リオ五輪とリオパラリンピックの興奮がさめやらぬなかだが、今年はまだ新しい時代の幕開けを思わせるイベントが残っている。その名も「サイバスロン(Cybathlon)」なるスポーツ競技会だ。からだの不自由なアスリートたちが、最新のテクノロジーを駆使した義手・義足などの補装具、あるいは電動車イスとのコンビネーションで様々な種目に挑戦するというもの。2016年10月8日から、スイス国立コンピテンスセンター・ロボティクス研究所の主催で行なわれる予定である。

 SF作品にはよくロボットのような「パワードスーツ」が登場するが、これはすでに現実化した技術で、パワード義手などとともに今回の種目の中に取り入れられる。門外漢にしてみれば、すごい世の中になったと感嘆するほかない。だが実際のところ、日常生活レベルではまだまだ開発途上だ。たとえば、走る・つかむといった最低限の行動には有用でも、針の穴に糸を通すような繊細な作業は難しい。サイバスロンには世界の研究者たちが競い合い、技術を一歩でも二歩でも前進させようという意図がある。

 光と音による演出もなされるというから、日本でも映像として見られる機会があることを期待したい。ネット上では、脳波をコントロールして車や馬を動かすレースなどに対し、ゲーム世代も興味津々のようである。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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