「家事ハラスメント」の略語。食器洗いなどの家事を手伝った経験がある夫の、じつに約7割が受けているといわれる、「雑!」「使うスポンジが違う」「食器はここに置いて!」……といった、妻による家事のダメ出しのこと。

 本来の「家事ハラ」は、和光大学の竹信三恵子教授が家事労働の担い手への不当な過小評価・嫌がらせ(ハラスメント)と意味づけた「家事労働ハラスメント」という言葉から来ている。これを冒頭のような意味に転化して用いたのが旭化成ホームズ。男たちにはこちらの意味が定着してしまった。

 さて旭化成ホームズは共働き夫婦にアンケートしたうえで、「夫にとっては妻のやり方をしっかり“学習”することが、気持ちよく家事をする秘訣のようだ」と、家事ハラの解決策を提案しているが、本当にこれで正しいのだろうか?

 ちなみに筆者はフリーランスの文筆業者で、基本的に自宅で仕事をすることが多い。がゆえに、そのとき一緒に住む女性が外に働きに行っているあいだ、掃除や洗濯や料理や食器洗い(つまり、家事のほぼ全般)を強いられるケースが、わりとあったりする。

 そんなとき、ヒモでもないのに帰ってきた女性から、いくら疲れているとはいえ、「チリが落ちてる」だとか「風呂が沸いてない」だとか「今日は魚が食べたかったのにー」だとか言われたらたまったもんじゃない。こういう特殊なパターンも広義的に「家事ハラ」とカテゴライズしていただき、論じてもらわないと、筆者がせっかくルクエでつくった自家製ローストビーフ(オージービーフ製)も浮かばれないというものだ……。
   

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   


山田ゴメス(やまだ・ごめす)
日曜日「ゴメスの日曜俗語館」を担当。大阪府生まれ。エロからファッション、学年誌、音楽&美術評論、漫画原作まで、記名・無記名を問わず幅広く精通するマルチライター。『現代用語の基礎知識』2005年版では「おとなの現代用語」項目、2007年版では「生活スタイル事典」項目一部を担当。現在「日刊SPA!」「All About」の連載やバラエティ番組『解決!ナイナイアンサー」(日本テレビ)の相談員で活躍。著書に『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)など。趣味は草野球と阪神タイガース。
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