読んで字のごとく「兵庫県出身の女子」のこと。京都府出身なら「京都女子」で、滋賀県出身なら「滋賀女子」で、茨城県出身なら「茨城女子」……と、ただそれだけの「以上!」って感じだが、最近はこの「兵庫女子」“だけ”が、やたらとちまたでモテはやされているのだという。

 北川景子・平愛梨(たいら・あいり)・上野樹里(じゅり)・戸田恵梨香・そして藤原紀香……と、ここ数年で結婚や恋愛が発覚したり、有村架純(かすみ)・能年玲奈改め「のん」……と、好感度が高かったりする“女優”を連続輩出しているのが一般的には大きな理由とされているが、さらにその理由を突き詰めるならば、「(兵庫女子は)プライドは高いけど、優しい人情派が多いから」と分析するスジもある。

 たしかに、お洒落でハイソというイメージを抱かれがちな「女子」ならではの“さり気ないプライド”に、関西女子特有の“人情に厚い(っぽい)気質”がフレイバーされたら、そのギャップにイチコロな男子も累々であろうが、たとえば神奈川県に「横浜」があれば「川崎」も「平塚」も「小田原」もあるのと同様、兵庫県にも「神戸」があれば「尼崎」も「明石」も「姫路」もあるわけで、「兵庫」の一言でくくってしまうのは大雑把にもほどがある。一部で「兵庫女子には大阪女子ほど東京コンプレックスが強くないからモテる」と指摘する向きもあるが、それは「兵庫女子」ではなく正確には「神戸(もしくは近辺在住)女子」ではないか、と筆者は考える。

 ちなみに筆者は、もう30年も前の関西在住時代、当時からすでにブランドとして成立していた“神戸(※「兵庫」ではない)女子カノジョ”をつくるため、あらゆる策を弄したものだが、結局その野望は一度も果たせなかったので、いささか兵庫、いや神戸女子を逆恨みしているきらいもなくはない。
   

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   


山田ゴメス(やまだ・ごめす)
日曜日「ゴメスの日曜俗語館」を担当。大阪府生まれ。エロからファッション、学年誌、音楽&美術評論、漫画原作まで、記名・無記名を問わず幅広く精通するマルチライター。『現代用語の基礎知識』2005年版では「おとなの現代用語」項目、2007年版では「生活スタイル事典」項目一部を担当。現在「日刊SPA!」「All About」の連載やバラエティ番組『解決!ナイナイアンサー」(日本テレビ)の相談員で活躍。著書に『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)など。趣味は草野球と阪神タイガース。
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