「飛び出し坊や」は、通学路などの事故を防ぐために、ドライバー向けに設置された立て札の一種。メーカーによる商品名というわけではなく、地域によって様々な呼ばれ方をしていた。「坊や」の名称が全国的に認識されるようになったのは、おそらく2012年に『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系)で放送された「飛び出し坊やMAP2012 in 珈琲 琵琶湖」という企画から。「ゆるキャラ」「見仏(けんぶつ)」「いやげもの(もらって困るお土産)」など、民俗的な文化を独自の視点で「再発見」してきた鬼才・みうらじゅん氏による、新たな「マイブーム」の一つとして紹介された。

 第一号は、滋賀県の旧・八日市市(現在の東近江市)の社会福祉協議会が発案したとされる。地元の看板などを製作していた「久田工芸」が手がけたもので、坊主頭の少年が走っているようなデザイン。現在全国で見られる「飛び出し坊や」は、この「坊や」を参考にしたと思われるものが多く、みうら氏は冗談めかして「0系」と称している。この「0系」を、2014年8月にタカラトミーアーツがカプセルトイ、いわゆる「ガチャ」の玩具として発売(表記は「とび出し坊や」)。「0系」の坊やになじみのなかった地域でも話題をさらうことになった。ちなみに、ここ数年のキャラクター的扱いから、「飛出とび太」という「本名」により、「とび太くん」という「愛称」で呼ばれることも多いとか。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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