歴史の楽しみ方は人それぞれだが、教科書を読むお勉強だけではつまらないだろう。武将ゆかりの地を訪れたり、貴重な刀剣を見たりする(ゲームの影響で昨今の流行りとか)ことで、紙の上だけの存在ではない、実際に生を営んだ人間たちの歴史が実感できるはずだ。

 ではたとえば、「食」というアプローチから歴史を知るのはどうか。室町時代、周防(山口)の大名・大内義興(おおうち・よしおき)が時の将軍・足利義稙(あしかが・よしたね)を大いにもてなした記録が残っている。ここから、山口商工会議所・山口名物料理創出推進会議が開発、地元の湯田温泉などに提供した料理が「平成大内御膳」だ。2010年のことである。全国各地にはこのような歴史的な食がまだまだあるはずだ。そのネットワークを作るべく、同商工会議所が提唱したのが「歴食」なる言葉の始まりとされている。

 公式サイト「歴食JAPAN」によれば、歴食は「歴史的なストーリーを有した、価値ある食」と定義される。文献などをもとに当時の味を再現したもの、またインスパイアされたメニュー(鹿児島・琴鳴堂の「縄文どんぐりクッキー」など)を食する。2016年に山口市、2017年に島根県益田市で「歴食JAPANサミット」も開催された。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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