2014年6月19日、安倍内閣は「ロボット」を成長戦略の大きな柱とする意向を示した。同月5日に、ソフトバンクの孫正義(そん・まさよし)氏が人型ロボットの「ペッパー(Pepper)」の販売を発表したばかり。いま、ロボットに風が吹いているように思える。そもそも、日本は産業用ロボットの出荷台数・稼働台数で世界一という実績がある。日本は「心の優しい科学の子」、「鉄腕アトム」が人気者になる国。フィクションに「夢」を抱いて、それを現実の世界に具現化しようとする、そんなエンジニアも多いのだ。

 「世界初の感情認識パーソナルロボット」と銘打ったペッパーは、まさにマンガのキャラクターがかたちになったかのような楽しげな商品。人間の表情や声から喜びや悲しみといった気持ちを共有することができるという。「生活に役立つ」というより、「『癒やし』をくれる」ロボットはすでに「AIBO」(ソニー)などいくつかの成功例があるが、「自分の判断で動く」「成長していく」など、フィクションの世界のロボットに一歩近づいたような説明がされている。フジテレビ系の番組『SMAP×SMAP』など、いくつかのテレビにも「出演」して知名度は上昇中だ。一般販売は2015年2月からの予定で、本体価格は19万8000円とのこと。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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