「アラサー」「アラフォー」などはすっかり世間に認知されたようだが、日本は高齢社会ゆえ、ついには「アラハン」なるワードまで語られるようになった。「アラウンド・ハンドレッド」、つまり100歳前後の人を意味している。

 アラハン現象が特に目立っているのは書店である。いま、高齢の著者による本が次々と話題になっているのだ。美術家・篠田桃紅(とうこう)による『一〇三歳になってわかったこと 人生は一人でも面白い』(幻冬舎)は50万部を突破した。日本初の女性報道写真家といわれる笹本恒子も、2011年の著書『好奇心ガール、いま97歳』(小学館)がそのライフタイルとともに改めて注目されている。98歳の家事評論家・吉沢久子に至っては、毎年のように新刊が出る旺盛な執筆意欲が出版界でも話題だ。

 芸能の世界でも70歳、80歳の俳優やタレントたちがまだまだ若いといった印象。おそらくこれからのテレビは後期高齢者の出演が当たり前になる。では、一般社会はどうだろうか。今後の日本に明るさが見いだせるか否かは、アラハンが元気よく生きられる環境づくりにかかっているといっても過言ではあるまい。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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