しっかりと粘りのある丸餅に、丹波大納言を使った粒あんが堂々とのっている。粒あんは、編み笠の形を模(かたど)っているという。このあんが甘さを控えた上品な味なので、丹波大納言のつぶつぶ感が引き立ち、すっきりとした餅菓子に仕上がっている。この「おせきもち」に加え、もう一つの看板メニューである「おはぎ」もおいしそうだ。

 「おせきもち」は京と大坂を結ぶ鳥羽街道の茶屋として、450年前に創業した。名前は、餅菓子も、茶屋も「おせきもち」という。由来は江戸時代に「せき女」という女が笠の裏に、編み笠の形をした餅をのせ、鳥羽街道の旅人に振る舞ったのが最初だという。

 淀川に沿うように進む鳥羽街道は、当時の大坂と京都を行き来する人がたいてい通った道である。京都の表玄関という立地で、昔は平安京の正門、羅城門へと続いている大道の入り口があった付近にあたる。現在は名神高速道路の京都南インターチェンジ付近にあたり、自動車の往来が激しく、歩いている旅人はほとんど見当たらない。だが、変わらぬ味と、ふっと往時を偲ばせるような趣のある茶屋を訪ねてくる客は後を絶たない。1200年あまり前の平安遷都のとき、都の守護と国の安泰を祈願して創建された、方除(かたよ)けの大社・城南宮の参道近くにあるため、参拝みやげとしてもずっと愛されてきた茶屋である。

 

   

京都の暮らしことば / 池仁太   



 森友学園問題に続いて安倍晋三首相のお友だち(加計(かけ)孝太郎)が総長をやっている加計学園が獣医学部を新設する際、首相からの働きかけがあり、当初反対していた文科省側がお得意の「忖度」をして態度を急変させ、認可したのではないかという疑惑が広がっている。

 何しろ、安倍首相の目玉政策である国家戦略特区として獣医学部を愛媛県今治(いまばり)市につくれと決定したが、その資格を有するのは加計学園(岡山市)一校しかなかった。そのうえ、今治市は同地区の高等教育施設用地(16.8ヘクタール)を無償譲渡するだけでなく、施設整備費の債務負担行為限度額96億円の助成もするというのである。

 誰が見ても公私混同の極みだが、安倍首相や菅官房長官らは、森友学園同様、何らやましいところはないと白を切り通し、逃げ切る構えだった。

 しかし天網恢恢(かいかい)疎にして漏らさず。前川喜平文科省前事務次官(62)が、首相補佐官など複数人から、「これは官邸の最高レベルが言っていること」「総理のご意向だと聞いている」から獣医学部の新設を認めろ、規制改革せよと文科省側に圧力をかけていたことは事実、その文書も残っていると告発したのである。

 朝日新聞がこれをスクープし、一気に安倍首相の目に余る公私混同が表に晒され、さしもの安倍一強政権も傾くかと思われた。

 慌てた官邸は、菅官房長官が「あれは怪文書みたいなもの」と真っ向から否定し、官邸のポチ記者の一人・田崎史郎時事通信特別解説委員がフジテレビの『とくダネ!』に出て「(前川は)首を斬られたのを逆恨みして出したもの」と、安倍の代弁をして文書の正当性を打ち消して見せた。

 辞任の経緯を少し説明しておこう。前川前次官は、文部科学省が国家公務員法に違反して同省前局長の早稲田大学への「天下り」をあっせんした疑いが指摘された問題で責任を問われ、わずか半年余りで事務次官の座から降ろされているが、前川は自ら辞任を申し出たと言っている。だが菅の前川憎しは止まらない。

 「前川氏は天下り問題についての再就職等監視委員会の調査に対して問題を隠蔽(いんぺい)した事務方の責任者で、かつて本人もOB再就職のあっせんに直接関与していた。にもかかわらず、当初は責任者として自ら辞める意向をまったく示さず、地位に恋々としがみついていた。その後、天下り問題に対する世論からの極めて厳しい批判にさらされて、最終的に辞任したと承知している」(5月25日、菅官房長官の記者会見での発言)

 前川は、東京大学法学部卒業後に文部省入省。在フランス大使館一等書記官、大臣官房総括審議官などを歴任したエリート。祖父は産業用冷凍庫の世界でトップシェアをほこる前川製作所の創業者。父親は前川産業(現:株式会社前川)元社長で、妹の真理子は中曽根弘文(中曾根康弘元総理の息子)元文相、外相夫人である。この華麗なる人脈からは、逆恨みしてあることないことを言い立てる人物には見えない。

