広義的には「いつでもどこでもすぐドヤ顔(*1)をする人」のことを指すが、狭義的には「ノマド(*2)な人がスタバあたりでMacBook AirとかProを開きドヤ顔でいじっている人」を指し、「いじっている光景」をドヤリングと呼ぶ。

 さらに、2012年末のSoftBankのiPhone5のテザリング(*3)解禁で、ドヤリングするドヤラーが増殖。テザリングなんて猫も杓子もヤリまくっているなか、そこでドヤれる神経もよくわからない。まだパソコンが普及していなかった時代、原稿用紙を喫茶店のテーブルに広げながら、シャーペンで辞書片手にカリカリ文字を書き殴る姿のほうがずっと作家っぽくてドヤラーできるではないか!

 「自宅や自分の事務所には自分の好きなものがいっぱいありすぎて気が散ってしまうので、余程の事情がないかぎり原稿はかならず喫茶店で書く」という信条を、まだライターとして駆け出しだった20年以上も前から貫き通していた筆者としては、この昨今のノマド、あるいはドヤラー現象が「今さら?」としか思えず、なんとなく腹立たしい。どいつもこいつもオレの真似しやがって……「先駆者はオレ!」なのだ。

 ちなみに、筆者は現在、喫茶店で原稿を書くとき、一切テザリングは行なわないようにしている。その理由は「ネットが繋がってしまったら、やはり気が散って執筆活動に集中できない」からに他ならない。

編集部注
*1《「どや」は「どうだ」の意の関西方言》得意顔のこと。自らの功を誇り「どうだ」と自慢している顔。
*2ノマドワーカーの略。自宅や会社のオフィスではなく、喫茶店やファーストフード店などでノートパソコンやタブレット型端末などを使って仕事をする人。ノマド族。
*3データ通信機能をもつスマートホンをモデム代わりにして、ノートパソコンやPDAなどをインターネットに常時接続させる手法。または、その機能のこと。
以上「デジタル大辞泉」より
   

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   


山田ゴメス(やまだ・ごめす)
日曜日「ゴメスの日曜俗語館」を担当。大阪府生まれ。エロからファッション、学年誌、音楽&美術評論、漫画原作まで、記名・無記名を問わず幅広く精通するマルチライター。『現代用語の基礎知識』2005年版では「おとなの現代用語」項目、2007年版では「生活スタイル事典」項目一部を担当。現在「日刊SPA!」「All About」の連載やバラエティ番組『解決!ナイナイアンサー」(日本テレビ)の相談員で活躍。著書に『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)など。趣味は草野球と阪神タイガース。
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