料理をつくるとき、ある材料とある材料を一緒に組み合わせると、材料同士が個々の素材の味以上に持ち味や深みを引き出し合い、料理がおいしくなることをいう。あるいは、どちらの材料の味も引き立たせるような取り合わせのよい食材のことをさす。おばんざいや佃煮、漬け物などといった、あらゆる京都の料理に通じるスタンダードな考え方のようなものといえるだろう。

 「であいもん」といえば、その代表は鰊茄子(にしんなす)である。秋茄子は嫁に食わすな、という諺があるように、茄子は9月頃に旬が極まる。そのとろりと溶けるような食感に身欠き鰊の風味を煮含めた鰊茄子は、ごはんにも、酒の肴としても、おばんざいを代表する一品である。これからの季節は、小芋も旬を迎えるので、イカや鱧(はも)の子などとの取り合わせが京都好みである。秋になれば、キノコや木の実、根菜類を組み合わせた料理がぐっと多くなる。ほかにも、棒鱈(ぼうだら)と海老芋、筍と若布(わかめ)、水菜とお揚げ、生節(なまぶし)と焼き豆腐と、おいしそうな「であいもん」がたくさんある。ちりめんじゃこと山椒を合わせた佃煮、柚子と大根の漬け物などと、数ある取り合わせの中から選び抜かれた食材同士からつくりだされた「であいもん」が、京都の味の土台を形づくっているのである。


戻した身欠き鰊と茄子を炊き合わせているところ。


   

京都の暮らしことば / 池仁太   



 戦前、李香蘭(りこうらん)の名で活躍した歌手、女優。戦後はテレビの司会なども務め、田中角栄に口説かれて参議院選挙に出馬して当選。本名・大鷹(おおたか)淑子、享年94歳。

 「戦前から戦中にかけて女優、歌手として活躍し、『白蘭(びゃくらん)の歌』『支那の夜』『夜来香(イェライシャン)』など数々のヒットを飛ばした李香蘭。生粋の日本人であるのにもかかわらず、日中両国の暗い狭間に立たされ、中国人としてデビューした彼女は、いかにして自らの運命を切り開いていったのか」(新潮文庫『李香蘭 私の半生』より。以下『私の半生』)

 彼女は1920年2月12日に中国遼寧省の瀋陽で生まれ、生後間もなく撫順に越して幼女時代を過ごす。父親・山口文雄は佐賀県生まれ。日露戦争が終わった翌年に中国に渡り、中国語を学んだ後、満鉄に入社。社員に中国語や中国事情を教えていたという。

 幼い淑子にも中国語を徹底的に教え込み、語学力を活かして日中関係の仕事についてほしいと考えていたようだと『私の半生』に書いている。中国語に堪能だったことがその後の彼女の人生を波乱の多いものにするのだが。

 その後、奉天でオペラ歌手について声楽を習い、北京のミッションスクールを卒業する。

 美貌と伸びやかな歌声を認められて奉天放送局の歌手に抜擢される。そして日中戦争開戦の翌年(1938年)に満州国の国策映画会社・満映にスカウトされる。当時満映に出向していた山梨稔は『私の半生』でこう語っている。

 「北京官話(北京語=筆者注)ができて日本語がわかり、歌もうたえる満州娘──それこそわれわれが求めていた満映スターだった。そこで私も熱心に勧誘しはじめたわけです。ところが、よくよく聞いてみると、実は日本人」

 こうして中国人女優・李香蘭が誕生したのだ。人気俳優・長谷川一夫と共演した日本満州合作映画は次々大ヒットし、中国人スターとして初来日した1941年2月11日の日本劇場公演にはファンが押し寄せ、劇場の周りを「七まわり半」した。

 日本人でありながら中国人として生きなくてはいけなかった山口は、自分が日本人であることを告白しようとしたことがあったが、あなたを心の支えにしている中国民衆が落胆するからと説得されて、言い出せなかったそうだ。

 そして敗戦を迎える。そのことを上海で知った山口は、こう思ったという。

 「これでいいのだ、中国には中国の旗がひるがえるのが当たり前なのだ。が、一方ではかわいそうな日本、かわいそうな日本人──と、自分も日本人の一員でありながら、他人事のような感想も、胸に去来するのだった」

