小型のサルや(『ハリー・ポッター』ブームの頃の)フクロウなど、「珍しいペット」という切り口の情報はよくマスコミで紹介される。ただ、本当に飼っている姿を見かけることは少ない。気性の荒さなど、現実的にはペットに向いていない動物が多く、手放すにしてもイヌやネコ、ハムスターほどもらい手がいない。やはり「珍しい」には相応のわけがある。

 だが、最近人気が急上昇している齧歯(げっし)類「デグー」は、「珍しいペット」のわりに人になつきやすいという。なんでもヨーロッパなどではすでに人気者らしい。もともとは南米・アンデス山脈に生息していた動物で、仲間とのあいだに交わす鳴き声にバリエーションがあることから、「アンデスの歌うネズミ」と呼ばれる。おしゃべり好きはさみしがり屋?というべきか、一匹だけの飼育には適さない。また、非常に活発で、飼育には大形のケージが必要だ。

 魅力的なのは、その学習能力の高さである。かんたんな芸も仕込めるほどで、ハムスターなどではこうはいかない。また、小動物としては比較的寿命が長く、6~10年は生きるという。パートナーとしてのペットには重要なポイントだ。ネックとなるのが、日本ではまだまだデグーの知識が深い動物病院が少ない点。とはいえ、このまま人気が続けば、状況は改善されていきそうである。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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