毎朝のように自宅の表に出て、道路の掃き掃除をする「門掃き」という習慣が、京都人の美徳としてテレビ番組などでよく放送される。「かど」とは、玄関の周辺を表す方言で、「門掃き」は、「おはようさん」とお隣さんなどと挨拶を交わし掃き掃除をすることだ。終わったら、お天道様やお地蔵さんに手を合わせたり、暑い季節には打ち水をしたり。「早起きは三文の徳」といったところであろう。

 昔から職住一体の長屋暮らしが多い京都の町では、「門掃き」は「でっちさん」や「おなごっさん」がするものだった。それが徐々に、家人が掃除をする暮らしが当たり前になり、現代のような朝の様子があちこちで見かけられるようになっていった。むろん、そこには京都独特のルールが存在する。例えば、掃き掃除をする範囲は、家の敷地に面した道路の真ん中を少し超えた辺りまでで、両側はお隣さんとの境界を一尺(約30センチ)ほど超えた所まで。これが暗黙の決まりで、そこには「やり過ぎたらあかんけど、少しやったら」という優しさがある。一見、水くさく感じる人もいるかもしれないが、その理由は、頼まれてもいないのに、お向かいさんやお隣さんの領域に踏み込むのは「いらんお節介」ということなのだ。この微妙な距離感が、家々の隣接した狭い町で、隣近所と仲良く暮らしていくために必要な間隔で、付き合いを長続きさせる秘訣なのである。

 この「みやこぶり」というのか、京都人がもっている気質のようなものは、将来「門掃き」の習慣がなくなってしまっても、ずっと受け継がれていくのではないだろうか。

 

   

京都の暮らしことば / 池仁太   



 新聞やテレビの政治部記者は特定の政治家や今は多くはないが派閥担当をやらされる。

 私が編集者になった頃は、田中角栄が「今太閤」などと言われ、角栄率いる田中派が隆盛を極めていた。田中派を担当する記者たちも、他の派閥担当より誇らしげで、いかに自分が角栄と親しいかを滔々(とうとう)と述べる番記者も多かった。

 角栄が凄いのは、海外へ視察などに行くと、番記者全員に土産を買ってくるのだ。葉巻やネクタイ、中には時計をもらったと私に見せびらかす輩もいた。こうした連中は立花隆が『文藝春秋』で田中の金脈研究をやり、それがきっかけになって角栄が首相を辞めることになると、口々に「あんなことオレはとうに知っていた」と嘯(うそぶ)いたが、何のことはない、たとえ知っていたとしても書く気はまったくなかったのである。

 なぜなら、親分が失脚してしまったら甘い汁が吸えなくなるからである。

 為政者はそんな記者をうまく操り、自分に都合のいいことを書いたり喋ったりしてもらう。安倍首相は、そうした操縦術が巧みだと言われているが、角栄ほど人間的魅力がないため、それほど数は多くない。

 NHKの岩田明子、時事通信の田崎史郎、それに産経新聞の何人かの記者が「安倍御用達記者」といわれているようだ。

 TBSを辞めてフリージャーナリストになり、各局のワイドショーでコメンテーターをしている山口敬之も、安倍や菅官房長官と極めて親しいといわれている。

 1990年にTBSに入社。報道カメラマン、臨時プノンペン支局、社会部などを経て2000年から政治部所属、13年からワシントン支局長を務めていた。

 彼が出した『総理』(幻冬舎文庫)によると、小泉政権時代、官房副長官の時、安倍番になった。山口は安倍とは一回り違いで、政策を語り合ったりしたが、「時には山に登ったりゴルフに興じたりした」そうだ。

 親しい証拠に、第一次安倍政権の時、「安倍辞任」をスクープしたのは自分だと誇らしげに書いている。この本を書いたのも、安倍政権に対して繰り返される批判の多くが、特定のイデオロギーを支持し特定の政治集団に属する勢力によるプロパガンダの類で、安倍がどのように国家運営に向き合い、何を悩み何を目標としているのか知らない人間が大多数だから、至近距離で安倍を見てきた私が、安倍のやっている大変な苦労を知ってもらうために、この本を書いたと「まえがき」で述べている。

