2005年3月からサービスを開始したといわれる国内最大級の口コミ・グルメサイト。HPには843,572件(10月13日現在)の飲食店情報が掲載され、月間7400万人以上が利用しているとし、「新たに投稿された評価の反映だけではなく、ユーザーごとの影響度の再評価や全体的な算出方法の改善などを全て考慮し再計算するので、新たに評価が投稿されていない場合にも点数が変動することがあります」と書いてある。

 だが、2012年1月には、業者による口コミを装ったやらせ評価が行なわれていたことが発覚している。

 最近もまた、評価を巡って疑惑が囁かれ、『週刊文春』(10/13号、以下『文春』)が「食べログの点数はおかしい!」という特集を組んでいる。

 利用者の本音の口コミで評価を上げてきた食べログだが、ここへきてその評価に疑問の声が上がっているとして、下手をすると食べログは、これまで培ってきた評判が一気に下落しかねない正念場に来ているようだと書いている。

 食べログでベストレストランという評価を2011年度から14年度まで連続受賞した大阪の焼肉の名店「京松蘭(きょうしょうらん)」のオーナー・福本大佑氏がこう語っている。

 「私の店は食べログさんからは最高で『四・二』の高い評価をいただいたこともあります。ですが、二年前に店舗を移転する際、『三・九八』あった点数が、ある日突然、『三・六六』まで下がったんです。その時には店の売り上げが一カ月で約二割落ちました」

 食べログの仕組みの根幹である「点数」への信憑性が揺れているというのである。

 食べログに2000件以上の投稿実績のある人気レビュアーA氏もこう語る。

 「九月六日に行われた食べログの点数評価のアルゴリズム(計算の仕方=筆者注)のチューニングで、実際のレビューや点数が高評価にもかかわらず一気に点数が下がった店が続出したんです。たとえば、関西地方の『X』という店では、レビュー件数二十八件のうち五点未満二件を含めた二十件以上が三点以上で、三点以下は一件だったのに、『三・五〇』から『二・九七』に急降下しています」

 9月6日のチューニングの際には、都内や京都で飲食店「ウルトラチョップ」を経営する高岳史典氏が、自分の店の点数がいきなり3.0にリセットされ、担当者から「食べログのネット予約を使ってもらわないと検索の優先順位を落とします」と告げられたとツイートしたところ、ネットなどで大騒ぎになった。

 投稿数1500件以上の人気レビュアーB氏が食べログの評価についてこう説明している。

 「食べログの評価は五点満点で『三・〇』が標準店、『三・五』以上が“間違いのない店”とされます。それだけに『三・五』以上の店は全体の約四パーセントしかありません」

 B氏によれば「X」と同じような点数の下がり方をした店は他にもあるという。

 「神奈川県内の地元密着型の飲食店『Z』ではレビュー件数十三件のうち、三点以下が一件もありませんでした。投稿数二千件以上のヘビーレビュアーらが四点と高得点をつけていた。それなのに、三以上から『二・九九』に下がってしまったのです」

 『文春』が「Z」を訪ねると、店主は「迷惑な話ですよね……」と憤りを隠せなかったという。

 同様のケースは少なくないようだが、取材を申し込んでも、食べログの影響が大きいからと取材を拒否する店がいくつかあったそうだ。

 投資家でブロガーの山本一郎氏はさらにこのように解説する。

 「もともと食べログには、有料契約店と無料契約店の二種類があります。有料の場合は、利用者が普通に検索した場合に目にする『標準』というリストで、上位に優先表示される仕組みになっているのです。
 さらに、この十月からは有料契約店舗も新しい料金体系になっています。従来は月額一万円からの固定金額だったものに『従量制』が加わったのです。これは食べログのシステムを通して利用者がネット上で予約した場合、ディナーであれば一人あたり二百円のインセンティブが食べログ側に支払われるというものです。この従量制の『ネット予約』を食べログと契約し、ちゃんと予約在庫がある店が上位表示されると内部文書に明記されています」

