政府は2015年1月27日、認知症に関する国家戦略(認知症施策推進総合戦略、新オレンジプラン)を決定した。25年までの取り組みを省庁横断でまとめたものだ。その25年は、国内では高齢者の5人に1人、約700万人が認知症になると見込まれる年だ。

 一番のポイントは、認知症の早期診断・早期対応への体制整備を図ったことだ。早期の段階で適切な治療を行なえば、症状の進行を遅らせることができるからだ。

 具体的には全市町村に2018年度から「初期集中支援チーム」を配置する。専門医の指導の下、看護師や保健師が自宅訪問を行ない、患者や家族を支援し、相談に応じる。また「かかりつけ医」の対応力の向上も図り、2017年度末までに認知症についての「研修の受講者を6万人」とする目標を掲げた。

 まだ認知症を根本的に治す方法は見つかっていない。アルツハイマー型など一部のタイプに病気の進行を抑える薬があるだけだ。そのため、国家戦略では、達成目標として「2020年頃までに日本発の根本治療薬候補の治験開始」を掲げた。根治薬ができれば、認知症対策はもちろん医療福祉政策も大きく変わるに違いない。まさに「夢の薬」だ。

 国家戦略は認知症について、「高齢化に伴う認知症の人の増加への対応は今や世界共通の課題だ」と指摘する。高齢化が類を見ないスピードで進む日本は、世界に向け、取り組みのモデルを示すべきだ。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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