃないんだし。鏡を見ながら「おもしろ~い」とかって独りにんまりするのか? たまにしかないお泊まりの女子会で“とっておきのセンス”を披露し合うのか?

 いずれにせよ、嫁や同棲している彼女が寝る前に白いフェイスパックをしている光景にようやく慣れはじめることができた我々にとって、イノセントな可愛さがよりいっそう不気味さを引き立てるこのブームは、迷惑でしかないというのが正直な気持ちではなかろうか。「美の呪文」がお経のように書き連ねられているデザインフェイスパックも実在するらしいが、そんなの嫁や彼女につけられた日には、下手すりゃ失神しかねない。まるで耳なし芳一だ。
   

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   


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