 これを読む限り、取材対象と一定の距離を置くという、ジャーナリストの基本が抜け落ちているような気がするが、本稿はそれを追及するものではないので、このへんに留めておく。

 その安倍首相とベッタリの彼に「準強姦逮捕状」が出ていたと『週刊新潮』(5/18号、以下『新潮』)が報じたのである。

 『新潮』によると、山口が海外でジャーナリスト活動をしている27歳の女性から、レイプされたと訴えられていたというのである。

 彼女はニューヨークの大学でジャーナリズムと写真を専攻していた。山口と出会ったのは2013年の秋頃。報道の仕事をしたいと言うとTBSのNY支局長に会わせてくれてランチを3人でしたというのだから、山口が支局長になる少し前のことのようだ。

 その後、彼女は帰国してトムソン・ロイターでインターンとして働きながら、就活していたという。英語力を生かしてアメリカで働けないかと考えたのであろう。15年の3月にワシントン支局長になっていた山口にメールをすると、しばらくこちらで仕事をしてもらいながら、その後正式に採用するということなら、自分が決済できるというような内容の返事があったそうだ。

 その後、「ヤボ用で一時帰国する事になった。空いてる夜ある?」というメールが来た。東京・恵比寿で会う約束をしたのが4月3日。

 その頃、山口は『週刊文春』に、ベトナム戦争時でも韓国軍に慰安婦がいたという原稿を寄稿した。だが、それをTBS側が問題にして、支局長の任を解かれ結局、退社することになるのだが、その辺は省く。

 二人だけで焼き鳥屋に入り、串焼き5本と瓶ビール2本をシェア、グラスのワインを1杯ほど、彼女は飲んだという。

 そこを出て、もう一軒付き合ってくれと言われ鮨屋へ入る。そこであなたの「良い評判を聞いていたので一緒に働きたいと思っていた」と山口が言ってくれたそうだ。

 だが、それまで頭がクリアだった彼女が、2度目にトイレへ行ったところでクラクラとして、給水タンクに頭を持たせかけ休んだきり、記憶がなくなったというのだ。

 彼女が覚えている限りでは、その店で刺身と日本酒2合をシェアしただけ。彼女は左党で、2人でワインのボトルを3本あけても平気なのに、あれぐらいの酒で記憶をなくすわけはないと話す。

 「私は薬(デートレイプドラッグ)を入れられたんだと思っています。身体に痛みを感じて目覚めた時、あの人が身体の上に乗っている状態でした」

 ここまではよくある男と女の痴話話だと読んでいたが、さすが報道の仕事をやりたいと言っていた彼女だけに、泣き寝入りはしない

 後日、その日2人を乗せたタクシーの運転手を見つけ出し、証言させているのだ。

 「その女性のことなら、よく憶えています。後部座席の奥側に彼女が座らされていたのですが、男性は彼女に“もっといい仕事を紹介する”と話していました。女性は何度か“駅の近くで降ろしてください”と訴えたのですが、男性が“何もしないから。ホテルに行って”と。(中略)到着しても彼女はなかなか降りようとしませんでした。けれど最終的には彼女は体ごと抱えられて、座席から降ろされたのです」

 それが午後11時22分。彼女が痛みを感じて意識が戻ったのは早朝5時頃。裸にされ相手が自分にまたがっているので、抵抗してトイレに逃げ込んだという。その際、避妊具をしていない相手の陰茎を見たそうだ。

 逃げようとしたがすごい勢いでベッドに顔と身体を押さえつけられた。激しく抵抗して2度目のレイプだけはやっと逃れたそうだ。

 気丈な彼女は、仕事を一緒にしようという話だったのに、なぜこんなことをするのか? しかもコンドームも着けずに。妊娠だって病気だってあるのにと言うと、山口は謝り、好きになってしまったから一緒にこのままワシントンへ行こう。途中でピルを買おうと言ったそうだ。

