劇団青年座所属の女優。声優からバラエティまで幅広くこなす。61歳。1980年代後半から東映特撮作品に出演し、なかでも『仮面ライダーBLACK RX』の悪役・マリバロンが当たり役となり女優として頭角を現していく。

 1995年から『3年B組金八先生』シリーズの本田知美先生役、『白い巨塔』の東政子役が評価され、舞台にテレビのドラマ、バラエティにまで進出している売れっ子である。

 舞台では読売演劇大賞・女優賞、同・最優秀女優賞、菊田一夫演劇賞・大賞を受賞し、平成26年には紫綬褒章(しじゅほうしょう)を受章している青年座の大看板女優でもある。

 彼女は2度離婚しているが、長女と長男・裕太(22)という2人の子どもがいる。

 裕太は母親の七光りで俳優になっていたが、とんでもないバカなことをしでかしてしまったのである。

 裕太は、前橋市のビジネスホテルで40代の女性従業員に性的暴行をしたとして、強姦致傷容疑で逮捕されたのだ。

 『フライデー』(9/9号)によると、映画の撮影で前橋市を訪れていた高畑はスタッフたちと居酒屋で飲み、さほど酔わずに一人でビジネスホテルSへ戻った。

 部屋から「歯ブラシがほしい」とフロントへ電話をかけ、件の女性を部屋に呼び無理矢理暴行したというのである。

 「Sは深夜になるとフロントスタッフは1~2名だけ。高畑容疑者は何泊かこのホテルに宿泊しており、被害女性のことも犯行前から目をつけていたようです。『企ててはいません』と供述していますが、犯行時に彼があまり酔っていなかったこともあり、県警は計画的な犯行の疑いも含めて捜査を進めています」(全国紙記者)

 高畑容疑者はバンドをやっていたそうだが、とてもそれでは生計は立てられず、母親は別の仕事を見つけるように日頃から言っていたという。

 すると今度は役者をやりたいと言い出した。そこで今の事務所に面倒を見てもらうことにしたそうだ。母親はテレビ局に出向き「バカ息子をよろしくお願いします」と頭を下げて回ったという。

 NHKの連続テレビ小説『まれ』で好演して注目され、バラエティ番組で活躍するなど人気俳優の仲間入りを果たしたばかりだった。

 これだけのご面相と俳優の肩書きがあれば、女の子など“手を叩けば”いくらでも寄ってきただろうにと思うのだが。

 ワイドショーなどで見る限り、2度離婚した高畑は、女手ひとつで2人の子どもを育てたが、特に長男・裕太とはかなり激しい母子の葛藤があったようだ。

逮捕された裕太容疑者に情け容赦なくメディアは襲いかかる。

 『アサヒ芸能』(9/8号、以下『アサ芸』)は、裕太が16歳の時、彼からSEXを強要されたという元劇団研究生Aさんの話を取り上げている。

 Aさんの知人が話をしたという作りになっている。その知人は『アサ芸』に対して、「Aさんの素性が極力わからないよう書くことを条件」にしたというのだが、『アサ芸』は「研究生だったAさんは、高畑淳子の『付き人』に抜擢された」と書いている。これでは誰のことか、劇団青年座の人間ならすぐわかってしまうと思うのだが。

 それはともかく、看板女優の付き人になったAさんが、09年秋に高畑淳子が出演していた舞台の楽屋にいるとき、裕太が現れ、ラブホテルに来いと強引に誘われたという。

 Aさんは、高畑の付き人をしていれば役がもらえるかもしれない、役者として生きていきたいという思いが強く、その息子である裕太の誘いを断れなかったという。

 それに味をしめ、その後も裕太はホテルへ彼女を呼び出し何度もSEXを強要したというのだ。その噂が母・淳子の耳に入った。たしかにAさんのほうが年上ではあるが、普通そうした場合は息子の責任も問うべきだ。しかし高畑は一方的に彼女を「うちの裕太をたぶらかさないでください!」と叱責したそうだ。

 『週刊新潮』(9/8号)、『週刊文春』(9/8号、以下『文春』)は、裕太が学生時代、母親のモンスターペアレントぶりがすごかったと書いている。

 『文春』によると、母親自身も「性欲が強い」と公言してはばからず、研ナオコやピーターたちと歌舞伎町の老舗ホストクラブへ足繁く通っていたという。

 また、高畑淳子はドラマや映画だけではなく、最近はバラエティにも出演するなど仕事が激増し、トップタレントの仲間入りを果たした。

 青年座では西田敏行が抜けたため、劇団の役員にも就任して「青年座の女帝」と呼ばれるようになっていたそうである。

身内が事件を起こすと、これまで秘されていたことまでメディアは次々と暴いていく。

 裕太は2度目に結婚した一般男性との間に生まれたと言われていた。だがそうではなく、高畑が結婚している間に“不倫”していた俳優との間にできた子どもだったのだ。

 その相手は、ドラマ『相棒』などで知られる俳優・大谷亮介(62)で、本人も裕太が息子であることを認めている。

 「高畑は、二人目の配偶者と別居後、大谷氏と五年半の事実婚関係にありました。裕太が幼少の頃、大谷氏が学校行事などに参加したことはありましたが、大谷氏が別の女性と結婚されてから交流はありません。大谷氏は裕太を認知しています」(劇団青年座)