 この背景には競合媒体との激しいシェア争いがあるという。

 「食べログの内部文書によると、現在、食べログは競合媒体である『HotPepper』、『ぐるなび』と比較して、サイト訪問者数ではナンバーワンに立っています。にもかかわらず、ネットでの予約人数、ARPU (平均客単価)、売り上げのすべてにおいて最下位なのです。そのため、ネット予約強化と予約によってインセンティブが得られる従量課金商品の立ち上げが必須だと書かれています。
 食べログは否定しますが、営業を委託されている代理店からこんな話を聞いたことがあります。営業をするにあたって、店舗の評価に対する権限が代理店に与えられていて、営業トークで『契約していただかないと(点数が)あがりませんよ』などと話すこともあるそうなんです」(山本氏)

 これでは凡百のグルメを謳うサイトと変わらないではないか。さらにある食べログ関係者は声を潜めてこう語ったという。

 「今回の件がここまでネットで炎上するとは思ってもいませんでした。ですが本音を言うと、無料掲載店舗や予約機能の契約のない店舗はメリットがないので、掲載はしたくないんです。将来的には無料契約店舗などは掲載しない方向になるのではないでしょうか」

 こうした数々の疑問について食べログを運営する「カカクコム」に聞くと、「個別の飲食店様の点数変動に関しましては、コメントを控えさせていただきます」とした上で、こう回答したそうだ。

 「広告サービスのご利用の有無によって食べログの点数に影響が生じることはございません」

 こう言うのは当然だろうが、そのまま信じることはできまい。福本氏がこう嘆く。

 「これまで食べログは、正当に店を評価する従来にない口コミサイトと思っていました。ですが、二年前ぐらいから営業電話が増え、店舗の評価も曖昧なものになってきたように感じます。
 今回の騒動で失望し、いただいた賞状もすべて捨てました。食べログの影響力はダントツで、飲食店にとっては“避けては通れない道”です。だからこそ点数については、『独自のアルゴリズムで算出』ではなく、きちんとした情報開示をしてほしいです」

 『文春』は「今こそ利用者ファーストが求められる」と結んでいる。

 IT企業は情報開示しないところが多いが、食べログまでがそうでは、評価を素直に信じろというほうが無理であろう。

 私は、グルメサイトやその手の情報が載っている本や雑誌をよく見る。食べログもときどき覗くが、漠然と見ることはほとんどない。

 気になっている店がどういう評価になっているのか、コメントは、予算はと見ていく。食べログで一番信用できるのは予算(平均単価)だと思っている。

 コメントは玉石混淆。信用できるかどうかは読めばわかる。評価については気にしない。

 人間を長くやっていると、いい店かどうかは一見、匂いでわかる。それに自分の好みはわかっている。だが、私は行きつけの店をつくることが昔から嫌いである。女性と店は新しいほうがいいというと、トランプのようだとお叱りを受けるだろうが。

 よく作家が、行きつけの店などと書いているが、信用しないことだ。誰しもそうだが、自分にとっての気分のいい店、自分を大事にしてくれる店を取り上げるのが人情である。

 山口瞳さんという作家と、彼の行きつけの店にずいぶんお供した。もちろん文句なしにおいしい店もあるが、ここはちょっとという店もある。

 だが、山口さんにとっては居心地も味のうちなのである。シャイな人だったから、まったく知らない店というのは居心地が悪そうで、早く出たがった。

 昔は、インターネットもなかったし雑誌情報も見ずに、歩いていて、ここはと思うところにフラッと入っていった。

 そうやって何度も失敗して覚えていくのだ。インターネットのグルメサイトなどを頼りに店選びしているようでは、いつになってもそういうカンは養われない。

元木昌彦が選ぶ週刊誌気になる記事ベスト3
 「小池劇場」が開幕してしばらく経つ。相手役には悪役ばかりを配し、時代劇ばりの厚化粧で、「知らざあ言って聞かせやしょう」と見得を切るなんざぁ千両役者顔負けだが、悪役にも役者が揃っていて、どちらが勝つか予想がつきにくい。そろそろ息切れかという見方も出てきた。彼女の弱味も人望のなさのようだ。

第1位 「小池百合子都知事に早くも『限界説』」(『週刊朝日』10/21号)/「ドン内田一派の『政活費』を暴く!」(『週刊文春』10/13号)
第2位 「紀香は知らない! 片岡愛之助が披露宴に元愛人を招待」(『週刊文春』10/13号)
第3位 「ジャニーズ帝国の新しい城『渋谷80億円ビル』の偉容」(『フライデー』10/21号)

