生まれ故郷や応援したい自治体に寄付を促す制度。現住所と違う自治体に寄付すると、寄付金に近い額(寄付金のうち2000円を超える部分について、一定の上限まで)が税金(住民税・所得税)から差し引かれる。要は納税額の一部を自分が納めたい自治体を選んで納めることになるわけだ。軽減額は年収や家族構成によって異なるが、納めている住民税の約1割が上限だ。

 都市と地方の税収格差の是正を目指して2008年に創設された。牛肉やコメなど、寄付を受けた自治体が特典として贈る特産品が評判となり、2013年度の寄付総額は130億円を突破した。

 「地方創生」を看板政策に掲げる安倍政権は、この「ふるさと納税制度」をさらに拡充するため、2015年度から寄付の上限額を現行の2倍に引き上げる方針だ。あわせて関連手続きも簡素化する。現行では所得税や住民税が給与天引きのサラリーマンの場合、寄付した自治体が発行した領収書を添付して確定申告をする必要があるが、こうした手続きを見直すという。

 制度の拡充は、2015年春の統一地方選をにらみ、「地方重視」をアピールしたいという政治的思惑もあるだろう。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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