政府は2016年度に低所得の年金受給者向けに1人あたり3万円の給付金を支給する。

 「1億総活躍社会の実現に向けた対策の一つ」なのだという。

 原則として、(1)65歳以上の年金受給者、(2)65歳未満であっても障害基礎年金と遺族基礎年金の受給者(約150万人)で、いずれも住民税が非課税の世帯が対象。合計で1000万人以上に支給される見通しだ。財源は2015年度補正予算案と2016年度予算案との合計で3900億円と巨額である。

 それにしても障害者はともかく、なぜ年金受給者なのか。政府は「景気回復による賃上げの恩恵を年金受給者は受けていない」と説明し、「給付金が消費に回り、個人消費が活性化する」とそろばんをはじく。

 しかし、非正規の低賃金労働者からは「なぜ年金受給者だけなのか」「非正規の若者にも生活が苦しい人がたくさんいる」との不満も出てきそうだ。

 支給は2016年4月以降。そのタイミングも意味深だ。今年夏には参院選挙が控えており、衆参同日選があるとの観測もある。そのため、野党は「選挙の票を目当てとしたバラマキだ」と批判する。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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