富裕層をターゲットにした新たな課税制度「出国税」が2015年7月1日に導入された。

 正式名称は「国外転出時課税制度」。1億円以上の有価証券などを持つ資産家が国外に引っ越しする際、株式の含み益などに所得税を課税する。国内では株の売却益などに課税されるが、海外に転居する人にも網をかけて課税しようというものだ。

 導入の背景には巨額の金融資産を持つ資産家が、ニュージーランドやスイス、あるいは香港といったキャピタルゲイン課税がない国・地域に移住するケースが相次いでいることがある。

 例えばシンガポール。かつて「もの言う株主」として名をはせた村上ファンドの村上世彰(よしあき)氏も当地に移住したことで知られ、ここに本拠地を置く日本人ファンドマネージャーが少なくない。プライベートバンクには、日本人資産家の問い合わせも多いという。

 富裕層の、シンガポールのようなタックスヘイブン(租税回避地)への移住は世界的にも問題化しており、米、英、独、仏、加など先進諸国も「出国税」を導入済み。OECD(経済協力開発機構)も加盟国に対策を講じることを求めている。

 ちなみに1年超の海外留学する人や海外駐在する会社員なども対象だ。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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