人気漫画家・東村アキコが、かつて男性漫画誌『月刊モーニング・ツー』で連載をしていた「お金はないが夢のある男性と、経済力はあるが結婚できないバリキャリ女性(編集部注:バリバリ働くキャリアウーマンの略)」をマッチングする実録漫画のタイトル「ヒモザイル」を改良するかたちで生まれた造語。今年3月に『週刊文春』で特集された、少子化ジャーナリスト・白河桃子(とうこ)さんによる専業主夫のレポートから派生したと思われる。

 「シュフ」は「家事・育児をメインで担う男性=(専業)主夫」のことで、「ザイル」は「EXILE」の略称のこと。ちなみに、「なんで(エグ)ザイル?」という素朴な疑問に関しては、「単に語感が良いというだけで、あまり深い意味はない」説が濃厚である。

 昨今、日本でも急増しつつある専業主夫だが、残念ながらまだ「主夫=ヒモ」というイメージが完全に払拭されきっていないためか、彼らが堂々と“現職”を名乗ることができないのが実状らしい。「ヒモザイル」が休刊中となっているのも、どうやらそこらへんの問題がデリケートに絡んでいるようだ。

 筆者みたいに、執筆で辛うじてお金は稼いでいるものの、その日常生活はフリーターとさして変わらない者にとって、「専業主夫」の肩書きを得られるのは、逆に世間体としてありがたかったりもするのだが、そんな風なことを安易に発言してしまうこと自体、「“責任を持って”家事・育児をメインで担っている男性」にとっては失礼極まりないと言えよう。自分から書いておいてなんだが、みずからに猛省を促したい。
   

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   


山田ゴメス(やまだ・ごめす)
日曜日「ゴメスの日曜俗語館」を担当。大阪府生まれ。エロからファッション、学年誌、音楽&美術評論、漫画原作まで、記名・無記名を問わず幅広く精通するマルチライター。『現代用語の基礎知識』2005年版では「おとなの現代用語」項目、2007年版では「生活スタイル事典」項目一部を担当。現在「日刊SPA!」「All About」の連載やバラエティ番組『解決!ナイナイアンサー」(日本テレビ)の相談員で活躍。著書に『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)など。趣味は草野球と阪神タイガース。
ジャパンナレッジとは 辞書・事典を中心にした知識源から知りたいことにいち早く到達するためのデータベースです。 収録辞書・事典80以上 総項目数480万以上 総文字数16億

ジャパンナレッジは約1900冊以上(総額850万円)の膨大な辞書・事典などが使い放題のインターネット辞書・事典サイト。
日本国内のみならず、海外の有名大学から図書館まで、多くの機関で利用されています。 (2024年5月時点)

ジャパンナレッジ Personal についてもっと詳しく見る