情報やスケジュールの管理をスマホに任せる時代だが、紙の手帳は決して存在意義を失っていない。手を使って書くこと、実際に物体としての重みがあること。人によってはまったく意味を感じないだろうが、そこにぬくもりはたしかに存在している。

 「好きなものをもっと好きになる手帳」と銘打ちホビーに特化したロフトの商品、『ワナドゥ!!手帳』が話題だ。2014年9月の発売以来、どんどんユーザーを増やしている。「鉄道」「旅行」など、比較的広くとったテーマもあれば、「仏像」「そば」「ゴルフ」などいかにも細かいものもある。「書く」だけでなく、「写真などを貼る」使い方を想定したつくりが特長。通販サイトによれば、2016年12月現在、その種類は82もある。

 もう一つ、別の手帳もご紹介。トマソン社の「名画座手帳」だ。映画ファンのあいだで口コミにより広まっている。フリーペーパー「名画座かんぺ」を編集する、のむみち氏が手がけ、東京都内の名画座情報が充実。ウイークリーページにおける映画関係者の生年月日・没年月日は、眺めているだけでも楽しい。

 ここ数年、ビジネスツールとしての手帳の活用が語られる一方で、「趣味人の手帳づかい」もフィーチャーされることが多くなった。プライベートを「情報」ではなく「思い出」として管理することは、おとなの上級者の楽しみ方であろう。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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