北太平洋の漁業資源保護について話し合う国際会議・北太平洋漁業委員会(NPFC、日本、中国、韓国、台湾、カナダ、ロシアで構成)は2016年8月26日、サバ漁船の数を抑制することで一致した。

 サバの国内漁獲量は年々減少している。一方で、中国漁船の公海上でのサバ漁獲量は急増。2015年は13万4846トンと前年比5倍以上に達した。まさに、「爆買い」ならぬ「爆漁」である。同年の中国のサバ操業船も前年比4倍増の80隻という。

 このままだと北太平洋でのサバの生息数が減り、庶民の味、サバが高級魚に仲間入りしかねない。その危機感から日本政府は、NPFC参加国にサバ漁船数の抑制を提案したわけだ。

 もっとも今回、抑制で合意したといっても、あくまで漁船数を増やさないことを「推奨する」だけであって、強制力はない。中国が猛反発したからだ。報道によると、中国の言い分は、「サバの資源量が減っているかどうか、まだわからない段階で漁獲量を規制するのは筋が通らない」ということらしい。

 実はサバだけでなく、イワシやサンマも乱獲によって数が減っている。2015年にNPFCが議論したのはサンマだった。

 何事も、資源には限りがある。中国側に対し、今回の合意内容を守らせるには、サバが減少していることを示す科学的根拠を提示することだ。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
ジャパンナレッジとは 辞書・事典を中心にした知識源から知りたいことにいち早く到達するためのデータベースです。 収録辞書・事典80以上 総項目数480万以上 総文字数16億

ジャパンナレッジは約1900冊以上(総額850万円)の膨大な辞書・事典などが使い放題のインターネット辞書・事典サイト。
日本国内のみならず、海外の有名大学から図書館まで、多くの機関で利用されています。 (2024年5月時点)

ジャパンナレッジ Personal についてもっと詳しく見る