 このままではいけないと考えた官邸は、まさにスノーデンが暴露したアメリカ国家安全保障局(NSA)のような役割をしている内閣情報調査室(内調)と公安警察に前川の活動監視を命じ、親しいマスメディアに書かせるという禁じ手を使ったのである。

 『週刊現代』(6/10号)で公安の内情に詳しいジャーナリストの青木理(おさむ)がこう語っている。

 「警視庁公安部は、テロ組織や過激派以外にも、日常的に中央省庁幹部、次官・局長クラス、さらには問題を起こしそうな官僚や重要案件の担当者などの身辺情報を集めています。また、内調は事実上、公安の『官邸出先機関』のようなものです」

 そして公器を自称する読売新聞が5月22日付朝刊で「前川前次官 出会い系バー通い 文科省在職中、平日夜」と見出しを付けて報じたのである。

 「その結果、安倍官邸の目論見通り、前川前次官の信頼や名声は、あっけなく地に落ちたのだ」(『週刊新潮』6/1号、以下『新潮』)

 読売新聞が飛ばし、同じ官邸御用達の産経新聞が続き、『新潮』がご丁寧に、前川が通っていたという新宿・歌舞伎町の「出会い系Bar」の潜入ルポをする。

 見事な連係プレーである。

 そのBarは、男は入り口で入場料6000円を払い、無料で入れる女性たちを物色し、気に入った女性を外に連れ出して食事やホテルに誘うシステム。

 『新潮』が前川の写真を見せると、そこにいた女性たちが口々に、「あ、何度も見たことがある!」「週3、4回くらいじゃない。1年ちょっと前から来るようになって」と証言する。

 だが『新潮』もこれではあまりに権力寄りだと気づいたのか、その店の女性に「あなたが来る2日前から、読売新聞の2人組がここに来ていた。最初は名乗らず、あなたと同じ写真を見せながら“同じ会社のすごい人なんだ”とか言って、何人もの女の子を食事に連れ出し、色々と話を聞き出そうとしていたよ」という証言を載せている。

 読売新聞は“ポチ新聞”になり下がった。いや、もともと程度の良くない新聞だったのが、安倍首相の改憲論の理論的支柱を自任するナベツネ主筆の狼藉ぶりが目に余るようになってきただけなのだが。

 またNHKは、前川のインタビューも収録済みなのだが、いまだ放送されていないという。

 「というのも、前川さんに“買春疑惑”が持ち上がってきたからです。そんな破廉恥な元役人の話に丸乗りして、安倍総理を追及するのは危険ではないかという判断が、局の上層部であったみたいです」(NHK関係者)

 一方、『週刊文春』(6/1号、以下『文春』)は、前川前次官の「独占告白150分」を巻頭でやっている。

 前川は16年6月に事務次官に就任したが、すぐに直面したのがこの獣医学部新設問題だった。文科省は獣医師の供給不足はない、新設するならば、既存の獣医学部で対応できないニーズに応える獣医師を養成する場合に限るという原則を決めていたが、16年8月に大臣が代わり、新たに「安倍のイエスマンのような存在」(官邸関係者)の山本幸三が地方創成相に就任すると、話が動き出し、山本が率いる内閣府が学部新設へ前のめりになっていったという。

 内閣府からの文書の中に「これは官邸の最高レベルが言っていること」などの文言が入り、前川は「『これは厄介な話だな』と思った記憶があります。官邸の最高レベルというくらいですから、総理か官房長官かな、と受け止めていました」と語る。

 さらに追い打ちをかけるように、平成30年4月開学を前提として内閣府は進めているとし、その理由が「総理のご意向だと聞いている」というのだ。

 前川は「これは藤原審議官の表現であって、本当の総理のご意向なのかどうか確認のしようがありませんが、ここまで強い言葉はこれまで見たことがなかった。プレッシャーを感じなかったと言えばそれは嘘になります」と、総理のご意向という言葉に次官といえども恐れおののいた。

 なぜそんなに急いだのかよくわからないが、結局、内閣府が描いたスケジュール通りに進んでいった。それも加計学園に有利な条件に変更されて。前川はこう反省している。

 「本来なら、筋が通らないと内閣府に主張し、真っ当な行政に戻す努力を最後まで行うべきだったと思います。『赤信号を青信号にしろ』と迫られた時に『これは赤です。青に見えません』と言い続けるべきだった。それができなかった、やらなかったことは、本当に忸怩(じくじ)たる思いです。力不足でした」

