昨年のTBS系ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』は、星野源の主題歌にのってキャストが踊る、エンディングの「恋ダンス」がおおいに話題を呼んだ。もちろん、こうした演出は目新しいものではない(記憶に新しいところでは、2011年の作品、フジテレビ系『マルモのおきて』における、芦田愛菜と鈴木福の「マルモリダンス」など)。

 とはいえ「恋ダンス」は、エンタメがなかなかヒットしないいま、一つの希望にはなった。日本テレビ系『スーパーサラリーマン左江内氏(さえないし)』の「左江内氏ダンス」、同じく『ボク、運命の人です。』の「ボク運ダンス」など、追随する動きが見られる。ただ「恋ダンス」ほどの反響を集めることは、実際にはなかなか難しかったようだ。

 このトレンドは映画界にも波及。今春のヒット作『帝一の國』では、クリープハイプの楽曲『イト』をバックにヒロイン役の永野芽郁(ながの・めい)が踊る、「美美子(みみこ)ダンス」が登場した。これがネット上で反響を呼び、公式動画の閲覧数が急激にのびた。

 いろんな分析ができるだろうが、エンディングのダンス演出が成功するには、キャストのキャラクター性が重要といえるのではないだろうか。これまでのところ、ゆるふわなヒロインが、劇中の雰囲気そのままに踊るムリのなさ、ある意味で「(ダンスとしては)キレのない愛らしさ」こそが話題性に直結していそうだ。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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