「モノ」をインターネットにつなげ、情報をやり取りしたり、操作したりする「IoT(Internet of Things」が注目を集めている。「つながるクルマ」は、いわばそのクルマ版である。英語で言えば「Connected Car」。文字通り、街を走るクルマが常にインターネットにつながっているのである。

 ではクルマがインターネットと常時接続することで、何ができるのか。

 例えば、走行中の地域の最新情報を入手できる。近くに事故が起きれば、場所や事故の状況などを教えてくれる。また、事故でエアバッグが作動すれば、インターネットを通じて通報を受けたオペレーターが「大丈夫ですか。救急車を呼びますか」などと声をかけてくれる。車両の不具合や故障を感知し、修理・メンテナンスに誘導することも可能だ。

 逆に走行車両から集めるデータは、ビッグデータとして集約・解析し、渋滞回避情報の提供などに生かすことも可能だ。交通情報からAI(人工知能)が迂回路を見つけたり、AIが走行車両にそれぞれ指示し、全体の交通量を分散させて渋滞が緩和できるかもしれない。

 「つながるクルマ」を巡っては、日本の自動車メーカーでは、トヨタが積極的に開発を進めている。社内カンパニーを作り、通信会社などと連携。さらに2016年11月1日には今後の事業戦略を公表した。

 それによると、2020年までに日米で新たに販売するほぼ全車を「つながるクルマ」にする計画だ。トヨタは「車を作って売る会社であると同時に、『移動サービス』を提供する会社になる」と説明。従来の製造業に加え、情報サービス産業にも事業を展開し、新たな収益を得ることを目指す。

 ライバルの日産自動車・ルノーも、つながるクルマの開発拠点を東京都内に設置(2016年10月)し、開発を急いでいる。

 クルマは将来、スマホのような、「情報端末」の側面を持つことになるだろう。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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