 読売新聞の「出会い系バー通い」報道については、「その店に行っていたのは事実ですが、もちろん法に触れることは一切していません」と潔く認めている。

 前事務次官がここまで証言しているのだから、安倍の便宜供与疑惑は真っ黒である。だらしのない野党のケツを叩き、安倍を追い込み、共謀罪を潰すために真っ当なメディアは結束すべきである。

 だが当の安倍は、国会で追及されても「疚(やま)しいところはまったくない」の一辺倒。5月31日付の朝日新聞で、ICIJ(国際調査ジャーナリスト連合)の創設者チャールズ・ルイスがこう話している。

 「トランプ大統領は、真実や事実関係を無視し、毎日のように虚偽発言をします。前世紀、政治が恐ろしい結果を招いた例を見ますと、政治家がうそをつくことから始まっています。それを次第に国民が真実だと錯覚するようになっていくのです」

 トランプを安倍に変えれば、まったく同じことがいえる。否、このことは安倍がトランプに教えたのではないか。追及されても嘘を100万回言っていれば国民は信じるようになる。

 どうしても困ったときは、それを打ち消すような大風呂敷を広げ、国民やメディアの関心をそちらに向ければ、そのうち忘れてくれる。

 森友学園や加計学園問題で困った安倍が突如持ち出したのが憲法改正ではなかったのか。2020年までにやる、憲法9条の1項と2項はそのままにして、第3項に自衛隊を入れるという、ウルトラサーカス的言い方をした。

 わが国は平和憲法を持ち戦争放棄をしているのに、侵略戦争はやりますと言っているのに等しい。こんなふざけたことは憲法学者ならずとも、インチキだとわかる。だが安倍にとっては、森友学園や加計学園を忘れてくれればそれでいいのだろう。

 「私は嘘をついていますが、私は根はそんなに悪い人間ではありません。総理という職にあるため、こういう見え透いた嘘をつかなくてはいけないのです」と顔に書いてある。

 トランプはこれを聞いて膝を打ったに違いない。ロシアンゲートで追い詰められそうになったとき、国民の関心を他に向けるにはどうしたらいいのか。安倍に電話で相談したかもしれない。「それには世界で一番嫌われている北朝鮮を攻撃するに限る」とでも言ったのだろうか。トランプは空母を結集し、初外遊に出かけアメリカを逃げ出した。

 だが、トランプには誤算があった。アメリカのメディア、ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストは決してトランプ監視を緩めてはくれないからだ。

 安倍はトランプに、マスメディアなんて、酒を飲ませて甘い言葉をささやいてやればイチコロですよと言ったのだろう。ただし「日本の」と付け加えるのを忘れてしまったのだ。

元木昌彦が選ぶ週刊誌気になる記事ベスト3
 このところ『現代』や『ポスト』だけではなく、『文春』や『新潮』まで健康雑誌に衣替えしたようだ。今週の『ポスト』の「主治医が60歳以上だと死亡率が急上昇する」には笑った。たしかに確率的にはそうなのかもしれないが、医者も人の子、若くてもどうしようもない医者もごまんといる。だが、今週の『現代』の「耳かきはいけない」というのは新鮮だった。耳かきや綿棒は耳の奥に入れてはいけない。そうかもしれないな。

第1位 「判決ソフトに頼る『コピペ裁判官』が増殖中」(『週刊現代』6/10号)
第2位 「60すぎたら『耳かき』をしてはいけない」(『週刊現代』6/10号)
第3位 「舛添要一前都知事独占手記『都知事失格の私から小池さんへ』(『週刊ポスト』6/9号)

 第3位。『ポスト』が舛添要一前都知事の独占手記をやっている。いまさら聞くことなどないように思うのだが、覗いてみよう。
 まずは、自分の時に五輪予算が膨れ上がったが、それを削減したとの自慢。それに、森喜朗(よしろう)が自分の“政治の師”だとして、五輪の組織委員会会長として大所高所から的確な判断をしたというのである。
 また、小池にすっかり悪者にされたドン・内田茂も、世間のイメージと実像が異なり、都知事選に立候補したときには、猛反発した自民党都連を押さえてくれたと、感謝している。
 豊洲問題では、石原慎太郎や猪瀬直樹などの身勝手な人事で、職員は委縮し、イエスマンしかいなくなったところに問題があったとしている。
 そして小池のやり方をこう批判する。

