政府は、介護報酬を2015年度から全体で2.27%引き下げる。介護報酬は3年に1度改定されるが、今回は9年ぶりのマイナス改定となった。

 介護報酬とは「介護保険サービスの事業者が、提供したサービスに応じて受け取るお金」のこと。その1割を利用者、残りを介護保険料と税金が半々で賄う仕組みだ。

 引き下げとなったのは、慢性的な財政難に加え、安倍晋三総理が「消費税率の10%への引き上げ」を先送りしたからだ。

 高齢化の進展で14年度の介護保険の総費用は約10兆円に達した。これが団塊世代がすべて後期高齢者になる25年には倍増する見通しだ。介護職員も今より100万人増やす必要があるという。膨れあがる介護費用の抑制はやむを得ない措置だろう。

 介護報酬の引き下げを後押ししたのは、財政当局による「介護事業者の利益率が平均8%と、一般の中小企業の利益率(2~3%)に比べて高い」「施設で介護事業を請け負う特別養護老人ホームは、平均3億円もの利益を内部留保として蓄えている」といった指摘だ。要は「儲けすぎではないのか」ということだ。「儲けすぎ」との指摘に対し、介護事業者の間からは「ギリギリの運営でやりくりしている事業者も少なくない。一括しての報酬の引き下げはサービス低下につながりかねない」との反発も聞こえてくる。

 介護難民が出ないことを願うばかりだ。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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