 中国人でありながら中国を冒涜する映画に出演することによって日本の大陸政策に協力し、中国を裏切ったとして、男装の麗人といわれた川島芳子らとともに「漢奸(スパイ)」だとして軍事裁判にかけられる。「銃殺刑に処せられる」という噂も立ったが、かろうじて日本人であることを立証できた彼女は、なんとか1946年3月、引き揚げ船に乗ることができた。

 李香蘭と悟られないため一旦トイレに身を潜めた。船内のラジオから流れてきたのは彼女が歌う「夜来香」だったという。

 帰国後は李香蘭の名を捨て山口淑子として銀幕に復帰し、芸術家のイサム・ノグチ氏と結婚する。だがノグチ氏と離婚し、外交官の大鷹弘氏との再婚を機に映画界から引退する。

 テレビ番組『3時のあなた』の司会者として1972年、北京で行なわれた日中共同声明の生中継をするが、そのときの気持ちをこう書いている。

 「日中共同声明前文は、戦争状態の終結を告げ、日本側が過去の戦争をつうじて中国国民に重大な損害を与えたことを痛感、深く反省する、とうたっていた。
──私の瞼には、時局に翻弄されつづけた“李香蘭”の姿が去来し、ニュース・キャスターという立場も忘れて、こみあげてくるものをおさえることができなかった」

 『週刊現代』(10/4号)で『私の半生』の共著者・藤原作弥氏は山口のことをこう語っている。

 「『藤原さん、アイデンティティって何でしょうね』と、山口さんは口にしていたものです。自分を育ててくれた中国と、この世に生み出してくれた日本──彼女の人生は、その答えを求め続ける生涯でした。日系アメリカ人のイサム・ノグチ氏と結婚したのも、アイデンティティの探求と無関係ではありませんでした」

 日中戦争という荒波に揉まれ、彼女の意思とは関わりなく数奇な人生を送らねばならなかった山口淑子は90歳の時、こう語った。

 「平和は『当たり前』なんかじゃない」

 平和な時代を継続させるには国民の強い意志が必要だと言いたかったのだろうか。あなたの遺志は次の世代に必ず伝えます。安らかにお休み下さい。

元木昌彦が選ぶ週刊誌気になる記事ベスト3

 今週は女優、女子アナの知られざる素顔を報じたものを3本選んでみました。へー、そうなのと驚かれること請け合いです。

第1位 「大江麻理子結婚!」(『週刊文春』9/25号)
第2位 「門外不出の最旬女優『共演NGリスト』」(『週刊ポスト』10/3号)
第3位 「実行犯マネジャーが本誌に吐露『江角マキコさんが自殺したら嫌だから』」(『週刊文春』9/25号)

 第3位。『文春』が火を付けた江角マキコの長嶋一茂邸落書き事件だが、実行犯といわれる江角の元マネジャーが警察の事情聴取を受けたことで、さらに燃え上がっているようだ。
 江角が沈黙を破って9月9日に、彼女のブログに概ねこう書いた。落書きのことは週刊誌で初めて知った。現在心療内科で治療中の元マネジャーから「このような事態を起こして迷惑をかけた」として謝罪の連絡がありました。立場上、自分の責任も重く感じ、長嶋様には申し訳ない……というような内容だが、これがまた論議を呼んでいると『文春』が書いている。
 自分は何も知らずにマネジャーが勝手にやったことだと言っているが、前回の『文春』の取材で江角の母親が「マキコは落書きのことは知ってる」と話していること、元マネジャーの通院歴という個人情報を暴いたことは問題だ、などなど。
 想像するに、プロダクションに在籍する若いマネジャーは、会社からも江角側からも相当なプレッシャーをかけられたのであろう。
 テレビの取材などで彼は「私が勝手にやりました」と話しているそうだ。『文春』は事情聴取される数日前にマネジャー氏に話を聞いている。彼は「僕が(落書きを)単独でやったと言ったらどうなります?」と言い、それではどうして江角の子供が長嶋の子供や妻たちに虐められていることを知ったのか、という問いに対しては「(ネットで見て)腹いせでやったということもありえるでしょう?」と答えている。
 しかし『文春』は、この「証言」は嘘だと決めつける。なぜなら彼が落書きをした2012年12月時点では、江角と長嶋の確執に関する書き込みは皆無だったという。
 これが明るみに出てきたのは、江角が今年7月にブログで「ママ友いじめ」について書いたことからだ。
 このマネジャー氏、精神的に不安定だという江角の言葉を打ち消し、こんなことまで言っている。

