新潟県北魚沼郡広神村(魚沼市旧広神村)出身、57歳。「謙」は越後の戦国武将・上杉謙信に因むという。演劇集団・円を経て2002年からケイダッシュ所属。

 1987年のNHK大河ドラマ『独眼竜政宗』で主役の伊達政宗を演じ39.7%という大河ドラマ史上最高の平均視聴率を獲得して、一躍スターダムにのし上がった。

 だが、1989年に映画『天と地と』撮影中に急性骨髄性白血病を発症して降板。生命も危ぶまれたが約1年の闘病の後、治療を続けながらも俳優業に復帰した。

 2003年に公開されたトム・クルーズ主演のアメリカ映画『ラスト サムライ』に出演して、同年度のアカデミー賞助演男優賞などにノミネートされた。

 その後『バットマン ビギンズ』や『SAYURI』などにも出演し、ロサンゼルスを拠点にして英会話を猛勉強、マスターした努力の人でもある。
 2005年には米TIME誌の表紙になり、ピープル誌が企画する「最もセクシーな外国人男性」に選出されたりする国際派俳優である。

 2015年にはミュージカル『王様と私』に主演してトニー賞・ミュージカル部門主演男優賞にノミネートされたが、翌年に早期の胃がんが発見され手術を受けている。

 私生活では1983年に結婚したが、泥沼の2年に及ぶ離婚調停の末、2005年に離婚している。同年に女優の南果歩(53)と再婚

 長男・渡辺大は俳優、長女・杏(あん)も女優・ファッションモデルとして活躍している。

 日本を代表する俳優でありブロードウェーの舞台でも主役を務める渡辺だが、久々に『週刊文春』(4/6号、以下『文春』)にスキャンダルが載った。

 不倫の舞台はニューヨークである。ニューヨークの冬は寒い。5年前にクリスマスから新年7日ごろまでニューヨークに滞在したことがあるが、ブロードウェーにミュージカルを見に行って、劇場を出たら大雪になっていた。

 タクシーはつかまらないので仕方なくホテルまで歩こうとしたが、雪が激しさを増し、動きが取れなくなってきた。

 下手をすればここで行き倒れかと覚悟したころ、ようやくタクシーをつかまえることができて、何とかホテルへたどり着いた。そのホテルのレストランで飲んだオニオングラタンスープのおいしさを決して忘れることはないだろう。

 だが、今年の2月18日は例年より10度も気温が高かったというから、マンハッタンのオアシスであるセントラルパークにも暖かさに誘われ、人出が多かったようだ。

 そんな中を肩寄せあって散歩する2人の日本人男女がいた。小柄な女は濃紺のロングコートで、顔の半分をサングラスで覆っていたが、笑みを浮かべていた。

 帽子とスカーフをまとった男もサングラスをしている。歩道の隅には名残雪。絵のような景色の中を2人は手を握り合ったまま、高級住宅街のほうへ歩いて行った。

 中年のニューヨーカーが、男の顔を見て「ケン・ワタナベ」と呟いた。今や世界的俳優となった男は、そのまま彼女を伴って高級アパートメントへと入って行った。

 映画のワンシーンのようである。だが、渡辺謙が連れていたのは再婚した妻・果歩ではなかった

 果歩は昨年3月に乳がんを患い、都内の病院で手術している。それ以後投薬療法を開始しており、渡辺も献身的な介護をして“おしどり夫婦”といわれている。

 しかも、『文春』によると、果歩はニューヨークを離れて、元夫で作家の辻仁成との間にもうけた大学生の息子に会うためにサンフランシスコへ行っていたそうだ。

 渡辺の女性遍歴は有名である。最初の妻との離婚がもつれて裁判沙汰になった際、妻サイドが実名を上げた女たちの中には、女優以外にも、NHKの受付嬢、行きつけのすし屋の常連客の妻までいたことが大きな話題になった。

 現在熱愛しているA子は『文春』が調べたところ、ジュエリーデザイナーで36歳。出会いは渡辺が主演した『許されざる者』の試写会の後、俳優たちと遊びに行った大阪・北新地にある老舗高級クラブだったという。

 大阪の裕福な家庭で育ったA子は、女子高を出た後、女性誌の読者モデルとして活動していたが、20代後半から宝飾関係の専門学校へ行き始め、ジュエリーブランドを立ち上げようとして、その資金稼ぎのためにクラブで働いていたという。

