大手出版社『小学館』の創立とともに94年を歩んできた学年別学習雑誌を『小学一年生』のみ残して休刊し、今年2月15日に発売された、おもに小学2~6年生向けの学習雑誌。

 時計などに表示されるデジタル数字の「8」は、0~9どんな数字にも変身できる……つまり、2~6年生まで、すべての小学生が学年にとらわれず楽しく学べる──といった裏(?)コンセプトが含まれたネーミングであるらしい。

 マンガにインタビューに付録に……と、さまざまなコンテンツに凝った工夫が凝らされており、どの学年の子どもでも、まんべんなく「そのときには行動に表れていなくても、潜在的にある程度は学習していて、あるきっかけで急激に学習成果が開花する“潜在学習”」ができる雑誌を目指すのだという。

 一見すると、ターゲット層の年齢幅はたった5年しかないのだが、この年頃の「たった5年」は、成人に例えるなら決して大袈裟な話ではなく「×10」の50年にも匹敵するとも思われる。仮に筆者が「20代~60代男女の誰もが楽しめる雑誌をつくってください」との依頼を受けたら……あまりの途方もなさに、いくら高額なギャラを積まれても、おそらく尻込みしてしまうに違いない。

 小学8年生──成功へと導くのは、まさに“茨の道”だろうが、もしそれなりの売り上げ部数を達成したならば……そのノウハウに、先行きの見えない出版不況を抜け出す突破口を見いだすことができるのかもしれない。
   

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   


山田ゴメス(やまだ・ごめす)
日曜日「ゴメスの日曜俗語館」を担当。大阪府生まれ。エロからファッション、学年誌、音楽&美術評論、漫画原作まで、記名・無記名を問わず幅広く精通するマルチライター。『現代用語の基礎知識』2005年版では「おとなの現代用語」項目、2007年版では「生活スタイル事典」項目一部を担当。現在「日刊SPA!」「All About」の連載やバラエティ番組『解決!ナイナイアンサー」(日本テレビ)の相談員で活躍。著書に『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)など。趣味は草野球と阪神タイガース。
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