「外国人に意外なものが好まれる」とは、最近の日本のカルチャーにありがちな現象で、バラエティ番組などの題材になることも多い。最近、海外で話題になることが多いのは、なんと「マンホールの蓋」だという。日本各地の観光地では、マンホールにご当地のカラフルな名所を刻んだものが多い。これが、デザイン性にすぐれたいかにも日本らしい「アート」として注目されているというのである。

 マンホールアート人気は国内でも高まっている。2014年には東京・神田で「マンホールサミット」なるイベントの第1回も催され、各マスコミで取り上げられた。主催したのは、公益社団法人・日本下水道協会内「下水道広報プラットフォーム(GKP)」。特筆すべきは、参加者の半数が女性とされる点だ。好評を受けて今年3月7日にも開催の運びとなっているが、そのPRでは、マンホールのデザインに魅せられた女性をさす「マンホール女子」という言葉をフィーチャーしている。

 ちなみに、2011年という早い段階から、このジャンルの愛好者が集う「マンホールナイト」というイベントが開催されていた。あちこちのマスコミが取り上げるようになったのはおそらく2013年頃からだが、マンホールナイトが取材に寄与したところは大きいだろう。サブカルチャーとしては決して「新参」ではなく、関連書籍もすでに何冊かある。街中の気になる意匠を撮って、気軽にSNS上で共有できる時代に、マンホールアートはうまくはまっている。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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