 彼女はすぐに警察に行こうと考えたが、捜査当局へ行ったところでもみ消されるのではないか、これが知られたらジャーナリストとして仕事ができなくなるのではと悩み、警察に行くまでに5日を要したという。

 高輪署の警部補に面会したが型通り、こういうことはよくある話なので難しいと言われた。だが、ホテルのエントランスとロビーについた監視カメラの画像を確認してもらうなどしたところ、「警部補の方も徐々に捜査に積極的になっていきました」(被害女性)

 そこからタクシーを特定し、ホテルのベルボーイの証言などを積み上げ、当夜、パソコンで裸を撮られているかもしれないという彼女の訴えに、証拠隠滅、逃亡の可能性もあるからと、「準強姦」の逮捕状が発付されたというのである。

 彼女が警部補から連絡をもらったのが6月4日。そして山口が異動のために帰国する6月8日、担当の警部補とその上司を含めた複数の警察官が逮捕しようと成田空港で待ち構えているところに、「山口逮捕は取りやめ!」という上層部からの連絡が入ったというのだ。

 TBSの記者を逮捕するのはオオゴトだと本部の広報課長が考え、刑事部長、警視総監に話が行き、なかでも菅の秘書官として辣腕をふるっていた中村格(なかむら・いたる、刑事部長・当時)が隠ぺいを指示したのではないかという「可能性が取り沙汰されてきました」(事件をよく知る警視庁担当記者)

 その中村は『新潮』の取材に対して、「事件の中身として、(逮捕は必要ないと)私が決済した。(捜査の中止については)指揮として当然だと思います」と、中止させたことを認めている。

 しかし、刑事部長が現場に口をはさむことに関しては、鹿児島県警本部長などを歴任した小野次郎前参院議員は、準強姦罪事件の逮捕は管轄の署長の判断で行なわれるものだから、そうしたケースは異例だと話している。

 山口は『新潮』の取材に対して、彼女に飲酒を強要したことはないし、デートレイプドラッグなど見たことも触ったこともない。彼女が酔っていて、自力で帰れるか心配だったので、やむなく宿泊施設へ来てもらったと話す。

 一切法に触れることはしていないし、任意の調査には全面的に協力した。安倍をはじめとする官邸首脳には相談していないと否定している。

 だが、コンドームを着けないで性行為をしたことを難じる彼女のメールに、自分は「精子の活動が著しく低調だという病気です」という弁明をしている。精子が働かないから、妊娠はしない。だから安心してくれということか。

 彼女は検察審査会に不服の申し立てをするつもりだという。山口は自身のフェイスブックで「6月8日の帰国段階で私は、当該案件について逮捕状はおろか、被害届が出されている事も内偵調査が行われている事も全く知りませんでした。出ているかどうか知りもしない逮捕状を握りつぶすために何かアクションを起こす事は誰にもできません」と反論している。

 だが『新潮』を読む限り、警視庁担当記者は山口が帰国する以前の段階で知っていたようだし、山口は、一切法に触れることはしていないと言っているが、酔った女性をホテルに無理やり連れ込み、彼女の自覚がないのをいいことに、防具なしで無理やりセックスするというのは、安倍首相のお友達ジャーナリストとしては褒められた行為ではない。

 山口がよく出ていたフジテレビの朝の「とくダネ!」でも、姿を見なくなった。

 『総理』の文庫版の解説を『週刊文春』の新谷学(しんたに・まなぶ)編集長が書いている。そこで「徹底的に(安倍首相の=筆者注)ディテールを書き込んでいる。そこに彼のプロフェッショナルとしての凄みを感じる」とべた褒めしているが、女性との距離感の取り方はわかっていなかったようである。

