「おもてなし女子チームの葉山ゆい」という名前を語り、実在する企業名で取引先に「パーティーのビンゴ景品にご協力を」と架空の招待状を送り、大手ネット通販会社『アマゾン』のギフト券をだまし取る、大阪府内を中心に広がっている巧妙な詐欺行為のこと。

 大阪府警の発表によると、昨年12月だけで40件の相談があり、男性4人が「日頃からお世話になっている取引先のお願いだったので、支払ってしまった」などと計18万円分を詐取されたという。

 よくもまあ、こうも次から次へと新しい手口を考えつくものだな、と思わず感心……を通り越して、もはや感動すらおぼえてしまう近年の詐欺事情であるが、とくに今回の事件に関しては、「葉山ゆい」なる微妙な怪しさを含んだ“ペンネーム”から滲み出るうさん臭さが、“詐欺感”を絶妙なバランスで象徴している点が面白い。

 試しに「葉山ゆい」のワードでネット検索をかけてみる。(この詐欺事件についてのニュースを除けば)出張エステサロン・アダルトビデオ動画(こちらは葉山めいだが)・すすきののキャバクラ・京都先斗町(ぽんとちょう)のヘルス……と、“いかにも”なお店がズラズラと羅列され、この安易なお嬢さま風ファミリーネーム(葉山=湘南の葉山→お金持ち)と、「ゆい」といった呼びやすくて親しみやすいアニメキャラ風ファーストネームとの“複合ワザ”が源氏名としても“いかにも”な王道パターンであることが見て取れる。つまり、男とはダマされるとはわかっていても、そういう“いかにも”な女に、つい銭を突っ込んでしまう悲しい生き物である……ということだ?
   

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   


山田ゴメス(やまだ・ごめす)
日曜日「ゴメスの日曜俗語館」を担当。大阪府生まれ。エロからファッション、学年誌、音楽&美術評論、漫画原作まで、記名・無記名を問わず幅広く精通するマルチライター。『現代用語の基礎知識』2005年版では「おとなの現代用語」項目、2007年版では「生活スタイル事典」項目一部を担当。現在「日刊SPA!」「All About」の連載やバラエティ番組『解決!ナイナイアンサー」(日本テレビ)の相談員で活躍。著書に『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)など。趣味は草野球と阪神タイガース。
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