高齢化や人手不足が深刻な日本農業。その「特効薬」として、政府は農業分野に外国人労働者を受け入れることを解禁する方針だ。まずは、国家戦略特区での導入を目指す。2017年の通常国会に関連法案を提出する。

 現在、日本国内では、家事代行サービスを除き、原則として、外国人労働者は、医師やIT技術者など専門職でしか認められていない。非熟練分野は対象外だ。

 一方、農業分野の人手不足の解消は喫緊の課題だ。農林水産省によると、2016年の農業就業者数は200万人を切っており、2000年の389万人の約半分にまで減少している。就業者の平均年齢も「66歳超」といった有り様である。サラリーマン社会で言えば、定年年齢を超えているのだ。

 農業を「成長戦略の旗印」の一つに掲げるにしてはお寒い数字ではないか。そのため、新たな担い手を国外に求めるというわけだ。

 報道によると、政府は、受け入れの条件として(1)出身国での農業経験が必須、(2)受け入れ先には日本人と同水準の報酬を義務付ける――という。(1)の場合は、経験の有無を、どう確認するか。(2)の場合は、受け入れ先が、「日本人と同水準の報酬を支払ってまで、外国人労働者を求めるか」といった課題がある。また、そもそも外国人労働者の受け入れには文化的な摩擦や、失踪・不法滞在につながる可能性を指摘する声も少なくない。

 人口減少が加速化する中、労働力不足は、農業分野だけではない。日本経済の活性化にも留意して大きな視点で検討すべき課題だ。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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