元木昌彦が選ぶ週刊誌気になる記事ベスト3
 美人はなぜ、しょうもない男に惚れるのか。細木数子でなくても、このカップル、すぐ別れるというのは私でもわかる。フジテレビ朝のワイドショー「とくダネ!」は、毎日朝飯を食べながら見ているから、菊川怜の結婚はわが娘が嫁ぐような気がする。幸せになってほしいと思うが、週刊誌の報道通りなら、ちと心配やな

第1位 「『菊川怜』を射止めた女難花婿」(『週刊新潮』5/18号)/「菊川怜(39)と再婚IT長者穐田誉輝(48)には婚外子が3人」(『週刊文春』5/18号)
第2位 「『うんこ漢字ドリル』の社会的考現学」(『週刊新潮』5/18号)
第3位 「山下智久・石原さとみ『半同棲生活』撮った!」(『フライデー』5/26号)

 第3位。『フライデー』によると、山下智久(ともひさ)と石原さとみが「半同棲生活」を送っているという。山下はともかく、石原さとみは今一番いい。

 「4月下旬のある日のこと。
 石原さとみ(30)の自宅マンション裏口に、所属事務所の送迎車が停まった。時間は夕方6時過ぎ。これから仕事なのだろう。と、ほぼ同時に『迎車』のタクシーが登場。送迎車の後ろにつけた。
 送迎車は石原をピックアップすると、すぐに発進。後を追うようにして、マンションから出てきた男がタクシーに乗り込み、発車した。タクシーの後部座席には、シートにもたれながら、スマホをイジる山下智久(32)の姿があった。
 その後、タクシーは山下の自宅へ──」

 山下は現在、連ドラ『ボク、運命の人です。』(日本テレビ系)に出演中。次クールのフジの月9『コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命~』新シリーズへの出演も決まっている。とにかく忙しいはずなのだが……現在、山下はガッツリ、石原と一緒に過ごしているのだった。たまのオフなら、この熱量も理解できよう。だが、翌日もその次の日も、山Pは石原宅で密会を重ねていた

 『山Pと石原は15年にフジの月9で共演。最終回の長く、甘いキスシーンが「キュンキュンする」「こんなんされたら惚れてまうやろ!」と話題になりました。で、実際に恋仲になったんですが、それはドラマが終わってしばらくたってから。ここ1年くらいのはずです』(中堅スタイリスト)

 「4月9日の山下の誕生日には、原宿駅近くで誕生日デートをしたと『女性セブン』が報じている。
 その直後から、二人の密会場所が山下宅から石原宅に変わったところを見ると、マスコミの目を気にしたのだろう。
 だが──通い愛が終わるどころか、『時間が許す限り一緒に過ごす』という、半同棲状態へ二人の仲は進化した。
 次の段階、すなわち結婚への発展に障害は、いまのところ見当たらない」(『フライデー』)

 うらやましいけど、まあいいか。

 第2位。わが家には17歳のモエという老犬がいる。目はだいぶ見えなくなっている。耳はほとんど聞こえない。おまけに認知症がかなり進んでいる。
 だが食欲だけは衰えない。食事時になると、私の横にベッタリ座って、何かよこせとうるさい。キャベツが好きで、誕生日には丸ごと与えるが、ほとんど残さない。食べていなければ寝ている。最近困るのは、足の踏ん張りがきかないから、真後ろにばたりと倒れる。それと同時にうんちを漏らすのである。食事時でも、部屋のあちこちで滑ったり倒れたりする。あちこちにコンモリとうんちの小山ができる。そのたびに食事を中断してふき取るのだ。さほど匂いがしないので助かっているが。
 彼女が、オマエももう少ししたらこうなるのよと教えてくれているのだと思うと愛おしい、まだ長生きしてもらいたいと思う。これはペットロスの歌。

椅子を見る いつでも不在肘掛けに鼻面のせる犬を欲しけり(佐藤南壬子(なみこ))

