このところ、紫水晶、タンザナイト、硬石膏など天然の鉱物に魅了される「鉱物女子」なるものが注目されている。

 鉱物は地殻中で産みだされた個体物質のなかで、科学的にほぼ均質のもので、その多くは原子やイオンなどが規則正しく配列された結晶状態をしている。自然界に存在する鉱物は数千種類に及ぶが、そのうちダイヤモンドやルビー、サファイヤなど宝石になるのは300種類程度。

 だが今、鉱物女子たちがハマっているのは、こうした磨かれて宝石になった鉱物ではない。人の手が加わっていない、自然そのままの鉱物で、「地球が作った彫刻作品」「ずっと前から地殻にあった鉱物にロマンを感じる」「キラキラしていてかわいい」など、磨かれる前の色や形そのものに魅力を感じているようだ。

 火付け役となったのが2013年に発行された「鉱物アソビ 暮らしのなかで愛でる鉱物の愉しみ方」(スペースシャワーネットワーク)という単行本だ。いわゆる鉱物図鑑ではなく、まるで雑貨品を紹介するように、きれいな写真とともに天然の鉱物の魅力や美しさを紹介。それを見た読者が、鉱物収集を始めたり、博物館に足を運んだりするようになったのだ。

 また、国内外から専門業者が出店する鉱物や化石などの展示即売会が行なわれる「ミネラルショー」に足を運ぶ鉱物女子もいる。

 一般に販売されている鉱物は、宝石のように加工していないので、価格も500円程度から購入できるものもある。ブラックライトをあてて鉱物の光りを楽しんだり、自分でアクセサリーに加工したりと、楽しみ方は人それぞれだ。

 「鉱物」という言葉の響きから、一見、男性的なものを感じるかもしれないが、鉱物女子の本質は「キラキラとかわいいものが好き」な女性たちだ。

 いつの時代も、女性はかわいいもの、きれいなものに魅了される。鉱物ブームは当分続きそうだ。
   

   

ニッポン生活ジャーナル / 早川幸子   


早川幸子(はやかわ・ゆきこ)
水曜日「ニッポン生活ジャーナル」担当。フリーライター。千葉県生まれ。明治大学文学部卒業。編集プロダクション勤務後、1999年に独立。新聞や女性週刊誌、マネー誌に、医療、民間保険、社会保障、節約などの記事を寄稿。2008年から「日本の医療を守る市民の会」を協同主宰。著書に『読むだけで200万円節約できる! 医療費と医療保険&介護保険のトクする裏ワザ30』(ダイヤモンド社)など。
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