東京・千代田区の審議会が、2015年12月、議員の政務活動費について答申をまとめ、石川雅己区長に提出したが、その内容をめぐり「お手盛りで、時代の流れに逆行している」との批判が区民やメディアから出ている。

 政務活動費は、給与にあたる議員報酬とは別に支給される。すべての自治体で支給しているわけではないが、その額は月額数万円から数十万円。東京都議の場合、月額60万円。年額にすると720万円だ。

 千代田区では現在、区議1人に対し月額15万円(年間180万円)の政務活動費が支給されている。答申は、政務活動費を月5万円に減らすかわりに議員報酬を10万2000円増やすことを求めた。区議の議員報酬は現在の61万6000円から71万8000円にアップする計算だ。

 「単なる付け替えであり、議員に支払うお金の総額にそんなに変わりはない」などと考えてはいけない。政務活動費には使い道を報告する義務があるが、議員報酬にはないからだ。議員報酬に付け替えられた10万2000円については第三者によるチェックの網にかからなくなる。政務活動費を巡っては、兵庫県議がカラ出張を繰り返していたことが明らかになるなど不明朗な支出が少なくない。

 答申を受け、付け替えを盛り込んだ条例案が2月の区議会定例会に提出される見込みだったが、批判を気にしてか、区議会の全会派が反対姿勢を表明。区長は2月の議案提出を見送った。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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