 ところで、ちんぽの次はうんちだそうだ。『うんこ漢字ドリル』(文響社)という小学生向け教材が5刷り84万部だと『新潮』が報じている。
 小学校で習う漢字は1006字だそうだ。一つひとつに書き順などの解説文を添えて読み書きを学べるそうだが、すべての例文に「うんこ」の3文字が入っているのだ。例えば、

 「ぼくは、六月になるまでうんこをしないぞ」「田んぼのどまん中でうんこをひろった」「大学生が、うんこを□小(しゅくしょう)コピーしている」「うんこで前が見えないので、一度車から□(お)りる」(□は書き取り用の空欄)

 教育評論家の尾木直樹によると、小学校低学年の男子はおしりとかうんこという言葉が大好き。一方で母親はうんこを忌み嫌うので、子供はますます興味を持つそうだ。「自分の体から異物が出てくることの意外性に、子供は反応するわけです」
 評論家の唐沢俊一によると、フロイトは、性的感覚が目覚める2~4歳ぐらいの幼児期を「肛門期」と名付け、排せつ時に味わう快感は大人になって味わうセックスの前兆ととらえたそうだし、『東海道中膝栗毛』の原典にはセックスやスカトロの話が出てくる。これは堅苦しい武家社会に対する庶民の反骨心の表れだそうだ。
 アニメに『うんこさん』、映画にも『東京うんこ』というのがあるそうだ。永六輔はうんこの話が好きだった。こんなものいらないと思っても、一日一回はしゃがまなくてはならない。うんことちんぽ、どちらが……いや、やめておこう。今年の出版界はこの二つが引っ張っていくのかもしれない。

 第1位。フジの朝の顔「とくダネ!」に出ている菊川怜(39)が発表した結婚相手に、「婚外子が3人」(『文春』)いると『新潮』も報じている(編集部注:『文春』5/25号の続報で第4の婚外子の存在が明らかにされた)。
 こういうものをやらせたら『新潮』に一日の長があるので、『新潮』から引用する。
 菊川は、桜蔭高校から東大工学部を出た才媛。才色兼備で、小泉進次郎などと噂にはなったが、とんと浮いた話はないようだった。
 それが4月28日、自分が出ている「とくダネ!」で突然、結婚したことを報告したのだから、相手は誰だと大騒ぎ。
 元クックパッド社長で現オウチーノ(不動産・住宅情報サイト運営会社)会長、個人資産230億円超ともいわれるIT長者の穐田誉輝(あきた・よしてる、48)だと判明して、お祝いムードかと思ったらそうでもないようだ。
 一枚のペーパーが週刊誌魂に火をつけてしまったのである。そこには「通知人(註・穐田氏)としては、平穏な生活を送ることを希望しており、私生活上の事実を取材されること及び報道されることを望んでおりません」とあり、もし書くのなら、実名ではなく、プライバシー侵害をしないでくれ。これを守らないならば法的措置を取ると加えてあった。
 こりゃダメだ。私には隠したい過去がありますから、どうぞ取材してくださいというようなものである。
 彼は青山学院大学を出てベンチャーキャピタルなどを経て、2000年に商品の比較サイト「カカクコム」を上場させるために入社、後に社長。07年に料理のレシピサイト「クックパッド」の取締役に入り、同社を上場させた。
 同社が上場すると巨万の富を得たという。だが、社長になったが、創業者と意見が合わず、昨年3月に退社させられてしまう。「オウチーノ」を買収して現在に至っているそうだ。
 ITバブル紳士というところか。しかもイケメンだからよくモテたようだ。10数年前に最初の結婚。「クックパッド」では、社内の女性とのことが話題になり、奥さんが弁護士を連れて会社に乗り込んできたという。
 その後妻とは別れて、新しい女性と結婚したのが12年10月。その女性との間には2人の子供がいる。当然、菊川と結婚するのだからこの女性とも別れてしまったのだろう。
 だが「クックパッド」で芸術関係の仕事をしている女性とも懇ろになり、子供までできた。生活費を払っていたが認知はしていないそうだ。そして、この女性とも別れたようだ。
 『文春』によれば、菊川と入籍したのが4月27日。その入籍した日に穐田は、内縁関係にあった件の女性との間の子供と、月に1度の面会日だったがドタキャンしたそうだ。
 その女性は、その後菊川と結婚したことを知り、大きなショックを受けた。『文春』によれば、彼女が妊娠中にも穐田が「話がある」と言い、前に付き合っている女性がいて生活の面倒を見ているが、その人が妊娠したと打ち明けられたというのだ。そのときは自殺も考え、精神科に通院したという。
 彼女が明かすには、穐田は避妊をしないそうだ。「子供ができたら産めばいい」。そういうセックスだから、あちこちに子供をつくってしまうのだろうか。
 バブルで儲けたアブク銭があるから、子供ができたって生活費と養育費を払えばいいんだろ。そう考えてはいないだろうが、こちらもあまり褒められた生き方ではない。
 賢い菊川のことだから、こうしたことまで知ったうえで、この男が人生の伴侶としてふさわしいと決断したのだろう。世の中には、こんなダメ男がどうしてこんないい女と結婚しているのかと思わせる不思議なカップルが大勢いる。
 決してあなたたちがそうだというわけではないがね。
   