 事件後の8月26日、高畑は謝罪会見を開いた。

 記者から、息子・裕太は以前からやってはいけないことをやる危うさがあったのかと聞かれ、

 「それは…思春期とか、そういう時代に……あったかもしれないですね」「日常生活がきちんと、例えば仕事の前はきちんと寝るとか、不安な要素はありました」

と、息子の行動に以前から不安を覚えていたと話した。

 しかし拘置所で息子と面会してこう言ったという。「でも私はどんなことがあってもお母さんだからね」。そう明かし、号泣した。

 1時間以上におよぶ会見の間中立ち続けた高畑は、控え室に入った途端崩れ落ちたという。

 私はこの会見をテレビで見ていて、名女優・三益(みます)愛子の「母もの」映画を思い出していた。三倍泣けますというキャッチフレーズで大ヒットし、このシリーズは33本も作られた。

 幼いときに離ればなれになったわが子を探していく主人公。会えたかと思うと、わが子から邪険にされ、それでも泣きながら子どもにすがる日本の母親の原型に、日本中が涙したのである。

 高畑が三益を意識したかどうかは知らない。だが、親不孝な息子でも子どもは子ども。日本中を敵に回しても、この母が命をかけて守ります

 当座CMや舞台はなくなっても、高畑はお茶の間が受け入れることであろう。嫌な言い方になるが、そこまで考えて高畑は“一世一代の名演技”をしたのだろうか?

 『文春』は事件後、高畑淳子が友人に送ったメールを掲載している。そこにはこう書かれていたという。

 「これからないことを書かれたり、報道されたりするのだと思います。おかしな事件だと思っている方々もいますが、今は、会見をまずして、黙る。これが最善のようです」

 会見は十分計算されたものだったのではないか。

 降板を受けて、裕太や彼女に対する「違約金」が発生するかもしれないと言われるが、高畑は現在渋谷区に豪邸を建設中で、他の土地、建物を合わせると資産はゆうに5億円は超えると『文春』が報じているから、心配はないのだろう。

 最後に、三田佳子、みのもんたの例を挙げるまでもなく、いい年になった子どもの不祥事のたびに、親が会見を開かされ、謝罪し、記者からの心ない質問に答えるという「お約束事」には、いつ見ても違和感がある。

 みのもんたが、窃盗未遂で逮捕された次男について、記者会見で「30過ぎて子どもがいる男に、親が責任をっていうのはいかがなものか」といって、メディアから散々叩かれたが、それが正論であろう。

 だが日本では「それを言っちゃあおしめえよ」とメディアと世論なるものが「寅さん」になって襲いかかってくるのだ。

 ビートたけしが『週刊ポスト』(9/16・23号)で、大人の犯罪は責めを負うのは当人だけでいいと思うが、子どもの犯罪、今回の埼玉県東松山市の河川敷で16歳の少年がリンチ殺人されたケースでは、親の責任が問われるべきだと言っている。

 私も親の責任は問われるべきだと思うが、ネット社会になると、エセ正義を振りかざした悪意の塊が、住所から親の顔写真までネットに晒しかねない。

 それでは責任を問うのではなく集団リンチになりかねず、そこで思考停止してしまうだけである。

 裕太容疑者のケースも、あまり騒ぐと被害者がセカンドレイプされることになる。ここは静かに取り調べ、裁判の行方を見守りたい。

元木昌彦が選ぶ週刊誌気になる記事ベスト3
 よく人は「あの人はついている」「あの人はついていない」という。それでいくと夏目三久(みく)という女子アナは「ついていない人」のそうとう上位に入るかもしれない。
 日テレの女子アナとして期待されていたのが、スキャンダルで辞めざるを得なくなった。フリーになって順調にスターの階段を上がってきたかと思っていたら、お笑いタレントとの結婚話が流され、それも妊娠しているというのである。すわ結婚引退かと思われていたら、事務所の社長が事実無根だと騒ぎだし、本人も完全否定。だが、この話にはまだまだ裏がありそうなのだ。だから週刊誌はやめられない?

