厚生労働省は2016年4月、電子処方箋を解禁した。

 処方箋は、医師が患者にどんな治療薬を投与するのか、薬剤師に対して指示する書類のことをいう。一般に診察後、会計する際に窓口で領収書とともに渡される。患者はそれを調剤薬局に持ち込み薬を受け取る。4月からこの書類の電子化が認められるわけだ。

 複数の医療機関の患者診療情報をネットを通じて安全にやりとりができる、「地域医療連携ネットワーク」といった実施環境が整った地域で運用する。具体的には処方する薬のデータを医師・医療機関が地域の専用サーバーに登録。薬剤師・調剤薬局はそのデータを取り出して薬を患者に渡す。薬剤師は患者のアレルギー、既往歴、検査の値などの情報も取得し、服薬指導の際の参考にできる。もちろん、紙の節約にもなる。患者自身にとっても、自分が服薬している治療薬の情報を電子的に管理できるというメリットがある。

 ただ患者の中には、「薬剤師に自分の治療情報を知られたくない」「そこまで薬局を信頼していない」という人も少なくない。薬剤師側も患者の信頼を確かなものにするためには、啓発活動も必要だろう。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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