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   



 一昔前は「副業禁止規定」が普通のことであった。たとえば友人のビジネスを手伝うようなことがあっても、所属する会社にバレないように、こそこそやる気持ちが存在していたはずだ。しかし、終身雇用のシステムが崩壊した現代において、キャリアをすべて仕事先に捧げるのはリスクが高い。企業側でも、オフィスにいないときはどうぞご自由に、という姿勢をとるところが増えてきた(外で視野を広げて、それを社に還元してほしいと考えるところもある)。

 そもそも、必ずしも企業にいることが得策とは限らない。自分で起業したり、フリーランスになるという選択肢はどうだろう。重要なことは所属ではない。メインとなる仕事をしつつ、その専門性を活かして別の仕事をする。そうして仕事や人脈の幅を広げていく、未来に向けて自分の価値を上げ続けることが、いまを生き残る術なのだ(ということが、最近よく語られる。これも意識が高くてなかなかタイヘンではあるが)。

 この時代を反映して、一つの肩書だけで済ますのではなく、複数の肩書を同時に掲げるスタイルが増えている。ひんぱんに名刺交換しているビジネスマンであれば、並列型の肩書が多くなった実感は間違いなくあるはずだ。

 テレビでおなじみの例では、「医師(あるいは弁護士)/タレント」などが挙げられる。そのなかには、本業とまったく関係のないバラエティに出演する御仁も見受けられるが、それも立派な「営業活動」。ほかにも、「営業マン/ライター(あるいはブロガー)」のように、明らかに「(会社員)/(副業)」となっている肩書もある。日々のサラリーマンとしての体験をもとに、リアルな業界の問題などを、別のメディアに寄稿しているのだろう。

 これらは、肩書と肩書のあいだに/(スラッシュ)が入ることから、「スラッシュキャリア」と呼ばれる。もとは著名な経営者に対するコーチングで有名なマーシャル・ゴールドスミス氏の言葉である。この「/」は、ニュアンス的には「×」(かける)に近いと考えたほうがよい。異なる分野において掛け算の実力を発揮できる、他にはマネのしにくいキャリアであると、みずからのバリューの高さを主張できるわけである。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 「総理夫人とは、公人ではなく私人であると認識しており、それはお尋ねの『安倍昭恵総理夫人』についても同様である」(内閣衆質一九三第一一二号 平成二十九年三月十七日)

 「憲法や教育基本法(平成十八年法律第百二十号)等に反しないような形で教育に関する勅語を教材として用いることまでは否定されることではない」(内閣衆質一九三第一四四号 平成二十九年三月三十一日)

