フランス語で「着色」や「ぬり絵」のことを「コロリアージュ(coloriages)」という。最近この言葉は、子どもではなく大人が楽しむ、グラフィカルなぬり絵をさす用語として注目されているようだ。

 日本でも大人向けのぬり絵が2000年代にブームとなったが、これは高齢者などが新規に取り組みやすい趣味として、「脳トレ」的な人気を集めた感がある。「きいちのぬりえ」など、幼少期を懐かしむところもあっただろう。日本のぬり絵文化は親しみやすさに特徴を持つといえる。これに対してコロリアージュは、ストレスフルな日常を過ごす現代人が、余暇に癒しを得るためのツールとして認識されているようだ。特に女性に人気がある。

 コロリアージュの世界的なブームの火付け役は、2013年に発表された、ジョハンナ・バスフォードの『Secret Garden』とされている。日本でも『ひみつの花園 花いっぱいのぬりえブック』(グラフィック社)のタイトルで出版された。類書もいくつか出回っているが、日本のぬり絵と比べるとアート感が優先され、その線画は面食らうほど細かい。もし美術系に興味があるのなら、一度は試しておきたいカルチャーといえるだろう。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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