 「落書きした犯人は訴えられるかな? できれば(訴えは)僕に向いてほしいんです。だって江角さんが自殺したら嫌じゃないですか……」

 朝日新聞同様、江角が表に出てきて事情を説明しなければ、このトラブルは終わりそうもない。この騒動が長引けば江角の女優としてのキャリアに傷がつくことになると思うのだが。

 第2位。人気女優は視聴率が取れるから、テレビ局としては同じドラマに2人も3人も出したいのだが、「共演はNG」という組み合わせがあると『ポスト』が報じている。
 たとえば、このところ復活気味な沢尻エリカだが、テレビ局が共演させられない女優が数多くいるという。その筆頭が竹内結子。沢尻が「別に」発言で総スカンを食った会見は、竹内がヒロインの映画『クローズド・ノート』の発表会だったのだ。
 このころ2人は同じ事務所に所属していて姉妹のように仲がよかったのだが、以来微妙な関係にあるという。この事務所には常盤貴子や北川景子もいるが、テレビ局はブッキングを避けているという。
 付き合った男が同じという女優同士というのも神経を使うものらしい。柴咲コウとマイコは妻夫木聡の元カノと今カノだから「業界内で2人が同時にキャスティングされることはないと思います」(広告代理店関係者)ということらしい。
 堤真一と噂になった鈴木京香と深津絵里、市川海老蔵と噂になった高岡早紀、米倉涼子、佐藤江梨子も同じような理由でNG。
 佐藤健をめぐる争いで共演を頼まないというのが広末涼子と前田敦子だそうだ。
 私がテレビドラマのプロデューサーなら「犬猿の仲の女優の共演だよ」と、そのことを売り物にしたドラマを作るが、テレビではそうもいかないようである。

 さて第1位の前に……仲間由紀恵(34)が結婚してしまった。相手は俳優仲間の田中哲司である。かなり年上の48歳。田中は脇役が多いらしい。
 テレビで田中が話しているのを見たが、木訥で優しい人柄のようである。03年にテレビドラマで共演して知り合い、08年ごろから真剣な交際を始めたそうだ。また週刊誌は「年収格差婚」などと書くのだろうか。仲間はNHKドラマ『花子とアン』で主演の吉高由里子を食うほどの人気を得て、年末の『紅白歌合戦』の司会をやるのではないかと噂されている。
 人気に溺れず堅実な男を夫に選んだ仲間がいい。田中に対する男たちの嫉妬は凄いものがありそうだがね。

 そして第1位。テレビ東京の看板アナ・大江麻理子(35)が結婚したことを『文春』が報じている。仲間同様、美人は年上の男が好きなようだ。

 「大江のWBS(ワールドビジネスサテライト=筆者注)キャスター就任は年単位で進行してきたプロジェクト。メイン就任からわずか半年での入籍に上層部は頭を抱えています。WBSは経済報道に特化しており、企業の機密情報が入ってくる。結婚相手が証券会社のトップとなれば、インサイダーや情報操作の疑いを招きかねない。また、WBSの大スポンサーは、大和証券なんです」

 『文春』でこう語るのはテレビ東京関係者。小谷真生子(まおこ)が16年にわたり君臨してきた夜のニュースの顔に、大江が抜擢されたのが今年の春。
 バラエティなどもこなす彼女を1年間ニューヨーク支局へ赴任させ、満を持してWBSのキャスターに就任させたのに、半年もたたないうちに結婚。それも相手はマネックス証券の松本大(おおき)社長で、彼女より15歳上の50歳である。
 このニュースは新聞などでも流れているから知っている人も多いと思うが、やはり、『文春』が取材に動き、それにあわてたテレ東側が、各社に結婚発表のリリースを送ったことから、ほかのメディアが知ることとなったのだ。
 大江のラジオ番組に松本氏が出演したことがきっかけで知り合い、WBSのキャスターに就任した4月ごろから交際に発展したと、事情を知る関係者が語っている。
 何が悲しくて15歳も年上のおっさんと結婚するのかと、やっかみ半分、うらやましさ半分でこの記事を読んだが、なんとこのおっさんものすごい金持ちらしい。
 『文春』によれば、彼は埼玉県浦和市(現さいたま市)の出身で、親父さんは講談社の社員だったそうだ。開成高校から東大法学部へ。卒業後はソロモン・ブラザーズ・アジア証券に就職するが、3年後にゴールドマン・サックス証券に転職。
 デリバティブ取引で収益を上げゴールドマンの史上最年少の共同経営者に選ばれているというから、この分野では相当なやり手である。
 その後ネット証券の先駆けとしてマネックス証券を立ち上げ、時価総額は約85億円、年収は2億円ぐらいあるそうだ。
 これまで家庭生活のことは一切出てこなかったそうだが、2年前に離婚していて2人の子どもがいるそうである。
 バツイチで金持ちか。モテるんだろうね。心配なのは(私が心配してもどうということはないが)、先に指摘されたインサイダーや情報操作の疑いを招きかねないという点だろう。メディア論が専門の碓井広義(うすい・ひろよし)上智大学教授もこう言っている。