 エルメスのバッグをいくつも持ち、フランス語やソムリエの資格にも挑戦していて、海外の高級ホテルに宿泊するセレブな生活を送っているようだ。

 そんな2人は最初の出会いから1年後ぐらいで交際を本格的にスタートさせたという。

 逢瀬はニューヨークだけではなく、大阪や気仙沼など国内でも仲睦まじい2人の姿が目撃されている。

 『文春』には、2人がニューヨークのチャイニーズレストランで食事をしている写真、渡辺がソファーでくつろいでいる写真も掲載されている。

 ティファニーで買ったプレゼントをもらって喜ぶ彼女とのツーショットを、渡辺が自撮りした写真まである。

 なぜこのような写真を『文春』は手に入れることができたのであろう。渡辺が出すはずがない。A子が自分のSNSにこのような写真を載せていたとは考えにくい。

 推測するに、A子から出たのではないのか。『フライデー』編集長の経験からいうと、こうした情報は交際している女の側から出ることが多い

 その際、有名になりたい、こんな有名な芸能人と私は付き合っているんだと世間に吹聴したいという「動機」が多かった。

 今回のA子にはそうした動機はないようだ。これも推測だが、2人の関係が妻の南果歩の知るところとなり、困った渡辺から別れ話を持ち出され、カッとなってというケースなのかもしれない。

 だが、仲睦まじく歩いている2人に、そうした諍いがあるようには見えないのはなぜだろう。

 どちらにしても、渡辺は妻に何と言って詫びるのだろうか。それともラストサムライらしく、腹掻っ捌いて死んでみせるのか。

 『週刊現代』(4/15号、以下『現代』)は、この「不倫」問題を追っている。やはり、2月以降、2人の間が悪化したため、A子が情報をリークしたのだろうと推測している。

 芸能事務所関係者が渡辺をこう評している。

 「いまは真面目でクリーンなイメージですが、もともとは女性好きで、しかも惚れっぽく冷めやすい。Aさんとも温泉旅行に行ったり、最初は盛り上がったのだと思います。Aさんもホステスをやめるほど謙さんに夢中になって、周囲にも交際を話してしまった。おそらく謙さんはだんだん距離を置こうとしたが、Aさんは別れたくなかった。その男女のズレが、不倫が明るみに出るきっかけとなったのでしょうね」

 同じ関係者が、『文春』が出た後、渡辺は彼女を責めず、自分の責任だとして、きちんと関係を清算しようとしているという。

 映画で彼が演じる主人公のようだが、実生活ではなかなかそうはいかないのではないか。かつて『現代』のインタビューに渡辺がこう答えていたそうだ。

 「彼女(南のこと=筆者注)は真っ赤なマグマ。こっちも焦げるのを覚悟で付き合わなくてはいけませんから、大変ですよ」

 そのうえ女は執念深い。謙さん、大変だねと、声をかけてあげたい。

元木昌彦が選ぶ週刊誌気になる記事ベスト3
 昨日聞いた話だが、2040年に中国は、65歳以上の人間が3億人を超えるという。現在でも日本の人口ぐらいの高齢者がいるというのだから、中国という国が抱えている問題の大きさがわかろうというものである。老々介護、介護殺人など、高齢者先進国日本は、こうした難問を解決するノウハウをつくりあげ、後進国へ高齢者対策ビジネスとして売り込むことを考えたらどうか。それには目の前のこの問題をどうするかだが、いい知恵はないかな。

第1位 「他人事ではなかった『介護殺人』の恐怖」(『週刊新潮』4/6号)
第2位 「緊急寄稿 菅野完『籠池ノート』の中身」(『週刊朝日』4/14号)
第3位 「ディーン・フジオカが『藤岡竜雄』だった頃」(『週刊文春』4/6号)

