見たい動画番組をネットを通じていつでも呼び出せるビデオ・オン・デマンド(VOD)。その動画配信の世界大手、ネットフリックスが2015年9月2日、日本でのサービスを始める。同社は2007年に動画配信事業をスタートさせ、月々10ドル前後の格安料金で会員をかき集めて急成長した。いまや世界50か国以上で会員約6500万人を抱える。米国では、街のレンタルビデオ店を駆逐し、ケーブルテレビからも顧客を奪い取っている。

 ネットフリックスの日本進出は、日本人のテレビ視聴スタイルを変える可能性がある。現在は、「テレビ番組の放映時間に合わせてテレビの前で視聴する」スタイルが主流だが、コンテンツが充実し、格安料金のVODが普及すれば、「好きなときに見たい番組を視聴する」スタイルに変わるかもしれないからだ。

 ネットフリックスに対してはフジテレビが独自の2番組を配信する。視聴率不振に喘ぐフジテレビとしては、新たな収入源にしたい考え。若者をスマホからテレビに呼び戻す狙いもある。

 しかし、フジの番組配信は「もろ刃の剣ではないか」との指摘もある。お茶の間のテレビがネットフリックスに占拠されれば、既存の民放テレビ局は視聴者を奪われ、各社の広告収入を直撃する可能性があるためだ。

 テレビ局にとってもうひとつ脅威なのは、リモコンにネットフリックス専用ボタンを搭載したテレビをパナソニックやソニー、シャープ、東芝など大手メーカーが発売したことだ。契約さえしておけばボタン一つで簡単に番組にアクセスできる。普及を大きく後押しすることになる。

 気になる料金は、月額1000円前後になる見通しだ。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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