 「豊洲を含めた小池劇場が長引くほど、財政を含めた様々な面で大きな負担を強いられるのは、都民だ。
 『サーカス』に騙された都民は、そのツケを自ら払わなければならないのである。
 もちろん分かっている。私が辞任した結果、都政に混乱を招き、都民を失望させてしまったのだ。それに関しては、心から申し訳ないと思っている。
 さきほど職員と都知事の信頼関係構築を説いたが、私にそれができたという自信はない。
 そんな私が、最後に私心を捨てて言う。小池知事は都民を騙すのをやめたほうがいい。そして都民よ、いい加減目を覚ましてほしい」

 都民はあなたへの怒りを忘れてはいない。その怒りが小池支持へ向かい、小池も口先ばかりで何もやろうとしないで、国政への足掛かりとして都議選を私物化しようとしている。
 国と同じで、我々都民も、一度たりとも「都民のための都政」を真剣に考える都知事に出会ったことはない。あるとすれば美濃部都政の一期の時ぐらいか。
 小池は早くも賞味期限切れが来たようだ。だが、安倍政権と同じように、小池しかいないという「感情論」で、小池新党がある程度の勝利を収めるかもしれない。かくして、都民は汚い空気とまずい食べ物を食べて生きてゆかなくてはいけない。嗚呼!

 第2位。ところで『現代』によると、60過ぎたら耳かきをしてはいけないそうだ。
 JCHO東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科の石井正則診療部長は、こう解説する。

 「耳垢(じこう)には抗炎症作用のある免疫グロブリンAが含まれ、耳の中で細菌が繁殖するのを抑える効果があるのです。なので、完全に耳垢を取り除いてしまうと、かえって細菌感染のリスクが高まってしまいます。(中略)
 たかが耳かき、と油断してはいけません。耳かきのやり過ぎで湿疹がひどくなると、そこにカビが生えてくることがあります。水虫のように、菌が繁殖してしまうと根治が難しいのです。悪化すると、耳介軟骨膜炎を発症するケースもあります。これは、軟骨が炎症を起こして激痛とともに耳が腫れ上がる病気で、最悪の場合、耳が変形してしまうこともあるのです」

 アメリカ耳鼻咽喉科頭頸部外科学会聴力委員会のダグラス・バカス会長は、次のように語る。

 「『なんとなく耳がムズムズするから』と耳かきがやめられない人が多いようですが、これは負のスパイラルに陥っている証拠です。(中略)
 北米で最もポピュラーな綿棒『Q-tips』の公式サイトには、『綿棒は外耳道に入れずに、耳たぶの周りを掃除するのに使ってください』と注意書きがあります。(中略)
 また、日本でポピュラーな竹製の硬い耳かきは、綿棒よりもより外耳道を傷つけるリスクの高いもので、本来は使うべきものではないのです」

 私も耳が痛いことがあるが、綿棒を耳に入れるなら1センチメートルだけにしろというのだ。頻度としては月1回でも多いくらいだと思ったほうがいい。週1回以上している人は、耳かきのしすぎだそうだ。そうだったのか。

 第1位。岩瀬達哉(たつや)が『現代』の連載の中で、コピペ裁判官が急増していると報じている。岩瀬は、本来、判決は、裁判官が「記録をよく読み、よく考え、証拠に照らして的確な判断を下さなければ書けない」ものだが、それを普通の事務のように処理することを可能にしている判例検索ソフトができているという。
 最高裁は「判例秘書」や「知財高裁用 判例秘書」など各種ソフトを、約7500万円かけて購入しているそうだ(2016年度予算額)。このうち「判例秘書」はほとんどの裁判官が活用していて、自分の抱えている訴訟と類似する過去の事件で、どのような判例があるかを検索しては、判例起案の参考にしているという。

 「参考にするだけならまだしも、なかには似た事案の判例を見つける、やっとこれで判決が書けると顔をほころばせ、そのままコピペしている裁判官もいる」

 こう語るのは首都圏の大規模裁判所に勤務するベテランの裁判官。

 「そういう嘆かわしい実態を、最高裁も分かっているはずです。なのに、『判例秘書』の運営会社から、情報提供の要請があれば、便宜をはかり、かなり迅速に対応している。もはや、『判例秘書』は、裁判官にとって無くてはならない『起案バイブル』なので、その手当は怠れないということなのでしょう」

