現在、選挙投票日の投票は指定の投票所1か所(小学校や公民館など)に限られている。これが2016年夏の参院選以降の選挙からは駅やショッピングセンターなどにも利便性の高い「共通投票所」が設けられ、その市区町村に住む有権者なら誰でも投票できるようになる。投票しやすい環境を整備することで、低下傾向にある投票率のアップにつなげたいとの狙いがある。選挙年齢の「18歳以上」への引き下げとともに導入された。

 ところが、である。一部報道によると、全国の主要都市(道府県庁所在地、道府県庁所在地以外の政令指定都市、東京23区)を調べたら、夏の参院選で共通投票所を設ける予定の自治体がほとんどない、というのである。

 その大きな理由は、「二重投票の防止が困難」であること。二重投票防止のためには一般投票所と共通投票所をオンラインで結び、有権者が投票したかどうかを同時に把握しなければならない。共通投票所はこうしたシステムの構築が前提なのだ。多くの自治体が時間的余裕やシステム構築の費用がないため、今夏の参院選での導入を見送っているという。

 机上で制度をつくっても運用できないのであれば、まさに「仏つくって魂入れず」ではないか。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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