司法試験の合格者数について、政府は、2015年5月、「年1500人以上」とする案をまとめた。司法試験改革で目標に掲げた「年3000人程度」を事実上、半減させるものだ。

 7月に正式決定する。「国民に利用しやすい司法」を目指し、法曹人口の大幅増を目指した司法改革の大きな柱が崩れた格好だ。

 司法試験合格者は1990年ごろまでは500人弱だったがその後増加に転じ、2000年には994人、2008年には2209人に達した。ところがそれをピークにほぼ右肩下がりに転じ、2014年には1810人まで減少した。

 合格者数の目標が半減した背景にあるのが弁護士の就職難。新人弁護士で就職先が決まらない人が少なくないからだ。米国のような「訴訟社会」が到来するとの期待があったが、訴訟件数は逆に減少傾向にある。企業内弁護士も増えていると言うが心当てにしていたほど増えていないのが実情だ。

 メディアで弁護士の就職難、低収入が取りざたされたのが響いたのだろうか。法科大学院も不人気で、定員割れや募集停止が目立つ。合格者数1500人は2015年度の合格発表(9月)から適用される見通しだ。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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