 判決までコピペでは、心の通った判決が書けるわけはない。それに過去の判例と違うことなど間違っても判断できるわけはない。

 「『コピペ裁判官』の特徴は、訴訟で争われている事実認定はどうでもよく、執行猶予にするか実刑にするか、原告の請求を認めるか認めないかにしか関心がない。だから、論理の組み立ては、過去の判例をそのまま借用し、結論部分に有罪か、執行猶予かを書けばいいだけです」(元裁判官)

 近いうちに間違いなく裁判官はAIになるだろう。
   

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   



 首都圏のサラリーマンは、満員電車のストレスを堪(こら)えながら日々出社している。この状況を打開しようと、4月末から「快適通勤プロモーション協議会」による話し合いが始まった。東京都が音頭をとって、民間企業や鉄道事業者と連携し、時差出勤によるラッシュの緩和を進める。

 交通の問題に向き合うと同時に、職場環境にとらわれず、ITを活用したテレワークなどでこれまでの基本的な働き方から変えていこうとするのが今回の狙いだ。労働意欲や生産性の向上、ひいては時間的にゆとりが生まれ育児などにも手がまわる暮らしまで考慮する。

 JR東日本ではスマホで混雑度がわかるアプリをリリース。また、すでにピークを避ける出勤がうまくいった企業もある。そのメリットはよく語られながらも、浸透度はイマイチというところだった。そこで7月11日から25日までの期間、「時差Biz(ビズ)」と銘打った集中的なキャンペーンが行なわれる。現在、さらなる参加企業を募集中だ(https://jisa-biz.tokyo/)。

 早く出勤したからといって、早く帰れる雰囲気が本当にうちの会社にあるだろうか? 巷ではそんな疑問視の声もある。だが、時差ビズの「顔」である小池都知事といえば、かつて環境大臣時代に「クールビズ」をなんだかんだで結局は成功させた実績がある。今度の「ビズ」の成果やいかに。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 スマートフォンの普及によって、手軽に動画が見られるようになったことで、料理レシピの世界も様変わりしている。

 「Kurashiru(クラシル)」「DELISH KITCHEN(デリッシュキッチン)」「Tastemade(テイストメイド)」「クックパッド料理動画」など、料理を作る工程を1分程度の動画で紹介する「レシピ動画」サイトが人気となっているのだ。

 たとえば、日本最大級のレシピ動画サイトの「Kurashiru」には、「鶏肉と大根のとろとろ煮」「丸ごと玉ねぎスープ」「もやしと豆苗(とうみょう)の豚巻き」など、プロ並みの本格レシピから、家の冷蔵庫の残り野菜で作れるような簡単レシピまで並んでいる。そして、料理の工程を俯瞰する動画映像にして、使う食材や分量、切り方、混ぜ方、加熱時間などをわかりやすく紹介している。

 テレビの料理番組では、料理の先生が作り方を話しながら説明する。だが、レシピ動画では、混ぜ方や火入れのタイミングなど、ポイントになる工程は文字にして印象付けるようにして、料理が苦手な人や初心者にもわかりやすく解説している。

 既存の料理本やレシピサイトなどでは文字や写真によって料理の作り方を伝えているが、表現方法は伝え手のスキルによって異なるし、受け手の知識によっても理解度は異なる。

 たとえば、野菜の切り方ひとつにしても、「大根をイチョウ切りにする」と書いても、料理が苦手でそもそも「イチョウ切り」がわからなければ、材料の切り方ひとつでも迷ってしまう。

 だが、動画なら自分の目で見て確認できるので、「イチョウ切り」がなんたるかわからなくても、文字だけでは伝えにくい料理の知識やコツが一目瞭然でわかるようになる。

 また、動画とともに流れる軽快な音楽も、見ていると「これなら、私にも作れそう」「おいしそう、作ってみたい」という気分にさせてくれる。レシピ動画が受け入れられるのもうなずける。

 世界に残る最古の料理レシピは、紀元前3000年頃にシュメール人が石板に記したビールのものだといわれている。それが、5000年が経過した現代は、レシピを記すものは動画に変わったが、大切な人たちとおいしい料理を食べることは、古今東西、いつの時代も変わらない喜びだ。

 今夜も、あなたの食卓が美味しさと幸せに満ち溢れていますように。
   

   