 第3位。『フライデー』が、あのジャニーズ帝国が渋谷に80億円ともいわれるジャニーズ城を建てたと報じている。

 「渋谷の喧騒から少し離れたオフィス街。全面ガラス張り、12階建ての、一見IT企業が入居していそうなビルがある。ここがジャニーズ事務所の新たな本拠地=ジャニーズの城である」(『フライデー』)

 SMAP解散でもジャニーズ帝国は揺るぎないようである。ある芸能プロダクション幹部はこう語っている。

 「ジャニーズ事務所の強みは、タレントを発掘する確かな目と、その人材を育てあげる力にある。また積極的な不動産投資によって、盤石な経営基盤を築いてきた。育成場所も設けた渋谷のビルは、ジャニーズの底力を見た気がします」

 『フライデー』は「渋谷の新拠点は、創業者からジュリー氏へ、さらにその先へと続くために打った布石なのかもしれない」と結んでいる。これまで芸能プロダクションは子どもや他の経営者に引き継がれると衰退するというのが定説だったが、ジャニーズ事務所はその歴史を塗り替えることができるのだろうか。

 第2位。歌舞伎役者の片岡愛之助(44)は9月28日に藤原紀香(45)との結婚披露宴を華々しく開いたが、『文春』によると、その宴に元愛人を招待していたと報じている。
 紀香の隣に着物姿の彼女も写っているスリーショット写真まで掲載しているのだから、気の強い新妻との間で「不測の事態」が起こらなければいいがと、心配になる。
 司会の徳光和夫は2人をこう紹介したという。

 「新郎は初めての結婚でございますが、新婦は“初めての再婚”でございます」

 そこに呼ばれた元カノは「キリッとした顔立ちで女優の上戸彩に似た美人」(『文春』)だそうだ。
 彼女と愛之助が知り合ったのは12年2月。歌舞伎ファンだった彼女は知人の紹介で愛之助の楽屋を訪ね、メールのやりとりをし、連日愛之助から連絡が来て、4か月後に「初めて身体の関係を持ったそうです」(彼女の親友)
 その当時はつかこうへい氏の娘で、元タカラジェンヌの愛原実花(みか)と付き合っていると噂されていたが、彼女には「もう別れた」と言ったという。
 少し前に『文春』は、愛之助が2000年に大阪の女性との間に子どもをもうけたにもかかわらず、子どもが幼稚園の時に家を出て以来、一度も会おうとしないという女性の告発を掲載した。
 また、彼女と付き合っているとき、タレントの熊切あさ美とも付き合っていたのだ。
 男がモテる要素は、姿形がいいだけではなく、まめでなくてはダメだ。ちょくちょく電話をかける、会えば彼女の話を親身になって聞いてやる、ベッドの上だけではなく何度も「キレイだよ」「今日のネイルメチャ可愛い」とホメ続けることである。
 熊切の一件以来、愛之助とは別れたそうだが、彼女は愛之助のことを「優しいと、優柔不断と、いい加減が混同した人」と話しているそうだが、なかなか的を射た愛之助評である。
 こうした愛之助の「女遊び」は病膏肓に入っているようだから、紀香も覚悟したほうがいいようだ。

 第1位。政務活動費の不正が相次いでいる。富山市議会では市政報告会のあとの飲食の代金を報告会の「茶菓子代」として請求するなどして、政務活動費を不正に受け取っていたとして12人の市議会議員が辞職した。
 国会でも共産党・小池晃氏の質問によって、同僚議員の政治パーティーに参加した際に、「金額や日付が書かれていない『白紙』の領収書を受け取り、金額などは自らの事務所で書き込んでいた――。菅義偉(すが・よしひで)官房長官、稲田朋美防衛相、高市早苗総務相の3氏が6日の参院予算委員会で追及を受け、事実関係を次々に認めた」(10月6日のasahi.comより)
 『文春』では都議会のドン・内田茂都議をはじめ、ドンにつながる都議たちが、政活費を親族に環流していると追及している。

 「内田氏は十四年六月以降、政務活動費から計百三十八万円を事務所費として『(有)トリート企画』に支出している。
 トリート企画の代表取締役は内田氏の次女夫婦で、事務所の土地・建物の所有者も次女夫婦だ」(『文春』)

