いわゆる「世界名作劇場」(フジテレビ系)シリーズの一つとして、1977年に放送されたアニメ『あらいぐまラスカル』。スターリング少年は、森で出逢ったアライグマを懸命に育てるが、やがてその野生は手に負えなくなり別れのときが近づく……という筋書きだ。その「泣ける」最終回はいまなお語り草である。

 愛すべきキャラクターのラスカルは、実際のアライグマよりもレッサーパンダに似たカラーリングでデザインされた。かわいさを狙ったという説があるが、これが良かったらしい。各社より販売されている関連グッズは、長年にわたって確固とした売れ行きを示している。「ラスカリスト」と呼ばれる、コアなファンも多い。

 LINEのスタンプで二頭身にデフォルメされた「プチラスカル」が登場してからは、若い世代のラスカリストも増え続けている。この人気に拍車を掛けたのが、スマホのゲーム『モンスターストライク』(モンスト)や、アニメ『進撃の巨人』など、様々なコンテンツとのコラボである。ときにコスプレもこなすプチラスカルは、多様なジャンルとじつによく合う。大御所・ハローキティにも近い、キャラとしての柔軟性があるのだ。

 手に入れにくいレアなグッズの情報交換など、SNSではラスカリストどうしの交流が盛んだ。今年ラスカル関連の動きが多いのは、放送から40周年の節目に当たるところが大きいだろうが、もとよりキャラの世界では安定した人気。来年以降も支持は続いていくだろう。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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