第1位 「『夏目三久』交際報道は『小林麻美』ご亭主がひねり潰した!」(『週刊新潮』9/8号)/「夏目三久『妊娠・結婚報道』有吉弘行にドンは“怒り心頭”」(『週刊文春』9/8号)/「夏目三久と有吉弘行 付き合ってるのか?妊娠してるのか?」(『週刊現代』9/17号)
第2位 「『インサイダー』捜査中止を企てた『山本幸三地方創生大臣』の国会質問」(『週刊新潮』9/8号)
第3位 「現役ヤクザ100人世論調査『山口組分裂から1年、あなたのシノギは?』」(『週刊ポスト』9/16・23号)

 第3位。『ポスト』はときどきおもしろい企画をやる。今週の現役ヤクザ100人の世論調査も企画趣旨はいいが、返ってきた答えは、まあそんなところかなという内容なのが残念だ。
 フリーライターでヤクザに強い鈴木智彦氏が100人すべてに直接電話して聞いたそうだ。
 内訳は六代目山口組が31人。神戸山口組が16人。後はその他の組員のようだ。
 山口組の分裂で何か影響があったか? はいが59人。いいえが19人。
 山口組の分裂抗争はしばらく続くと思いますか? はいが85人。いいえは7人。
 山口組の分裂抗争以後、警察の取り締まりは厳しくなったか? はい67人。いいえが9人。
 経済活動(シノギ)は順調か? いいえ65人。はい17人。今後、暴力団は非合法化されると思うか? はい71人。いいえ17人。家族は不利益を被っていますか? はいが90人。
 ヤクザを続けるメリットはあるか? はいが39人。いいえが29人。どちらともいえないが30人。そうとう迷っているのが多いようだ。
 堅気(カタギ)になれるのなら引退するか? いいえ47人。はい16人。どちらともいえない34人。やめても食える場所がないというのが正直なところで、仕事があれば引退するというのは、ホンネでは多いのではないか。
 ヤクザの高齢化は深刻なはずである。若い奴らはしきたりだ上納だと、先輩風を吹かせる組には入らず、仲間と徒党を組んで暴れていたほうが気楽だし、女もこませる。
 美坊主のように、高倉健のようにカッコいいヤクザを集めて写真集でもつくったら、結構、入ってくる若い奴らがいるかもしれないが、警察が許さんだろうな。どこかつくってやるという出版社はいないかね。

 第2位。『文春』と『新潮』がともに山本幸三地方再生大臣(68)の過去の「国会質問」に問題ありと追及している。
 『新潮』のほうがくわしい。山本大臣は大蔵官僚から政界入りし、衆院当選7回でやっと大臣ポストを射止めた。
 アベノミクスの熱烈な支持者で、安倍首相のお気に入りだそうだ。
 簡単にことの経緯を記そう。三井住友銀行から日興コーディアル証券に出向していた吉岡宏芳・投資銀行副本部長(55)が、横浜市にある金融会社の加藤次成社長(71)に、自分の知り合いへの融資を依頼し、2000万円から5億円の融資がなされたが、暴力団と関わりのある人間ばかりで、ほとんどが焦げ付いてしまったという。
 加藤から責任追及された吉岡は、その代償としてインサイダー情報を流したというのだ。2011年、SESC(証券取引等監視委員会)が調査に乗り出し、告発を受けた横浜地裁が摘発して吉岡と加藤が逮捕された。吉岡は上告中だが、加藤は一審で懲役執行猶予付きが確定している。
 SESCが調査している渦中の12年3月5日、衆院予算委員会第一分科会で山本議員は、SESCのやり方を批判する質問を行なったのである。
 自分の知り合いに証券会社の部長(吉岡のこと)がいる。インサイダーの疑いでSESCに強制捜査を受けているが、彼は一切知らないと言っている。
 それなのにいつまでも結論を出さない、本人を追い詰めて自白に持っていこうとする「監視委員会というのはある意味で本当に必要なのかなというようにも思ってきていまして」(山本氏)、「これから私は監視委員会のあり方についてじっくり検討していきたいと思っています」(同)
 SESCに対する明確な圧力発言である。しかもこの質問は、吉岡が山本議員に頼んだというのだ。呆れ果てた話である。
 それ以外にも吉岡被告との関わりで、ファンド会社の代表取締役にもなっていたのだ。 SESCは当然、こんなアホ議員の言うことは聞かず2人を告発した。この問題は国会で追及されることになるはずだが、山本デージンが逃げ切るのは難しかろう。

