海外への旅行も出張も、もはや珍しくない昨今。日本人出国者数はここ数年1700万人前後で推移している。羽田空港の国際化やLCCの新規就航で、世界はますます「近く」なるばかりだ。しかし、治安の良さに慣れすぎた日本人が、異国の地でトラブルに巻き込まれる事例は後を絶たない。

 外務省は2014年7月1日、海外旅行者向けのサービス「たびレジ」をスタートさせた。「レジ」とは「register(登録)」から来ており、外務省ホームページの専用サイトに旅行日程、滞在先などを「登録」するものだ。これによって現地の治安などの最新情報を入手でき、災害などに際しては、緊急連絡を受け取るツールとなる。

 背景には、2013年1月に起きたアルジェリア邦人に対するイスラム系武装集団のテロ事件がある。地元の信頼も厚い多くの企業戦士たちが犠牲となったが、このとき、日本政府は情報の入手が遅れた。3か月以上の渡航で必要な「在留届」が提出されていなかったため。だが、在留届は短期渡航者である一般の海外旅行者や出張のサラリーマンが提出するたぐいのものでなく、この結果、いざというときに安否の確認が難しくなるわけだ。在留届よりも簡便で気軽にできるシステムを狙った「たびレジ」、登録は任意ではあるが、政府では多くの渡航者の利用を勧めている。
https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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