 ドンにつながる川井重勇(しげお)都議会議長も、「川井氏は一一年四月から五年間、政活費から計七百五十万円を事務所費として『(有)ホワイト』に支出。ホワイトの代表取締役は川井氏の兄の妻で、事務所の土地・建物の所有者は川井氏の兄だ」(同)
 だが、あからさまな親族への政活費の横流しだが、敵もさるもの、そこには抜け穴が用意されている。事務所費については「賃貸借を業として行っている場合は親族の会社でも支出可」となっているからだ。
 ただ都議自身が所有する物件への賃料支払いに政活費を充てることはできない。
 『文春』によれば、そこで登場するのが会派「都議会自民党」の支部を利用したスキームだという。高島直樹都連幹事長は復活当選した13年以降、計155万円を事務所費として政活費から支出している。
 高島氏が都議会自民党支部に自身が所有する自宅兼事務所を貸している形をとっているから、これは都議会の内規で認められているのだ。
 前都議会自民党幹事長の宇田川聡史氏も都議会自民党を介在させることで、自身の父・芳雄元都議が所有する事務所に毎月10万円、5年間で計600万円を支出していた。『文春』によると都議4人が親族に環流させた政活費は5年間で計1643万円になるという。

 「税金が身内に環流しているという意味では、舛添氏と実質的には変わりません」(神戸学院大学の上脇博之教授)

 小池都知事は、政活費にまで手を入れる覚悟はあるか。今のように風が追っているときでなければできない。都民の怒りが都庁、都議会に向いている今こそ、一気にやるチャンスだが、どうする小池都知事。
 小池都知事のスピード感のある進め方はいいと思うが、いつまで続けられるか、どこを落としどころにするのかで、都民の世論はガラッと変わるかもしれない。
 と思っていたら、『週刊朝日』が、小池都知事に早くも「限界説」と大特集をやっている。
 結論から言うと、小池都知事には周りに人がいない。したがって、疑問を呈することはできても、そこから決断までがなかなか進まないのだ。
 共産党の清水ひで子都議がこう言っている。

 「答弁が曖昧で、他人事になっているところがもの足りない。私たちが証拠を出しても『調べます』『PT(プロジェクト・チーム)で相談する』ばかり。『そう思う』とか『違う』とか、もう少し自分の判断を示していただきたかった」

 こうした態度に、傍聴席から「利権ファーストなの? 都民ファーストなの? しっかりしなさい!」という野次が飛んでいるそうだ。
 小池都知事は憮然とした表情で、傍聴席を睨んでいたという。
 人がいない、カネがない、古参の秘書らが彼女の元を離れてしまっているなど、口で勇ましいことを言っても、動く人がいないのが実情らしい
 その上、豊洲移転だけではなく、東京五輪の施設見直しも、早急にやらなければならない。
 今のままでは、長野五輪の施設のように、つくったはいいがその後使う人も少なく、赤字を垂れ流して都の財政を圧迫することになると『朝日』は苦言を呈する。
 唯一といってもいい大物の味方である二階俊博幹事長だが、これも相当なタヌキだから、彼女の思い通りに動いてくれると考えるのは甘いだろう。
 『朝日』によれば、東京都立広尾病院の青山への移転計画もあるが、土地購入費だけで370億円、病院建設費を含めると約900億円になるという巨大プロジェクトだそうだが、なぜ「現地建て替え」ではなく費用のかかる「移転新築」なのか?
 舛添要一氏が都知事時代に決めたようだが、これも難問だそうである。
 一見、順調そうに見える船出だが、実態は板子一枚下は地獄という、歴代都知事と変わらないのが実態のようだ。
 これまでやって来たことにクレームをつけることは誰でもできるかもしれないが、それをどう、都民の納得のいく形でまとめられるのか。正念場が近づいている。
   

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   


元木昌彦(もとき・まさひこ)
金曜日「読んだ気になる!週刊誌」担当。1945年東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社に入社。『FRIDAY』『週刊現代』の編集長をつとめる。「サイゾー」「J-CASTニュース」「週刊金曜日」で連載記事を執筆、また上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで「編集学」の講師もつとめている。2013年6月、「eBook Japan」で元木昌彦責任編集『e-ノンフィクション文庫』を創刊。著書に『週刊誌は死なず』(朝日新書)など。
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