 第3位。ディーン・フジオカ(36)という俳優がいる。NHKの朝ドラ『あさが来た』でブレークし、4月から始まるテレビ朝日系のニュース番組『サタデーステーション』にレギュラー出演することが決まった。
 謎に包まれた経歴で、ニュース番組の顔になる男を『文春』が追いかけたとなると、何やら昨年のショーンKの二の舞かと思って読み始めたが、期待(?)は裏切られた。
 彼の本名は藤岡竜雄で、メーカー勤務の父親とピアノ教師の母親のもと、4人兄弟の長男として福島県で生まれている。生粋の日本人である。
 一時は芸能界へ入るチャンスがあったが、IT分野に興味を持ち、英語を磨くためにアメリカへわたる。
 シアトルのコミュニティカレッジに通うとき、学校から紹介されたホストファミリーが彼に付けた愛称が「ディーン」だったそうだ。
 彼が次に選んだのが香港だった。モデルや香港映画にも出たが、日本の芸能関係者に「これからは北京語(中国語)の時代だ」と言われ、台湾へ行く。
 台湾ではドラマにも出たが、さほど華々しい活躍をしたわけではない。その後台北で知り合ったインドネシアの恋人が住む地に移り、結婚。彼は今もジャカルタを生活の拠点にしているそうだ。
 この彼女の父親はインドネシアで指折りの大富豪だというから、彼の運がついてきたのは、この結婚からということができる。
 というわけで、有名になりたいという野心を抱いてあちこちを回った青年が、スターの座をつかんだのは、生まれ育った日本だったというのはやや皮肉ではある。
 テレビ局が彼のどんなところを見て抜擢したのかは、私にはわからない。珍しいもの好きだけで起用されたとすれば、ディーンにとって気の毒な気もする。テレビでしゃべったひと言で、俳優としてのキャリアをダメにしたケースはこれまで多くある。まずはお手並み拝見といくか。

 第2位。朝日新聞デジタル版が3月31日付でこう報じている。

 「大阪府教育庁は31日午前、学校法人『森友学園』(大阪市)が運営する幼稚園の立ち入り調査に入った。府は、補助金を不正に受給したなどの疑いがあるとみて、学園の籠池泰典(かごいけ・やすのり)氏(64)らから事情を聴く」

 権力ににらまれたら怖い。安倍の妻が説明責任を果たさないことに世論が怒っていることを知っていながら、籠池封じをするというは、安倍の権力が衰退してきている証左であるが、疑惑はまだ解明されてなどいない。
 メディアは権力を私(わたくし)しようとする安倍夫婦を許してはならないと思うが、今の大メディアは頼りないからな。
 証人喚問以来、あまり表に出なくなった籠池泰典森友学園前理事長だが、その代わりといっては何だが、ジャーナリストの菅野完(すがの・たもつ)氏が、週刊朝日で籠池の言い分の正しさと、安倍首相の、この事件を葬り去ろうという画策に「NO」を突き付けている。
 菅野氏は、問題になっている昭恵の秘書、谷査恵子からのfaxだが、それと突き合わせて読むとよくわかる籠池の「手紙」についてこう書いている。

 「冒頭の挨拶や自己紹介、依頼内容の概要など、手紙らしい内容は一切ない。ただただ要求内容が羅列されるだけ。『籠池氏が何をしている人か』『なんでこんな手紙を送りつけてきたのか』という予備知識がなければ、到底、理解できるような代物ではない。しかしながら、これに対する返答である谷氏からのfaxは、予備知識のない人間であれば読解不可能なはずの『籠池からの手紙』を見事に読み込み、その要求事項の全てに遺漏なく的確に返答しており、先述のように『工事立替費の次年度での予算化』という『籠池の要求』を完全に満たす回答まである」

 菅野氏は、ここまで円滑なコミュニケーションが成立するためには、谷に解説する人間が必要で、それは、籠池が留守番電話に吹き込んだと言い、自身のフェイスブックでも認めている、昭恵が担当したと考えるのが自然だろうと言っている。
 昭恵が籠池の要求を受け、それを財務省に伝えろと谷に指示を出した。

 「これでは政治家が行う『陳情処理』や『口利き』と全く同じではないか」(菅野)

 昭恵の土地取引への関与は誰の目にも明らかだという菅野の主張は、私にも理解できる。
 これまで、政府、与党側から、この問題で資料が出されたことはない。議論の検討材料になる資料はことごとく籠池側から提示されたものばかりである。
 それにもかかわらず、安倍や菅官房長官の言い分は「『苦しい言い訳』としか表現のしようがあるまい」(同)。それは安倍が、妻と私が関わっていれば、総理も議員も辞めると言ってしまったため、すべてを籠池の一人芝居にしなくてはならなくなったためである。

