子どもたちのあいだで、またたく間にブームとなった『妖怪ウォッチ』。もとは2013年7月にリリースされたニンテンドー3DSのゲームである。開発したレベルファイブは、『イナズマイレブン』『ダンボール戦機』など、これまでも多くのメディアミックスを成功させてきた「やり手」だ。今回は、あくまで「日常」が舞台で、妖怪たちと「ともだち」になっていくシステムがミソ。

 この『妖怪ウォッチ』、2014年1月からさっそくテレビアニメがスタートしているが、ゲームよりもさらにコミカルな世界観は、子どもたちに十二分にアピールしている。加えて、オープニング曲としてヒットしているのが、『ゲラゲラポーのうた』。歌っているのは、謎のユニット「キング・クリームソーダ」(プログレのバンド「キング・クリムゾン」から来ていることは、親だけがニヤリとする仕組みだろう)。ボーカルのマイコ、ラップを担当するゲラッパー、ベテラン歌手の風格漂うZZROCK(ジージーロック)の3人から成る。一応、正体不明の3人ということになっているので無粋な記述は避けるが、一つだけ。『ゲラゲラポーのうた』の作詞には、昨年まで「m.o.v.e(ムーヴ)」というユニットで活躍したラッパーのmotsuがクレジットされている。

 「ゲラゲラポー、ゲラゲラポー……」という繰り返しが、非常に耳に残る。ユニットとしての構成も含めて、B.B.クイーンズが歌った『おどるポンポコリン』を髣髴とさせる(ZZROCKは近藤房之助のポジション?)。アニメソング限定ユニットという「企画もの」は、ときにこうした上質のポップスを生み出すので、なかなかあなどれないものがあるのだ。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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