 これは、今国会(第一九三回通常国会)会期中に安倍内閣で閣議決定された答弁書の一部だ。

 閣議決定は、総理大臣をはじめとする内閣全体の統一見解を示すもので、本来は法律や予算案などの重要政策の基本方針を決める際に用いられるものだ。

 内閣の意思決定手段のなかで最も高く位置づけられており、ひとりでも反対する閣僚がいると閣議決定はできない。全閣僚の意思統一が原則なので、政策決定が優先される場面では閣議決定に反対する大臣は罷免(ひめん)されることもある。

 もちろん、法律を制定するためには改めて国会に図る必要があるが、閣議決定は内閣、ひいては政府の統一見解を国内外に示す重要なもので、閣議決定された法案の9割は成立している。

 ところが、このところニュースで取り上げられる閣議決定には、冒頭のように「こんなものが…」と首をかしげざるを得ないものもある。

 なぜ、安倍内閣は、わざわざ総理夫人を「私人」と閣議決定したり、教育勅語を教材として使用することの是非を閣議決定したりしているのだろうか。

 実は、冒頭の閣議決定は国会議員からの質問主意書に対する答弁書で、内閣にはこれに答える義務があるからだ。

 質問主意書は、国会議員が国政に関することを内閣に対して質問する文書で、内閣は原則的に7日以内に答弁書を作って、閣議決定して回答しなければならない(国会法第75条)。

 質問主意書を衆参の議長に提出すると、国会の各委員会や本会議での質疑の場以外に政府の見解を問いただすことができるため、与えられている質問時間の短い野党や無所属議員にとっては有効な政治活動になっている。過去には質問主意書によって問題解決が図られた事案もある。また、政府の見解が明らかになり、国民が政権評価をするときの情報にもなっている。

 ただし、今国会での質問主意書は、明らかにこれまでとは質の違いが見て取れる。

 これまでは、医療や介護、沖縄の基地問題など国民生活に直結する質問、政府や官僚組織内で起こっている不祥事について情報提供を促すものなどが主流だったのに対して、今国会では総理大臣をはじめとする閣僚の発言の趣旨を問いただすものが目につく。

 たとえば、「稲田防衛大臣の法的な意味における戦闘行為との答弁に関する質問主意書」「安倍総理の東京オリンピック招致演説に関する質問主意書」「アドルフ・ヒトラーの著作『我が闘争』の一部を、学校教育における教材として用いることが否定されるかどうかに関する質問主意書」などが提出されている。

 教育勅語に関する政府見解や、総理夫人の行動や言動に関する質問については、提出者が入れ替わりながら複数の質問主意書が出されているのも特徴だ。

 こうした質問主意書が提出されるのは、それだけ現閣僚、その関係者の言動や行動が、これまでとは異質のものに映っているからにほかならないが、そこで閣議決定された内容に不安を覚えている国民も多いだろう。

 教育勅語は、国のために身をささげる軍国主義を正当化する内容で、基本的人権を損なっていることを理由に、1948年に国会で失効を決議している。ところが、当初の閣議決定では、憲法や教育基本法に違反しないことを前提としているものの、道徳の教材などに使うことを否定していなかった。その後、別の質問に対して「教育現場での教育勅語の活用を促す考えはない」という新たな答弁書が出されたが、政府の統一見解がこれほどまでにコロコロと変わるのはあまりにも軽く、閣議決定の存在意義を疑わざるを得なくなる。

 憲法や法律に適合していなかったり、歴史的事実を顧みず国民感情と大きく乖離したりしている閣議決定は、いくら時の内閣が統一見解だと示したところで、国民は受け入れることはできない。

 閣議決定は、国の行く末を決める重要なもので、今のような軽い扱いは理不尽だ。日本だけではなく、世界の人々にとっても望ましいものになるように、本来の重みを取り戻してほしい。
   

   

ニッポン生活ジャーナル / 早川幸子   



 食べてみればじゅうぶんに美味しい。だが、網に引っかかっても、廃棄の運命にある魚が多くいる。「見た目がよくない」「ふだんなじみがない」など理由はさまざまだ。漁業関係者のあいだでは「未利用魚」と呼ばれる。近年の傾向として、家庭の食卓に魚料理が上がる機会が減っており、なおさら「わざわざ食べない」ということになってしまう。