 「証券会社社長と経済報道番組のキャスターとの結婚は、報道倫理的に問題がないとは言えない」

 だが、元々この番組は日本経済新聞のお抱え番組で、これまでも企業の宣伝・広報かと見紛うような内容はあったのだし、見る側もそうしたことを頭に入れて何割か割り引いて番組を見ている(少なくとも私はそうだ)のだから、そう気にすることはないと思う。
 もしマイナス点があるとすれば、見ている人間の多くが中年男だろうから、これから彼女が何をしゃべっても、彼女の背後に松本氏の“幻影”を見てしまうから、素直に彼女の表情やしゃべりを楽しめなくなることであろう。
 久々の大物女性キャスター誕生かと思っていたので、チョッピリ残念ではある。
   

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   



 最近の外食業界では、居酒屋などが不振にあえぐ一方で、ファミリーレストランの好調がよく語られる。このことは、ファミレスでお酒を楽しむ「ファミ飲み」の流行が影響しているといえそうだ。本来「安い」はずの居酒屋よりも、さらにリーズナブル。仲間と飲むことで、家飲みにはない楽しさも生まれる。また、「飲む人と飲まない人が一緒にいられる」雰囲気もポイントが高いだろう。いまどきは「飲み会で飲まない」タイプは珍しいものではないが、それでも酒場よりは自由な気楽さがあるはずだ。

 「ファミ飲み」の普及にともない、それぞれの店の個性もよく紹介されるようになってきた。100円台のワインが魅力の『サイゼリヤ』、業界でも酒の選択肢が幅広いことで知られる『ジョナサン』、おつまみの強化を図っている『ガスト』などなど。また、ファミ飲みならではのテクニックもある。ドリンクバーがある店で、自分で酒を「割って」楽しむ裏技は、もはや有名である。お金がなければないなりに、酒場に代わるものを「発見」する庶民。それをビジネスチャンスにするファミレス。日本人は案外にたくましい。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 毎朝の新聞をめくるとき、「ラテ欄の縦読みが密かな楽しみ」という人は、案外、多いのではないだろうか。

 新聞には、ラジオやテレビの放送予定を表形式でまとめた番組表が掲載されており、略して「ラテ欄」と呼ばれている。このラテ欄は、それぞれのテレビ局やラジオ局が提供した放送内容をそのまま掲載しており、実際に執筆しているのは番組を作成したディレクターやプロデューサー。ご存知のとおり、ラテ欄のスペースは決まっており、限られた文字数のなかで視聴率に結びつくような番組紹介をするために、彼らはさまざまな工夫を凝らしている。

 その工夫の一つが、「ラテ欄の縦読み」だ。ラテ欄は横書きで、通常、横に読み進めるものだ。そのラテ欄の各行の先頭の文字(いちばん左側)を縦に読んでいくと、別の意味のある言葉や文章が浮かび上がってくるのだ。ラテ欄の縦読みは、2010年に北海道放送が北海道日本ハムファイターズ戦の注目を引くために、プロ野球中継に使ったのが最初だと言われている。それが、各放送局に広まり、名物縦読みが生まれるようになった。

 今年、8月6日。プロ野球・広島対中日の野球中継を紹介するために、中国放送が新聞各紙のラテ欄に配信したものを縦読みすると「カープ応援できる平和に感謝」というメッセージが浮かび上がり、話題となった。

 今から69年前の8月6日は、世界ではじめて原子爆弾が投下され、広島の街が火の海と化した悲劇的な日だ。数万人以上の尊い命が一瞬にして奪われ、今もまだ後遺症に苦しむ人々がいる。広島東洋カープは、敗戦から5年後の1950年に、広島市復興のシンボルとして、広島市民や企業の寄付によって結成された球団だ。その広島原爆忌に行われる野球中継に、平和を願うメッセージを盛り込んだラテ欄は多くの人の感動を誘った。

