自民党が小中高校の教員免許の「国家資格化」に乗り出した。同党の教育再生実行本部(本部長・遠藤利明政調会長代理)が2015年5月、国家資格化を盛り込んだ提言を安倍晋三総理に提出したからだ。

 教員免許は現在、大学の教員養成課程の修了者に対し、大学の所在する都道府県の教育委員会が付与する。学生は免許取得後、勤務を希望する都道府県の採用試験を受験、合格すれば教壇に立つ──という手順だ。

 これに対し提言は、優れた人材を確保することを狙いに「教師の『国家免許』化」に踏み切るべきだと強調。具体的な段取りについて、提言は触れていないが、新聞報道によると「学生は教員養成課程修了後に全国共通の国家試験を受け、1~2年間、学校現場でインターン研修を受けた後、晴れて免許を取得する」という。インターン中に素行や資質などで「問題あり」となれば免許の交付はなし、というわけだ。

 今後、中央教育審議会などで検討される見通しだが、「国の管理となれば戦前のような国家統制色の強い教育になるのでは」「日教組つぶしという政治的な思惑がある」といった批判も。教員志望の学生としても免許を取得するまで身分が不安定となる。新聞報道では「国家資格化は教師の待遇改善につながる」というが、どういう理屈で待遇が改善されるのかさっぱりわからない。

 「教育は国の礎」という言葉があるが、中教審では丁寧に議論してほしいものだ。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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