 これまで未利用魚は、漁獲量が少なくてロットがまとまらず、市場に出回ることはほとんどなかったといってよい。魚にはかわいそうな表現となるが、捨てるほうがコストがかからないのだ。だが、加工や保存に関する技術が高まって、「未利用」の状況から脱する魚も多くなっている。

 最近では、お財布に優しい海鮮居酒屋などで、未利用魚が積極的に活用されているそうだ。このとき、一般的な魚と風味が近い別の魚、という特徴がポイントになることも。どうにもルックスが「グロい」魚でも、さばいてしまえば味勝負。マイナーなだけで、本来ならば新鮮で美味しい魚がごまんといる。お造りの中に知らない魚が入っていたら、むしろ食べて食の経験値を増やしたいものである。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 化学兵器とは文字通り、化学薬品を使って製造される兵器。神経に作用したり、窒息させたり、あるいは皮膚をただれさせたりするなどして、人間を殺傷する。核兵器とともに大量破壊兵器と位置付けられている。

 古くは第一次世界大戦中の東部戦線でドイツ軍がロシア軍に大規模使用したことで知られる。具体的には北朝鮮の金正男(キム・ジョンナム)氏の殺害に使われた「VX」や、オウム真理教が製造した「サリン」、内戦が続くイラクで使われた「マスタードガス」「塩素ガス」などがそうだ。

 その特徴はわずかな量でも大きな殺傷力を持つことだ。そのため、化学兵器の使用、生産、開発、貯蔵は化学兵器禁止条約で禁止されている。ただ極秘裏に貯蔵していると見られている国がある。最近使用したと報じられたシリア・アサド政権はこの禁止条約に2013年に加盟している。

 また北朝鮮は条約に未署名である。韓国政府の推定によると、北朝鮮は、VXやサリンなどを2500~5000トン保有しているという。安倍晋三首相も2017年4月、国会の質疑で北朝鮮のミサイル開発に関連し、「(化学兵器の)サリンを弾頭につけて着弾させる能力をすでに保有している可能性がある」と指摘した。

 韓国政府によると北朝鮮は炭疽(たんそ)菌など生物兵器も保有しているとされる。核兵器、ミサイル開発と併せて警戒を怠ってはならない。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   



 京都市動物園内で飼育している十数羽のフンボルトペンギンのなかで、いつも群れから離れている一羽のメスのペンギン「ナンテン」(※平成19年生まれの10歳。人間に例えると20代後半の適齢期?)がネット上で

 「大学生の頃のワイかな」
 「同じぼっち同士仲良くなれそう」
 「親近感わいた」

……などと話題を集め、次第にこう呼ばれるようになった。

 天王寺動物園から来園したペンギンで、新しい環境に馴染めないらしく、一羽っきりで壁に向かって立っていることが多いのだという。

 ただし、当園の飼育員さんの談話によると、「別に仲間はずれにされているわけではなく、ただ群れないだけ。仲間とエサを食べたり、一緒に泳ぐこともあるそうで、“群れ”と“ぼっち”をきちんと使い分けている」のだそう。

 ネット社会の波が押し寄せ、生身のコミュニケーションを苦手とする(おもに)若い世代が急増しつつある昨今、ナンテンちゃんの仙人的とさえ言える孤高な立ち居振る舞い、最低限の集団生活だけは自然にこなせる繊細なバランス感覚が、人間からすれば「共感」どころか「お手本」となっているのかもしれない。

 ちなみに筆者はつい先日、関西に帰省した際、京都市動物園にも立ち寄ったのだが、残念ながら“ソレっぽい”ペンギンは確認することができなかった。おそらく、稀とされている「気まぐれな群れ(集団生活)タイム」の最中だったのだろう……?
   

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   


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