「デカフェ」は「decaffeinated」、訳せばコーヒーなどからカフェインを取り除くことだ。コーヒーでリラックスしたい、しかし健康面を考えてカフェインの摂取は避けたい、というニーズに応えるかたちで開発されていった。難しいのは、デカフェの過程でいくつかの別の成分も失われ、味わいが落ちることである。そこで、遺伝子組み換えによって最初からカフェインのない、あるいはカフェインのごく少ないコーヒーを育てようと海外の企業がしのぎを削っている。

 以前からシアトル系コーヒーの店舗では「カフェイン抜き」を注文することが可能だったが、裏メニュー的な扱いだった。いま、「デカフェ」の用語も徐々に浸透してきており、今後は当たり前の選択肢となる可能性が高い。ちなみに、欧米ではすでに一つのスタイルとして確立している。

 日本におけるデカフェは、美容を気にする女性主導で広まっている印象がある。妊娠・授乳中にノンカフェインのインスタントコーヒーの存在を認識した母親も多いはず。恐るべきは、「それでも飲みたい」コーヒーの魔性の魅力だ。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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