ロシア通貨・ルーブルの下落がロシア経済を苦境に立たせている。ルーブルの対ドル為替レートは1年前の2014年1月初めには、1ドル=33ルーブル前後で推移していた。ところが、12月16日には一時約80ルーブルまで暴落。その後、約59ルーブル(2015年1月5日現在)まで戻しているが、それでも1年前の半分の水準だ。

 ルーブル安の背景には、ウクライナ情勢を巡る欧米諸国の対ロ経済制裁が影響を与えていることがある。しかし、なんと言っても大きいのは、原油価格の急落だ。ロシアはサウジアラビアに次ぐ世界第2位の原油生産国で、輸出額の約7割が原油と天然ガス。ロシア経済にとっていわば「米びつ」なのだ。

 こうした原油安、ルーブル安、米欧の経済制裁は三重苦となってロシア経済を窮地に追い込んでいる。

 通貨安がもたらすのは輸入品の高騰だ。インフレ、物価高で国民の間に不満がたまれば、プーチン政権の基盤が揺らぐのは必至だ。プーチン大統領は記者会見などで「最悪の場合、経済的な困難から脱するため2年間が必要かもしれない」と語り、ロシア経済について、「全治2年」との見方を示している。プーチン政権からは、経済回復に向けた具体的な処方箋は示されていない。

 つい最近まで「資源高」で我が世の春を謳歌していたロシア経済だが、大きな落とし穴が待ちかまえていた。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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