都内にある某焼き鳥屋さんが、焼き鳥を串から外してシェアするお客に向け、「一生懸命一本一本刺しているんです、丁寧に焼き上げているんです」と苦言を呈したツイートをきっかけとし、急激に巻き起こった「串派?orシェア派?」論争のこと。

 このツイートが、串に刺したままの状態のほうが肉汁がこぼれにくい、肉が冷めにくい……などの具体的な“串のメリット”の説明がなかったということもあり、ツイート当初は「そんなの余計なお世話」的な意見が殺到し、炎上するかたちとなった。

 ちなみに、筆者の見立てによると、一番多かった(と思われる)論調は「基本的に串派だけど、大人数で焼き鳥を注文した場合は、全員に全種類が行きわたるよう、ついシェアしてしまう」といったもの。たしかに筆者も、たとえばせっかく一本だけ注文した大好物の砂肝を、他人にサクッと持って行かれたら内心イラッとするし、さらには「ハツもネギマもレバーもササミも食べたいなぁ……」みたいな欲も間違いなく湧き出てくるから、そういうシチュエーションにおける“シェア”は“最善”ではないけれど“次善の策”となってしまうのは、致し方なしかと考える。

 では「それでもお客さまには絶対に串のまま食べてもらいたい焼き鳥屋」はいったいどうすれば……? 答えは簡単。「盛り合わせ」というメニューをなくせばよい。「○○のヒトは手を挙げて」とマメにオーダーを聞けば、存分に自分の好きな一本を串のまま堪能する層も、ぐんと激増するはずだ。
   

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   


山田ゴメス(やまだ・ごめす)
日曜日「ゴメスの日曜俗語館」を担当。大阪府生まれ。エロからファッション、学年誌、音楽&美術評論、漫画原作まで、記名・無記名を問わず幅広く精通するマルチライター。『現代用語の基礎知識』2005年版では「おとなの現代用語」項目、2007年版では「生活スタイル事典」項目一部を担当。現在「日刊SPA!」「All About」の連載やバラエティ番組『解決!ナイナイアンサー」(日本テレビ)の相談員で活躍。著書に『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)など。趣味は草野球と阪神タイガース。
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