パナソニックから発売中の「メガフォン型翻訳機」のこと。日本語・英語・中国語・韓国語の4か国語に対応し、プリセット定型文は約300文。さらにワード選択機能により、使える文章は合計約1800パターンにもおよぶらしい。

 「しゃべった言葉が別の国の言語に変換される」という翻訳機能は、おそらく現代社会の最新鋭テクノロジーを駆使したものだと思われるが、それが「メガフォン」というひと昔前の、あえて言わせていただくなら「マヌケ」なかたちとなって商品化されているのが、なかなかに画期的。まるでドラえもんのポケットから出てくる便利グッズみたいである。

 おもに、海外旅行ツアーの誘導などで重宝されているようで、すでに成田空港でもこの「メガホンヤク」の導入がはじまっているらしい。「英語が苦手だけど英語の歌が唄いたい」みたいな外国人かぶれなミュージシャンの方々にもゼヒおすすめ! 初期の椎名林檎ばりに、メガホン(ヤク)片手に個性的なパフォーマンスをステージで披露してみてはいかがだろう?

 ところで、筆者は「ラッパ型の音声拡張器具」のことを通常「メガフォン」と書くのだが、「メガホンヤク」の場合は「フォン」ではなく「ホン」。もちろん「メガホン」と「ホンヤク(翻訳)」をかけているのは誰にでもわかるが、まさかこの駄洒落を使いたいがためだけに、フォルムをあえて「メガフォン型」にしたのでは……という疑念も晴れなくはない。そういうの、筆者は個人的に嫌いじゃないけど?
   

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   


山田ゴメス(やまだ・ごめす)
日曜日「ゴメスの日曜俗語館」を担当。大阪府生まれ。エロからファッション、学年誌、音楽&美術評論、漫画原作まで、記名・無記名を問わず幅広く精通するマルチライター。『現代用語の基礎知識』2005年版では「おとなの現代用語」項目、2007年版では「生活スタイル事典」項目一部を担当。現在「日刊SPA!」「All About」の連載やバラエティ番組『解決!ナイナイアンサー」(日本テレビ)の相談員で活躍。著書に『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)など。趣味は草野球と阪神タイガース。
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