ニッポン生活ジャーナル / 早川幸子   



 昨年の8月に出版された佐藤愛子氏のエッセイ『九十歳。何がめでたい』(小学館)がロングセラーとなっている。よそ様の子育てにまで四の五の言うような世間の偏狭さを、「いちいちうるせえ」と喝破するなど、痛快な内容。評判は増すばかりで、いまや80万部に迫ろうかという勢いだ。単に「毒舌」の著名人ならばごまんといるが、佐藤氏には93歳の人生のベテランならではの優しさも感じられる。読者にとって癒しにもなっているようだ。

 そのキャラクターにも注目が集まり、『直撃LIVEグッディ!』(フジテレビ系)、『ゴロウ・デラックス』(TBS系)、『徹子の部屋』(テレビ朝日系)と、立て続けに人気番組に出演した。当人としてはテレビ出演は疲れるので嫌、今後は御免被りたいということ。それが残念なほど、魅力的なタレント性を見せている。

 今回のブレイクには前段がある。最後の小説『晩鐘』のあと、二度と筆を執ることもあるまいと考えていた佐藤氏。だが、ものを書かない日々に鬱々としてしまった。そこで出版社の依頼を引き受けることにしたというのだ。根っからの仕事人間である。もともとエッセイの名手であり、他の著作も連動して売れている。また直木賞受賞作『戦いすんで日が暮れて』など、「本分」の小説も再注目された。

 メディア各所でのインタビューを読む限り、その舌鋒は衰えるところを知らず。まだまだ活躍を追っていきたい作家である。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 旭日旗は赤い日の丸に同じく放射状の赤い線でデザインされた旗。日本ではおなじみの旗である。陸上自衛隊や海上自衛隊が隊旗や艦旗として使用しているほか、朝日新聞社も社旗の意匠として用いている。しかし、隣国の韓国や中国では、これを「日本軍国主義を想起する」などとして排他的に受け止め、ときに国際問題となる。

 アジア・サッカー連盟(AFC)がJ1川崎フロンターレに対し、ホームゲーム1試合を無観客とする処分と罰金1万5000ドル(約170万円)を科した(1年間の執行猶予付き)。2017年4月25日、韓国で行なわれた水原(スウォン)戦で、川崎サポーターが、応援席で旭日旗を掲げたからだ。旭日旗は会場でAFCにより没収された。旭日旗を掲げる行為は「政治的な主張、差別的象徴」と認定されたのだ。

 しかし、日本人にとって旭日旗は「軍国主義」の象徴でも何でもない。ナチスの「ハーケンクロイツ」と同一視されるのは迷惑な話である。

 これに対し、菅義偉(すが・よしひで)官房長官は、2017年5月8日の記者会見で、「旭日旗は、大漁旗や出産、節句の祝い旗など、日本国内で広く使われている」と反論した。今後、日本政府、日本サッカー協会は、AFCに対し直接抗議し、説明する必要がある。

 ただ、一点付け加えるとすれば、日本のサポーターは、中韓両国内でのゲームでは、旭日旗を振るのは自粛したほうがいい。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   



 インスタグラムのヘビーユーザーである女子を中心に話題となっているダイエット方法のこと。

 「自宅でできるダイエット」として、その手軽さにハマる女子が急増しており、宅トレをしている様子やダイエット効果のビフォー・アフターをインスタに投稿するのが、モチベーションへとつながっているのだという。なお、インスタで「♯宅トレ」と打って検索すると10万件近くもヒットするそうで、そこからさまざまな「おすすめダイエット術」の情報交換をし合えるというメリットも大きい……らしい。

 ただ、ジムトレ(=ジムトレーニング)と比べ、宅トレには「実践しているダイエット術に細かい誤りがあっても、それを微修正してくれる専門家(トレーナー)が不在」「そもそもネット上からピックアップしたダイエット術自体が間違っている可能性もなくはない」……などのリスクもつきまとい、結局は「お金やヒマや定期的なジム通いをするマメさがない女子たち」の自己満足サークルと化している側面も、100%は否定できない。

 ちなみに筆者は、まだジムってヤツに一度も足を踏み入れたことがないバリバリの「宅トレ男子」であるが、そのダイエット術・筋トレ術の情報のほとんどは、インスタじゃなく草野球のチームメイトからの“口コミ”という原始的なコミュニケーションで得ている。筆者の場合、「魅せる身体づくり」ではなく、あくまで「野球に役立つ筋肉を鍛えたい」だけなのだ。
   

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   


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