 「たかだか首相一人のプライドを守るために、政府高官たちが嘘に嘘を重ね、国家を溶解させていく姿は見るに忍びない。もうゲームオーバーだろう。首相、いい加減、諦めなさいな」(同)

 大阪地検が捜査を開始したが、東京地検特捜部の元検事、郷原信郎弁護士は、こう語っている。

 「籠池氏は証人喚問でも一貫して昭恵氏から100万円をもらったと語るなど政権には大きなダメージを与えた。そんな意を法務省が“忖度”し、告発状を受理したとリークしたのではないか。補助金は返還しているので通常は捜査しても起訴はありえない

 むき出しの国家権力を使って、一市民をひねり潰そうというのは、あってはならない。
 籠池の人間性や信仰心はともかく、ここで安倍の横暴を止めないと、日本は北朝鮮よりも言論弾圧がひどい国になる。
 メディアはここが正念場だということを、腹に叩き込め。

 第1位。『新潮』では「介護殺人」について特集を組んでいる。何しろ介護殺人は日常化しているのである。
 自分が認知症になり、介護される側になったら。逆にカミさんがそうなったら、どうするだろう。
 元気な時は「オレがお前の面倒を見てやる」「私があなたの介護をする」と言えるが(本音は別として)、そうなったときは、介護する側の肉体的な衰えもある。
 『新潮』は有名人といわれる人たちにも話を聞いているが、そうした体験のある人は異口同音に、この人を殺して私も死のうと考えたのは一度や二度ではないと話している。
 世界で一番早く少子高齢化を迎えた老人大国ニッポン。なかでも老々介護、介護殺人に対する処方箋を考えだしたら、今でも日本人の人口を超える高齢者を抱える中国などは、そのノウハウをいくらカネを出してもいいから買いにくるに違いない。
 自動車も半導体もテレビも斜陽産業になり、日本が生きていこうとすれば、高齢者のクオリティ・オブ・ライフをどうするかというノウハウを世界に先駆けてつくることしかないと思う。
 歌手の橋幸夫(73)は6年にわたって認知症の実母を介護した。もちろん介護殺人をしたわけではないが、介護殺人をした人間には同情的だ。

 「愛する人を手にかけるのは本当に辛いことのはず。でも愛情があればあるほど、相手を楽にしてあげたくなるんですよね。そういう人を、果たして単に『殺人犯』と片付けていいのかどうか」

 エッセイストの安藤和津(69)は、介護していた実母の死を夢に見たことがあったと振り返っている。

 「仕事、家事、子育てと介護で、熟睡できることは全くありませんでした」(安藤)。

 慢性的な睡眠不足が思考回路をおかしくし、夜、外を眺めて大きな木が目に飛び込んでくると、「この木に紐をぶら下げて首をくくったら楽になる」と思ったという。

 事実婚のパートナーと父、母の3人を介護したという作家で慶応大学文学部教授の荻野アンナ(60)は、父親の介護のとき、父親がリハビリ病院に入ることに怒り、そこの医者から出ていってくれと言われたとき、病院に行く途中でカッターナイフと缶チューハイを知らずに買っていたという。

 「それまで私の中でなんとか保っていた『何か』がガラガラと音を立てて崩れ、『もういや、こんな生活!』『お父さんを殺して私も死ぬ!』と叫びながら、床を転がっていました」(荻野)

 父への殺意というよりも、世界中で私以外にこの人の面倒を見られる人はいない。だから責任を取って心中しよう、という気持ちだったという。

 安倍首相よ、小池都知事よ。豊洲や東京五輪などよりも深刻でより難しい「老々介護」「介護殺人」について、英知を集め、解決策を早急に模索するべきだと思う。

 これこそが今の日本の本当の危機であることは間違いないのだから。
   

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   


元木昌彦(もとき・まさひこ)
金曜日「読んだ気になる!週刊誌」担当。1945年東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社に入社。『FRIDAY』『週刊現代』の編集長をつとめる。「サイゾー」「J-CASTニュース」「週刊金曜日」で連載記事を執筆、また上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで「編集学」の講師もつとめている。2013年6月、「eBook Japan」で元木昌彦責任編集『e-ノンフィクション文庫』を創刊。著書に『週刊誌は死なず』(朝日新書)など。
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