いきなり電話をしてくる人のことを指す、揶揄の意味を込めた言葉。話題となったきっかけは4月9日、『はてな匿名ダイアリー』に投稿された“電話をめぐる批判”……なのだそう。

 当投稿者は「不在着信だけを残す人」や「いきなり電話してくる人」を「電話野郎」と罵倒。「電話はリアルタイムでの応答が必要となるため、相手の時間を奪う行為、相手の時間や行動を拘束・制限する行為」「用があるならまずメールかLINE、チャットで要件を言ってほしい」……というのがその理由で、突然の電話を「失礼だし非常識」と言い放つ。

 さらには、「電話は何も残らない」として、ビジネスシーンで重要な記録を残させないことも問題視。「電話野郎は仕事ができない」とまで決めつけている……らしい。

 こう指摘されると、筆者はまぎれもない生粋の「電話野郎」で、最初はメールでやり取りしていても、そのキャッチボールの距離が狭まってきたら(=文面が徐々に短くなり、メールの送受信が慌ただしくなりはじめてきたら)面倒臭くなって、つい先方に電話をかけてしまう。

 ビジネスシーン上での「電話の大きなデメリット」として「重要な記録を残せないこと」は、昔から言われていることだが、

・今この瞬間に判断を仰がなければいけないとき
・相手の「言葉」ではなく、しゃべり口調や声のトーンで反応のニュアンスを掴みたいとき

……など、電話のほうが機能的に優れている面は、まだまだなくはない……と思うものの、近い将来、今この瞬間に判断を仰がなければいけなかったり、しゃべり口調や声のトーンで反応のニュアンスを掴むような仕事ぶりさえが「ダメ人間」のレッテルを貼られる時代となってしまうのかもしれない。

 筆者のように「スマホやパソコンで文字を打つ速度が遅いから……」なんて言い訳は、もはや通用しないのだ。仕事できなくてすいません……。
   

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   


山田ゴメス(やまだ・ごめす)
日曜日「ゴメスの日曜俗語館」を担当。大阪府生まれ。エロからファッション、学年誌、音楽&美術評論、漫画原作まで、記名・無記名を問わず幅広く精通するマルチライター。『現代用語の基礎知識』2005年版では「おとなの現代用語」項目、2007年版では「生活スタイル事典」項目一部を担当。現在「日刊SPA!」「All About」の連載やバラエティ番組『解決!ナイナイアンサー」(日本テレビ)の相談員で活躍。著書に『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)など。趣味は草野球と阪神タイガース。
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