1月15日、『金曜ロードSHOW!』(日本テレビ系)で15回目となる『天空の城ラピュタ』の放送があった。劇場公開が1986年なので、じつに30周年になる。今回も関東地区の平均視聴率が17.9%と、根強い人気がうかがえる。

 「インターネットをつないだままテレビを見る」というスタイルが浸透してからは、「バルス祭り」なる言葉も生まれた。クライマックスの滅びの呪文「バルス!」を、劇中のタイミングに合わせてSNSやネット掲示板に書き込むというものである。視聴者が一斉に行なって2ちゃんねるのサーバーがダウンしたという事件はいまや伝説。さらに前回の2013年8月の放送では、秒間のツイッターのつぶやきが10万6338件という世界記録をたたき出した。

 ところが今回は、ツイート数は約5万5000件と半減したのである。前回放送の数字18・5%に及ばなかったとはいえ、視聴率がことさら悪かったわけではなく、単に祭りのピークが過ぎたといえそうだ。このことは、「バルス離れ」と表現されることが多い。その理由に関して様々な分析があるが、やはり「非公式の」楽しみという感覚が薄れてしまったところが大きいだろう。番組側がみずから公式サイトで「バルス!」の時間を予想させる企画があったが、これはよくなかったのではないか。近年のバルス祭りはメジャーになりすぎた。悪ふざけというものは、おとなが認めてしまったら甘美さを失うのだ。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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