 第1位は、どれを読んでも真相がわからない夏目三久の結婚&妊娠騒動。そういう意味ではどう進展するかわからない、稀で不可思議なスキャンダルである。
 夏目三久(32)という女子アナには「スキャンダル」が取り憑いているようだ。日本テレビの有望なアナウンサーとしてスタートを切ったが、コンドームの箱を手にして微笑む写真が『FLASH』に載り、辞めざるを得なくなりフリーに。
 芸能界のドンといわれる田辺昭知(しょうち)社長(77)の田辺エージェンシーに入り、テレビ朝日の『マツコ&有吉の怒り新党』、TBSの『あさチャン!』、日テレの『バンキシャ!』などに出演して人気者になるが、今度はお笑いタレントの有吉弘行(ひろいき)(42)と噂になり、日刊スポーツが「夏目三久アナと有吉熱愛! すでに妊娠」とスクープしたのである。
 本来なら慶事であるはずだが、なぜか田辺社長は激怒し、『新潮』によると「各局の担当者に対し、“日刊の記事には1秒も触れるな”と厳命」したというのだ。
 そのためテレビで2人の熱愛について触れる局はなく、日刊スポーツは翌日も報じたが、「その他のスポーツ紙は単に、『事実無根』『事務所が否定』としか書かなかった」(『新潮』)。ドンの威光はあのジャニーズ事務所をも上回ったというのである。
 報道を規制したばかりではなく、ドンは日刊スポーツ側への「法的措置も検討している」と言われ、『文春』でTBS関係者が、ドンは「こっちは医師の診断書を出してもいいんだ」とまで言っていると報じている。
 ここまで田辺社長が怒るのは、他人が羨むほど夏目を溺愛しているからだという。
 「大社長の入れ込みようは現場でも話題になった。開始当初(『あさチャン!』のこと=筆者注)、二人が手をつないでTBSへ来たのを目撃されたこともあった」(『文春』)そうだ。
 このドン、52歳の時、所属タレントで15歳下の小林麻美と結婚しているように、年下を可愛がる性分なのかもしれない。
 スクープした日刊スポーツ側は報道内容に自信を持っているようで、一歩も引く構えは見せない。当の有吉は『文春』の直撃に「何も無いんです、本当に。全部誤報」と全否定している。
 そこに9月1日発売のスポニチが「夏目三久 熱愛、妊娠報道を完全否定」と夏目の電話独占インタビューを掲載したのである。夏目はこう語っている。

 「事務所にも私にも取材せず電話の一本すら入れていないあのような記事は信用され、事務所が事実無根と言っても信じてもらえない。でも、もうはっきり言わせていただきます。このままでは自分の気持ちが壊れてしまう。記事に書かれているような事実は一切ありません。誰も信じてくれなくても、もう一度言います。事実ではありません」

 『文春』、『新潮』の報道を読む限り、夏目が有吉と付き合っていたことは事実のようだ。だが妊娠の事実も、結婚して番組を降板するというのも、本人がここまで否定しているのだから、ないのかもしれない。
 ここからは邪推だが、寵愛する自分の事務所の所属タレントが男と交際するのを許せないドンが、すべてをなかったことにしようと親しいテレビ、スポーツ紙を抱き込み、夏目や有吉にも口封じしたのだろうか。真相は藪の中である。『文春』で夏目が子どもの頃離婚した父親が、娘を気遣ってこう言っている。

 「あまりチャラチャラ、ああいう世界にいない方がいいかなと思います」

 私もそう思う。『現代』は、夏目と有吉が付き合っていることは事実とし、日刊スポーツは交際よりも妊娠情報を先に入手したそうだから、病院関係者などたしかなルートがあるのではないかと、芸能事務所幹部が語っている。
 TBSの『あさチャン!』は来月3月まで契約があるので、降板はないと言うしかなかった。あとは、芸能界を引退覚悟で夏目が田辺のところをやめることがあるかどうか。
 有吉のほうは田辺に対して「もう夏目とは会わない」という一筆を入れたという情報もあるそうだ。
 夏目を巡る田辺と有吉の三角関係のもつれか? 世の中にはよくある話だが、喜寿のじいさんがらみでは、スキャンダルとしてもあまりできはよくない話である。
 いつになったら真相が明らかになるのか。ちょっと気になる話ではある。
   

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   


元木昌彦(もとき・まさひこ)
金曜日「読んだ気になる!週刊誌」担当。1945年東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社に入社。『FRIDAY』『週刊現代』の編集長をつとめる。「サイゾー」「J-CASTニュース」「週刊金曜日」で連載記事を執筆、また上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで「編集学」の講師もつとめている。2013年6月、「eBook Japan」で元木昌彦責任編集『e-ノンフィクション文庫』を創刊。著書に『週刊誌は死なず』(朝日新書)など。
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