 ラテ欄の縦読みは、縦書きの1文だけではなく、横書きで読んでも全体の意味が通じるようにしなければならないため、作成者の苦労も偲ばれる。だからこそ、名文が生まれたときの感動も大きいのだろう。今後も、「カープ応援できる平和に感謝」のような名文が生まれることを期待したい。
   

   

ニッポン生活ジャーナル / 早川幸子   



 1992年にスタートしたブノワ賞は、第一線で活躍する世界のバレエ関係者から選ばれる「バレエ界のアカデミー賞」。モスクワの国際ダンス連盟が主催する権威ある賞だ。その名称は「バレエ・リュス(ロシア・バレエ団)」で『ペトルーシュカ』などの名作の舞台美術を手がけた、画家のアレクサンドル・ベノワ(ブノワ)にちなんでいる。最近引退宣言で話題になったシルヴィ・ギエムなど、そうそうたる顔ぶれが受賞してきた。

 2014年はスウェーデン王立バレエ団所属の木田真理子(きだ・まりこ)氏が選ばれた。前年に初演された『ジュリエットとロメオ』のジュリエット役が高く評価されたもの。ダンスが文化として根付いている欧米に比べると、日本人の一般的なバレエに関する感覚は「お稽古ごと」の域を出ない。国内における職としての待遇も、決してよいとはいえないだろう。そんな状況下でも、確実に世界的なダンサーは育っていることを知らしめた。今回の受賞は、日本の今後のバレエ界を語る上でその価値を語り尽くせないほどのものだ。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 トラックの運転免許の取得条件が変わる。

 トラックの運転免許制度の在り方を話し合っていた警察庁の有識者検討会が7月、総重量が「3.5トン以上7.5トン未満」の、事実上小型トラックを対象とした新免許の創設を求める報告書をまとめたからだ。報告書を受け警察庁は道路交通法改正案を2015年の通常国会へ提出する方向だ。

 現在、運転免許は、車体と荷物の総重量別に(1)5トン未満の普通免許(2)5トン以上11トン未満の中型免許(3)11トン以上の大型免許の3つに区分されている。警察庁はこれを4区分に再編し、(1)3.5トン未満(2)3.5トン以上7.5トン未満(3)7.5トン以上11トン未満(4)11トン以上とする方向だ。

 現在の中型免許には「20歳以上、普通免許取得から2年以上」という取得条件があるが、新しく創設される3.5トン以上7.5トン未満の区分の免許は、18歳から取得可能となり、普通免許を取ってからの経験年数も問われない。

 見直しの背景にあるのは、宅配便やコンビニの商品配送で使われている小型トラックの 総重量が重くなったことがある。保冷設備や昇降装置などを装備することで、5トンを超える小型トラックが増加した。

 5トン以上となると中型免許が必要になるし、中型免許を取るには前述のように、「20歳以上、普通免許取得から2年以上」という条件も重なる。高卒者が直ちにそうしたトラックドライバーになれないのだ。

 トラック業界ではドライバー不足、ドライバーの高齢化が問題となって久しい。取得条件の緩和は高卒者の就職口が増えることでも歓迎したい。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   



 安倍首相が「企業での女性の参加と活躍を後押しし、日本の労働力人口を増やし、経済復興をはかる」ことを狙いとして打ち出した、「アベノミクス」にかけた政策的スローガン。

 その象徴として、先日発足した第2次安倍改造内閣では5人の女性が閣僚入りしたが、このヒトたちの容姿に何処か共通した傾向を、もっと言うなら「みんな同じような顔にしか見えない」と感じたのは、はたして筆者だけであろうか?

 意志の強さを表すようなしっかりと張った頬骨に、肉でも魚でも野菜でも炭水化物でもフルコースディナーでもマックの100円バーガーでも、なんでも食い尽くしてしまいそうなガマ口のように直線的な口元、獲物を正確に射貫くであろう狩猟民族的な目つき……。と、その共通項はいくつか挙げられるが、それ以前に指摘されるべきなのは「判で押したようなショートカット」だと筆者は考える。

 「女性が男っぽく振る舞う」「男と同等の能力を発揮する」ことを女性ノミクスの本質とするならば、それはあまりに時代遅れで、結局5人もの女性を閣僚に抜擢した目新しさも、数か月で風化してしまう気もしてならないのだが、いかがだろう?
   

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   


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